世界と私(俺)と ④
「心配したんだからぁ!!」
気がつくとルミアが膝枕をしてくれていた。
裸のままで(重要)。
この状態だと、胸がよく見えるーー。
「うっ」
これ以上はマズイと思い、体を動かそうとしたが動かない。どうやら、ダメージでまだ体がうまく動かせないみたいだ。
(仕方がない、しばらくこのままでいよう。)
そう決断した俺に、ルミアがゆっくりと話し始める。
「
でも、ユーリは当たっても女の子のままだった。」
ルミアは今にも泣きそうだった。
「と言うことは、ユーリは女の子ってことになるのよ。なのに私は......。」
「ごめん、悪いのは俺だ。」
ルミアの話が終わる前に、俺はルミアに謝った。このままだと、話終わった途端に泣いてしまうと思ったからだ。女の子を泣かせる訳にはいかないし、それに。
「本当に、悪いのは俺だ。最初に男と言ったのは、俺だから。」
これは事実だろう。自分が男だと言わなければ、ルミアは気づかず何事もなかったのだから。
「実は、俺が生まれた村では男尊女卑が強かったんだ。そこで、俺の両親は俺を男として育てた。」
話がややこしくなってはいけないので、嘘をついておくことにした。
「だから、私が胸を触らせようとした時も、断ったわけね」
「そうだ。最近まで村にいたので、女の子とどう接したらいいのか分からないんだ。」
「なるほど、分かったわ」
体も、動くようになったのでルミアの膝枕からは開放してもらった。
「取り敢えず服を着るわ。話はそれからね」
服を着るとルミアは、大きな部屋に案内してくれた。
円テーブルを4つの椅子で囲んだ物が、ざっと見ただけで20セットはある。
「ここは、レストランなのか?」
「いや、違うわよここは食堂。って言っても、ここがどこだか説明してなかったわ。」
「ここは、オージュ高等魔法学園の寮なのよ。」
それならこの建物が大きく、いくつも部屋があることも納得いく。
しかし、寮なのに人の気配が全くしないのは、何故だろうか?
「ちなみに他の生徒は、どうしたんだ?」
「みんなは、お祭りの準備で学校に泊まりきりよ。祭の間、後6日は帰ってこないわ」
そういえば、新暦1000年目って言っていたな。
「んっ?ルミアは行かなくていいのか。」
「私?私は...お祭りには参加できないの。」
これ以上は聞いて欲しくなさそうだったので、話題を変えることにした。
「食堂にも人がいないけど、食べ物はどうするんだ。」
「冷蔵庫の中に作り置きがあって好きな物を食べるようにしているわ」
冷蔵庫。前のアルデには存在していなかった物だ。
「電気で、動いているのか?」
「電気?ナニソレ?魔法で動いているの冷却魔法をループさせているのよ。」
どうやら自分の知っている冷蔵庫とは仕組みが全く違うみたいだ。
そもそも、魔法は人間がいないと使えないのでは?
などといろいろ考えたが分からないので、先にご飯を食べることにした。
「なにがあるんだ」
「えっと今日は、サンドイッチみたいだけど大丈夫?」
「食べれればなんでも!」
サンドイッチを食べながら俺はルミアに相談することにした。
「実は俺、この町・・・いや、魔法とか歴史とか分からなくてさ。教えて欲しいんだけどいいか。」
「いいわよ。」
「いいのか?予定とかあるんじゃないのか。」
「お祭に出れなくて、暇していた所よ。お祭の間でよければ、教えてあげるわ」
「本当に、助かる。ありがとう」
問題はこれから、住む場所と当面の生活費なのだが・・・。
困った顔をしていると、ルミアが心配そうにしていた。
「もしかして、住む場所とお金がないの?」
「そうなんだ。いい所はないかな。雨風しのげれば、それでいいんだけど。」
「だったら、ここにいればいいじゃない。」
ルミアは、驚きの提案をしてきた。
「いいのか?部外者を勝手に住まわせておいて」
「祭の間は、絶対に大丈夫。」
「それなら、祭の間だけ、ここに居させてもらおう」
その間に次の住居と職場を探せばいいのだろう。
「祭の間と言わず、私がこの学校を卒業するまで、一緒にいて欲しいんだけど。」
「それは、無理じゃないのか?」
人が居ないのであれば大丈夫かもしれないが、
寮に人がいる状態で、何ヶ月もボロを出さずに生活するのは無理だろう。
「実は、祭の後すぐに2年生の編入試験があるわ。」
「それに、合格しろと」
「そうよ、そしてこの学校で初めての」
「私の、友達になって」
ルミアの目は真剣だった。
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