第76話 王都の冒険者ギルド
水の1の月、1の週の風の日。
王都の学院が始まって四日目。
午後の授業では魔力や【神の奇跡】の歴史について担任が説明している。
ミカたちのクラスの担任は、コリーナという三十代後半の女性だ。
ぴりっとした空気を纏う、レーヴタイン領の学院にいたダグニーによく似た感じの人だ。
ミカは、ダグニーの昔もこんな感じだったのでは?と勝手に想像していた。
学院の授業は今の所、座学がメインだ。
あとは魔力を動かしたりの操作の訓練。
このクラスにいる子供は全員がすでに【身体強化】を発現させることができる。
まあ、まだ「発現させるだけ」という子供もいるようだが、二年間は地方の学院で必要な教育を受けて来た子供ばかり。
なので、授業の内容は地方の学院で得た知識を前提としたものとなる。
ちなみに、十歳からの入学組はレーヴタインの学院と同じように午前に訓練、午後に運動という内容のようだ。
寮では毎日、夕食時にぐったりしている子供の一団を見かける。
ミカたちも、最初はああなってたなあ、と懐かしい思いで見ている。
「……これが世界で初めての【神の奇跡】だと言われています。 聖者ヒルディンランデルの名前は、伝説や光神教の神話の中にも出てきますので知っている人も多いでしょう。」
入学してから今日まで、一度も運動の時間がなかった。
その代わりに行われているのが、この歴史のお勉強。
正直、そろそろ運動で発散させてくれよ、と思ってしまう。
最初はあんなに運動の時間が嫌だったのに、変われば変わるものだ。
今コリーナが説明しているのは、魔法や【神の奇跡】というよりは、どちらかというと光神教の歴史のような内容だ。
大昔、何でも三千五百年も前にいた聖者が【神の奇跡】を最初に使ったというお話。
光神教の聖者、ヒルディンランデル。
最初の聖人。
最初の【神の奇跡】の使い手。
光神教の歴史自体はもっと古いらしいのだが、古文書などで遡れるのが今のところはこの辺までらしい。
ヒルディンランデルは光神教の偉い人のようで、この人が神々から奇跡の力を授かったのが【神の奇跡】の始まりと言われている。
その後、ヒルディンランデルの弟子たちが【神の奇跡】を教わり、三千五百年もの間、口伝などで脈々と受け継いできたのだとか。
現在ではこうして学院という
そのせいで失われた【神の奇跡】も少なくないのだという。
存在だけは古文書などで分かっているが、発現させるための呪文などが失われ使うことのできない【神の奇跡】がいくつもある。
こうした失われた【神の奇跡】を復活させるための研究というのは、今も国を挙げて取り組んでいるらしい。
(失われた【神の奇跡】ってのは、すっげー気になるな! なんか格好いいし、凄そうなイメージ。)
ゲームなどでは、こうした失われた力を終盤で得て、ラスダンやラスボスに挑むのは定番の設定だ。
そんな設定を想像しただけで高揚してしまうミカは、もしかしたらゲーム中毒なのだろうか?
(まあ、今はまだ伝わってる【神の奇跡】すら【身体強化】しか教わってないけど……。 もっとじゃんじゃん教えてくれてもいいのに。)
情報が漏洩したり、悪用されることを恐れてか、国は【神の奇跡】を教えるのにかなり慎重だ。
この力を使って反乱でも起こされたら大惨事になるのは間違いないし、王家打倒のために使われたらたまったもんじゃない。
それでもグローノワ帝国という明確な敵国が存在するため、強力な武器や兵は必要。
その辺りの苦悩の結晶が、現在の魔法学院なのだろう。
(ヒルディンランデル、か……。)
この人が【神の奇跡】を作ったのだろうか?
