世界と私(俺)と ③

「っ。」


目を覚ます。どうやら、泣き疲れてそのまま、寝てしまった様だ。

窓の外は、薄暗く朝日が昇ろうとしていた。時間を確認するため、時計を探すが、どうやらこの部屋に時計はないみたいだ。


「1000年か、」


サタンを倒し元の世界に、帰れるとくぐったゲートの先は、1000年の月日が流れたアルデだった。元の世界に、帰ったとしても誰も俺の事を覚えていないだろう。そもそも、向こうの人類が存続しているのかも怪しい。しかしーー。


「でも、まだ完全に諦めたわけじゃない・・・。」


未来に飛ばす魔法が、あるのなら過去に飛ぶ魔法もあるはずだ。

それに何より、ルミアって女の子が言っていた。「前向きに、物事を考えて」と。あの子の言葉がなければ、立ち直れなかったかもしれない。彼女には感謝しておこう。


ぐぅ〜。


あれこれ考えていると、お腹が鳴った。そういえば、一日なにも食べていない。どうしようか考え、部屋の外に出ることにした。


「他人の、家を勝手に散策するのは気が引けるんだが・・・。」


どうしても食欲には、勝てなかった。

ドアノブに手をかけた所で自分が服を着ていないことに気づく。


「確か、服はタンスの中っと」


部屋を出るのをやめてタンスに近づく。

3段あるうちの一番上のタンスを引くと、そこには女物の下着が綺麗に収められていた。


「えぇっ?」


これを、使えと?ピンクやら白のフリフリのついた下着を着ろと言うのですか!俺は男なんですが。


「あ、そうか!今は女だった」


女なのだから、問題はない。タンスの中から一番無難な白のパンツを選び装着する。この時、自分の股間がなるべく見えないよう素早く行動する

次にブラなのだが、ここが問題だった。


「男だから、付け方分からないし。そもそも、小さくないか?これ」


どうやら、ルミアのサイズに合わせた下着らしく。今の自分の胸のサイズには合いそうになかった。

ブラは諦め、次の段を開けるとTシャツなどが綺麗に収められていた。


「この、順番だと・・・。」


次の段を開けると案の定、スカートやズボンなどがあった。


「まずは、っと」


スカートを取り出し試着してみる。

しかし、股がスースーしてなんだか落ち着かない。


「女になったから、スカート履いてみたけど却下だな。」


スカートを脱ぎ捨て、次にハーフパンツを試着する。動きやすいし可愛いのでので採用する。

次に、トップなのだが。


「正直、女の子のコーディネートはよくわからん。」


と、いうことで「合法ロリ」と書かれたシャツを着ることにした。


「寝間着なのか?」


あまりにもダサいので、外に着ては出れないだろう。

おそらく、旅行かなにかでその場のノリで買ったものの普段使わずに

タンスの肥やしになっていたのだろう。

その証拠に値札が貼られたままだ。


「それじゃ、行きますか」


部屋を出る。どうやら大きな建物らしく、廊下に出るといくつも部屋がある。少し歩くと階段が見えてきた


「全然気づかなかったけど、この家?二階建てだったんだな」


階段を降りていくと、灯りのついている部屋があった。

こんな朝早くになにをしているのだろう。興味本位で、扉を開くと・・・。


そこには生まれたばかりの姿、つまり裸のルミアがいた。どうやらここは脱衣所の様だ。


「「えっ!?」」


お互いに声がハモる。

と同時、俺の視線は自然にルミアの胸へと移っていた。


「ペッタンコ」


「ペッタンコ言うな〜!!」


顔を真っ赤にして怒るルミア


「それよりも、前!前を隠してくれ!」


いろいろと目に見えてはいけない部分が見えんだが・・・。


「なんで、隠す必要があるのよ?女同士じゃない。」


ルミアは不思議そうな顔をしている。


「俺は男だぁー!」


俺が、叫ぶとルミアは一瞬驚いていたが。


「そんな訳、無いじゃない」


真面目な顔で返される。


「本当なんだって!信じてくれ!」


「あなたは、絶対女の子よ。」


えっ、何か怖いんですけど・・・。

ルミアの目には光が灯っていなかった。


「女の子ではなく、魔法で容姿を変えているとでも?」


「詳しくは分からんがそんな感じだ」


そう。

ルミアは小さく呟くと服が入っているカゴから小さなペンダントを取り出す。


「ならば、死になさいこの変態!!」


「ちょっと待てって!話を――。」


聖灯ライト


ルミアの前に3つの光球が出現する。

そして、全てを俺の方目掛けて放った。

この距離、避けきれそうにない。


「話せばわか――。」


「らないわ!」


ルミアの否定とともに光球が全弾命中した。

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