ドキドキ勉強会

ドキドキ勉強会!①

「まあ、とりあえず座ってよ。」


俺たちは食堂からルミアの自室へと戻っていた。

ルミアは俺を勉強机に案内し本棚から本を数冊取り出す。


「さて、何から教えたらいいのかしら。」


「本当に基礎の、基礎からお願いしたいんだけど。」


分かったわ。ルミアは頷き、持ってきた本の中から適当な一冊を取り出す。

そのタイトルは、『スライムでも分かる基礎魔法』


「ちょっと待ってくれ。俺は、もう少し難度の高い本でも・・・。」


すると、むすっとした顔で


「何よ、問題でもあるの?私は、小さい頃この本で基礎を学んだわ。

確かに、タイトルはアレだけど魔法の基礎を学ぶにはとても優秀なのよこの本は」


「悪かった、ありがとう。ありがとう。俺のためだろう」


「謝らないでよ。それに謝らないといけないのはこっちの方」


「???」


なぜルミアが謝らないといけないのだろうか。

理由がわからない。


「だって、この本確かに小さい頃読んでいたけれど、4、5歳の頃だから。」


くすくす。笑いながら目をそらす


「やっぱり、馬鹿にしてたのかよ!」


「馬鹿にはしてないわ。少しからかってみただけよ。だってーー。」


だってーー。この先は言わなくても俺には分かる。ルミアと少し境遇が似ていたからだろうか。


「「友達だから」」


俺たちの声は綺麗に重なる



「それじゃあ、期間も限られてるしどんどん行くわよ。」


「あっ!ちょっと待ってくれ!!聞きたい事がある。試験って何をするんだ。」


あっ、そういえば。

ルミアは机の横にある本棚から一枚の紙を取り出す。


「ごめんなさい、説明不足だったわね。試験は筆記と実技の2つね。」


「実技があるのか。そっちの方が問題じゃないのか。」


「問題?なにがよ。」


「だって俺、魔法使えないんだぜ。」


今から勉強して知識は身につける事が出来る。しかし、実技は別だ。


「大丈夫よ。実技は実戦だから。あと、基礎を教える過程で一番簡単な攻撃魔法魔弾ショットを教えるから。あなたの全魔力で打ち出せばいいわ」


なぜ、こんなに自信があるのだろう。


「だから、実戦なんだろ?そんな付け焼き刃でーー。」


実技で魔法を見せるのなら少しでも希望があるが、実戦なら話は別だ。

試験ならば0〜100点で採点できるが実戦、戦いとなれば話は別だ。

戦いは勝つか負けるか0か1しかない。

魔法を覚えたての人間が魔法を学習してきた人間に勝つことは不可能だ。

昔であれば、体術で圧倒できたもしれない。が、今はこのロリ巨乳なのである。


「何を、言ってるの?あなた勝つつもりじゃないわよね。」


「ん?どういうことだ。実戦なんだから勝たなきゃ駄目だろ?」


「勝つ・・・のがまあ一番手っ取り早いけど、まあ無理ね。」


なんでだ。俺の声を無視してルミアは続ける。


「試験を監督するのは教員なのよ。教員に勝てるわけないじゃない」


「やってみないと、わかんないだろう」


はぁ。


呆れた、と言わんばかりにため息をつく。


「あなたは、知らないかも知れないけど魔法使いには序列があるの」


「序列?なんだそれ」


「そうね、簡単に言うなれば強さのランキングね。詳しいことは基礎の勉強で教えるわ。」


「それよりも、試験の目的なのだけど、教員は勝ち負けではなくあなたの可能性を見る。受験者が学園にふさわしい、もしくはこれから成長できる伸び代があるかをね。」


だったら、だとしたら、


「その、可能性とやらは俺にはないだろう。」

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俺、最強の勇者だったんだけど、女の子になってました(笑) もがみ @Moga3

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