ミカは【神の奇跡】を、ある種のプログラムのように考えている。
作ったのは別の人なのか、ヒルディンランデルが作ったのか分からないが、【神の奇跡】という仕組みにも興味が惹かれる。
(この辺に本気で取り組むには研究者になるのがいいのか? ……でもなあ、そこまで頭良くねえしなあ。)
ミカの将来の第一志望としては冒険者だ。
だが、興味の惹かれることは他にもあり、こうした【神の奇跡】の仕組みや錬金術などにも手を出したいと思っている自分がいる。
(まあ、子供のうちは夢がいっぱいあってもいいじゃない。)
そのうち嫌でも「軍人」という現実がやってくるのだ。
それを避けるための方法は模索するが、今から未来の可能性を一つに絞ることはない。
(せっかくの
そんなことを考えながら、ミカは何となく授業を受けていた。
■■■■■■
水の1の月、2の週の陽の日。
ミカは朝から王都の大通りを歩いていた。
「はぁ~~……。」
今週はひどくストレスの溜まる一週間だった。
八人のバカタレどもをどつき回したのはまだいい。
レーヴタイン侯爵からの「クレイリアと距離を置け」との指示が、ミカの精神力をがりがりと削ってくるのだ。
ミカは毎日、教室の入り口近くの空いている席に適当に座った。
レーヴタイン組の皆は纏まって座るため、席の空いているクレイリアの近くに座るような流れになってしまった。
おそらく、初日に出遅れたのが痛い。
ミカのせいでクラスでも「同郷だし、知り合いだろ?」みたいな空気になってしまっている。
クレイリアは、ミカがあえて離れた席に着いていることに気づいているのだろう。
毎日悲しそうな目でミカを見てくる。
痛いほどの視線を受けながら、それでも素知らぬ振りをして授業を受けているのだ。
(…………恨むぜ、
クレイリアにあんな顔をさせているのはミカだ。
それは分かっているが、ミカにはどうすることもできない。
侯爵の指示に逆らうことがどれほど恐ろしい結果を招くか。
今すぐに何か影響が出る訳ではないだろう。
だが、何かほんの些細なきっかけでもあれば、絶大な影響力を使ってミカなど簡単に潰してみせる。
そして、それは家族にも及ぶのだ。
ミカとしては、侯爵からの指示を一方的に破る選択を採る訳にはいかなかった。
ミカはギルドの前に着き、中を覗いてみる。
先日通った時よりは空いているが、サーベンジールのギルドよりはかなり混んでいる。
一先ず、中に入ってみることにした。
フロアもカウンターも広く、床はピカピカ、傷もほとんどない。
支部は新しくできたと言っても、すでに数年は経っているはずだが、「先月オープンしたんです」と言われても信じてしまうくらいには綺麗だ。
ミカは入り口付近で周りをきょろきょろと見回す。
(依頼の掲示板はあそこ。 あっちはバーカウンターか? 採集物の引き取り窓口はどれだ……?)
