第7話 四月二日の告白
四月二日。サユと最寄りの駅前で待ち合わせている。昨日から頭が重いような気がしており、怠惰に過ごしていれば遅刻してしまいそうであったため、待ち合わせ時間の三十分前に駅に着く。
そこで少しだけでも僕が吐いた嘘について考えていよう。
そう思っていたら、待ち合わせ場所には既にサユが待っていた。
白のカーディガンに水色のスカートといつもでは見たことないような格好をしている。つまり、言いたいことはデートコーディネートである。
「うす。お待たせ」
サユは僕に気が付いて表情を明るくさせる。……そんな表情されると余計に罪悪感が。
「大丈夫! 私も来たところ!」
……嘘だろ。三十分前から待ってる人が今に来たところなど信じて良いのか怪しい。
「あ、そうだ。手を出して!」
「ん? なに?」
サユに言われて手を出すと彼女は何かを僕の手のひらに置いた。そして、それを握らせると手を離した。
「それあげる!」
「うわあっ!」
手を広げたら黒い昆虫の模型が置かれており、僕は本物と勘違いして投げ飛ばしてしまった。
「あははっ! 偽物だよ!」
「っ! それをこの場所で渡す奴がいるかよ」
いつもの楽しげな様子のサユに、僕は悩んでいたことをやめて安心した。
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