とりあえず今日の目的はギルド内の把握、依頼書の確認、定額クエストの確認だ。
ミカがギルド内を見回していると、見覚えのあるおじさんがこちらに歩いて来た。
「やあ、おはようミカ君。 待っていたよ。 無事に王都に着いたようだね。」
渋い口髭がトレードマークのチレンスタだった。
確か、副支部長になったという話だったか。
「おはようございます、チレンスタさん。 ちょっと見に来てみました。 あ、カードだけは先に出しておいた方がいいんでしたっけ?」
「そうだね。 拠点がサーベンジールから王都に変わったのだから、連絡先などの変更を届け出ておいてもらえると助かる。」
とはいえ、ミカにはわざわざギルドから連絡が届くようなことはないだろう。
何でも、指名依頼が入った時にギルドが「なるべく早く顔を出すように。」と連絡をくれたりするらしい。
他にも有名な冒険者になるとギルドから連絡がいくことがあるらしいのだが、まあミカには関係のない話だ。
「先日も夕方にちょっとだけ覗いてみたんですが、すごい混雑してましたね。 話には聞いてましたが。」
ミカがそう言うと、チレンスタが苦笑する。
「私も話は聞いていたんだが、ここまでとは思っていなかった。 支部長には何かいい解決方法をと言われているんだが……。 単純に冒険者の人数が多いのだから、どうにかしろと言われてもね。」
チレンスタは諦め顔だ。
何でもここ十年以上、王都の冒険者の増加傾向に拍車がかかっているのだとか。
第三街区がどんどん拡張されていっているのだから、冒険者が増えたというより、単純に王都の人口が増えたというだけの話だろう。
人口に対して一定の割合で冒険者がいると考えれば、王都の人口が増えれば冒険者も増えるのは当然の話だ。
そして、この広い王都に冒険者ギルドが昔は一軒しかなかった。
現在は支部を増やしたが、それでも二軒だけ。
(王都の人口が一千数百万人。 仮に冒険者の割合を0.1%と考えても…………一万数千人。 そりゃ捌き切れないだろ。)
二つの支部に綺麗に分かれたとしても、一つの支部に対して五千人以上の冒険者が利用しているわけだ。
毎日利用する訳ではないだろうが、ちょっとサインして終わり、という流れ作業で済むことでもない。
依頼書のクエストなら、内容の詳細をきちんと確認しないと、トラブルの元でもある。
受注の報告と詳細の確認をするのだから、それなりに時間がかかるのは仕方がない。
一件一件に時間がかかるのだから、これを何とかするのは容易ではないだろう。
「支部は増やせないんですか? 単純に利用人数に対して支部の数が足りないように思えるんですけど。」
「さすがにすぐには無理だろうね。 それなりの広さを確保しなければならないので、第二街区では中々そんな条件のいい土地は見つからないんだよ。」
「第二街区? 第二街区じゃないとだめなんですか? 第三街区は?」
第三街区なら土地の確保は楽だろう。
「第三街区はだめなんだ。 ……理由は、ちょっと言えないんだがね。」
何か理由があるようだ。
ギルドの方針なのか、法的な問題なのか、別の何かなのか?
ミカには見当がつかない。
(でも、支部が増やせないんじゃあとは効率を上げるしかないだろうな。 それでどこまで一件あたりの時間を短縮できるか分からないが。)
効率を上げることで対処するのにも限界はある。
「ん-……。」
ミカは腕を組み、顎に手を添えて考え込む。
数が膨大なら、多少の効率アップでも、その効果は大きなものになるだろう。
一日当たりの利用人数、カウンター業務の一件あたりの所要時間、冒険者ギルドを利用する用件の内訳、などなど。
ギルドのカウンターでは様々な用件に対応しており、それらをどう捌いていくか。
詳細が分からないと効率化を図るアイディアを出すのも難しい。
今のミカには単純に情報が足りない。
現状の把握をせずに、解決策など出る訳がない。
ミカはチレンスタを見上げる。
「……チレンスタさん。 もし良ければなんですけど。」
ミカは、そうチレンスタに提案するのだった。
ミカはカウンターの内側の端の方で、腕を組んで壁に寄りかかる。
そうしてカウンター業務を眺めていた。
ユンレッサと一緒に王都に移動してきたロズリンデが、ミカに向かってぶんぶん手を振っている。
(あんた今窓口対応中でしょ! 仕事しろよ、仕事!)
目の前の冒険者をほっぽって、ミカに手を振るロズリンデに頭が痛くなる。
(本当に戦力になってんのか、
今日はユンレッサはお休みらしく、ユンレッサへの挨拶はまた今度になる。
ミカはとりあえず、カウンターの中から業務内容を確認させてもらうことにした。
ギルドの職員は、時折ミカを見て何をしているのだろう?と不思議そうにしているが、笑顔を返してやり過ごす。
チレンスタがたまにやって来てはミカに声をかけているので、副支部長が了承していることなら、と職員が何かを言ってきたりはしない。
ミカは時々カウンターの中を移動して、対応中の職員の横で話を聞いたりする。
そして、何も言わずにまた元の位置に戻って、カウンター業務を眺める。
(あのおばちゃんと、あっちのおばちゃんがよくカウンター業務中の他の職員に話しかけられてるな。)
同じカウンター業務をしている二人のおばちゃんの所に、若い職員がよく話を聞きに行ってる。
所謂ベテランの職員で、非常に細かいことまで依頼のことを理解しているようだ。
そうして若い職員に話を聞かれ、過去の事例なども含めて説明していた。
自分もカウンター業務をしながら。
「ふぅ~む……。」
一番近いカウンター窓口では、新人冒険者がカードのプール機能について窓口の職員に聞いていた。
すでに登録自体は済んでいた人のようで、カードの機能のことだけ聞いたらそのまま帰って行った。
「んー……。」
ミカが難しい顔をしていると、チレンスタがやって来た。
「どうだい、ミカ君。 何か分かったかね?」
チレンスタは、ミカが「改善案のためにカウンターの中で業務を見たい。」と言ったら、最初は難色を示したが最終的には了承してくれた。
普通は、冒険者が中に入りたいと言っても許可されるようなものではない。
サーベンジールでの二年の付き合いで、多少なりとも信用を得られた証だろう。
一番の理由は「まだ子供だし、まあいっか」であろうが。
「そうですね。 いくつかお聞きしたいこともあるので、少しお時間をいただけますか?」
ミカがそう言うと、奥の階段から二階に上がり、副支部長室と書かれたチレンスタの部屋に通された。
個室持ちとか、すっかり幹部だね、この人。
そういえば、サーベンジールでも個室を持ってたか?
ギルド内の役職や組織図がちょっとだけ気になった。
副支部長室に通され、ソファに座っていると紅茶が出された。
そう気軽に出せるような値段じゃないんだけどな、この世界の紅茶って。
驚きの好待遇である。
ミカはカウンター業務を見ていて気になった事項を確認し、チレンスタに改善案のいくつかを提示する。
「初心者講習会?」
チレンスタのぽかんとした顔を見ながら、ミカはこくんと頷く。
「何だい、それは?」
「名前の通りです。 冒険者としてこれから活動を開始する人や、最近活動を始めたばかりの人に基本的な知識を教えるための講習です。」
「そんなのは、今も聞かれれば普通に答えているが?」
「はい。 それが混雑の原因の一つです。」
ミカは冒険者登録をした時に気になっていろいろ聞いていたが、普通はそんなことをしないようだ。
知り合いにベテランがいれば、そのベテランに聞けば済む。
だが、そういった知り合いのいない冒険者はギルドで聞くしかない。
ミカもよくカウンターで手続きのついでにユンレッサにいろいろ話を聞いたりしていたが、それと同じことを王都でもやっている。
しかも、それが手続きのついでではなく、単にその話を聞くためだけに、だ。
そして、ギルドで聞くにはいちいちカウンターに並ばなければならず、それが混雑を助長しているのだ。
そんなことを聞くために並んでたの?とミカが首を傾げてしまった冒険者がごろごろいた。
「冒険者登録をする曜日を決めて、『この日の何時に講習をします。 講習を受けたら一緒に登録を行います。』とまとめて説明すれば済むような用件で、いちいちカウンターに並ばれているんです。」
「しかし、一度説明されても忘れてしまうこともあるだろう?」
「そういうのは壁の空いているスペースにでも『
「冒険者登録を陽の日だけに限定するのかね? さすがにそれは抗議が殺到しそうだ。」
「週に三回でも四回でも構いませんが、徹底して効率を考えるなら、週一で十分な業務かと。 まあ、いきなりでは混乱も反発もあるでしょうから、周知に時間をかける必要はありますが。 ただし、その周知期間の分、今の状態が続きます。」
ミカがばっさりと切り捨てると、チレンスタが顔をしかめる。
「それと情報窓口、若しくは情報担当をカウンターの外に出しては如何でしょう?」
「……何だい、それは?」
チレンスタがさっぱり分からんという顔をする。
「生き字引といいますか、とてもクエストの内容に精通されている方が二人いますね。」
「ああ、長くカウンター業務を務めてくれている二人だね。 王都にまだ本部しかなかった頃から務めてくれている、うちの主力だよ。 彼女たちがいなければ、とっくにカウンター業務が破綻しててもおかしくない。」
チレンスタが紅茶を飲みながら教えてくれる。
「二人をカウンターの外に出しましょう。」
「ブフッ!? ……ゴホッ……ゴホ…………ッ!」
チレンスタが紅茶を拭き出した。
何とかシャツには紅茶がかからないで済んだようだ。
良かったね、染みにならなくて。
「……ゴホッ、ゴホッ! ……む、無理だ! カウンターが回らなくなる!」
「そうでしょうか?」
ミカは首を傾げる。
「冒険者に詳細を聞かれても、彼女たちに確認しなければ正確な情報を伝えることができない! 間違った情報は冒険者たちの命に関わる!」
「その命に関わる情報が
「…………どういうことだ?」
チレンスタが怪訝そうな顔をする。
「依頼書を張っている掲示板の横にでもついてもらって、その場で彼女たちに聞いてもらえばいいんですよ。 わざわざカウンターに並ぶ必要なんかないんです。 カウンターには、手続きとかが必要な冒険者だけが並ぶ。 簡単な確認は『
ギルドに来た人のすべてをカウンターで対応するから混雑するのだ。
用件に合わせてばしばし捌いていけば、混雑がなくならないにしてもかなり緩和されるはず。
ミカも最初は職員や冒険者たちの動線が悪いのか?とか考えたが、それ以前の問題だ。
カウンターを使う必要のない冒険者までカウンターに並んでいるのだから。
そりゃ混むさ、という話だ。
「単純に利用者が多いこともありますが、ただ話を聞いたり確認するだけの冒険者には、さっさと用事を済ませて帰ってもらいましょう。 カウンターの業務も、いちいち確認に行く手間が省けるので効率が上がります。」
比較的空いているという陽の日でもこれだ。
平日のカウンター担当の職員には同情を禁じ得ない。
ミカの話を聞き、チレンスタが難しい顔をする。
どちらの提案も結構な大ナタだ。
断行するには、相当な覚悟が必要になる。
ミカの提案は元の世界では始めから考慮され、対応されているようなことばかりだ。
それすらやっていないからひどい混雑になる。
まあ、元の世界でも同じ道を歩んで来た上で、対応されたのだろうが。
「僕も冒険者登録はその場ですぐやってもらったし、いろいろ教えてもらえて助かりました。 でも、今の王都では僕と同じ立場の人でもロクに話を聞くこともできません。 ギルドや職員のためではなく、冒険者のためにもやってみませんか?」
ミカはチレンスタを説得する切り口を変えてみた。
おそらく、あまりに大きな変更は冒険者たちに混乱をもたらし、迷惑をかけるというのもネックなのだろう。
だが、これは冒険者のためにもなるのだと思えば、一時の混乱も許容できるはずだ。
ミカがチレンスタをじっと見ていると、その目に力が入っていくのが分かった。
「そうだな。 ミカ君の言う通りだ。 早速、上に掛け合ってみよう。」
そう言うとチレンスタは立ち上がり、すぐに支部長に説明に行くと言う。
ミカはギルドの職員に案内されて一階のフロアまで戻ると、自分の用件を済ませることにする。
「……………………。 チレンスタさんに言って、融通してもらえば良かった……。」
カウンター前に並ぶ冒険者の列を見て、思わず溜息が漏れた。
長蛇の列とまでは言わないが、なかなかの人数が並んでいる。
ギルドカードをカウンターに出し、連絡先の変更、定額クエストのリストを貰わないといけない。
ミカはもう一度「はぁ~……。」と溜息をつき、とぼとぼと列の最後尾に並ぶのだった。
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