第42話 チームに分かれる
「では、何から手をつけたらいいでしょうか。とりあえず、ミカエラ様は朝食を召し上がってくださいね。他のみんなは先に頂きました」
グレイスの言葉に反応するようにお腹が鳴った。
ソフィーが、小麦のパンとスープを用意してくれていた。わたしはありがたくそれらを食べた。
そういえば、夢の中で、ドレンテがパンケーキを焼いてくれていると言っていた。
パンケーキ美味しそうだな。
長く食べていないな、と思う。
わたしは作ってもらった食事を食べながら、どうやってみんなにうまく伝えられるか構想を練った。
「ごめんなさい、お待たせして」
みんなが待っている輪の中に入った。
全員が揃っている。
「えっと、チームで分かれたらどうかなと思います。魔法で本を探すチーム、狩りに行くチーム、あと、護身術を習うチーム、防御魔法と姿を消す魔法を習うチーム、他にも細々した事があるかもしれないので、そちらもやりたい人に分かれてみる」
「なるほど。皆さん、どうですか?」
みんな、異議なしと答えてくれた。
他には、厨房の片付けや要塞の図面を調べたい、野草やハーブを採りに行きたい、などなど意見も出た。グループで話し合いをし、それぞれが分かれた。
「わたしは本を探す魔法を教えます。グレイスからは護身術を。テオからは防御魔法と姿を消す魔法を。あと、狩りに行かれる方々は」
「俺たちは大丈夫だよ。昨日も行ったし、狩りは慣れてる」
「結界の外には出ないよう気を付けるわ」
と、狩りに行くグループと野草を採りに行くグループは、かたまって行動することになった。年齢層もバラバラで狩りには、子どもが多かった。
「弓矢が足りないから、今日はそれも作るようにしないか?」
「そうだな。昨日、弓になるいい木を見つけたんだ。教えるよ」
なかなかいいチームができているように見える。
「では、そちらはよろしくお願いいたします。わたしたちも分かれましょう」
グレイスが言って、それぞれが分かれた。
わたしのまわりに集まった人たちは、魔法を使って本を探してくれるチームだ。
人に魔法を教えるなんて初めてでドキドキする。
でも、みんなも同じようだった。顔を合わせて笑ったり胸を押さえたりしている。
少しずつだが、お互いに慣れてきたように思えた。
「では、皆さんよろしくお願いします。わたしのことは、ミアと呼んでください」
「みんなの名前を覚えることからだね」
名前の自己紹介をしてから、まずはみんなが魔法を使えるかを試さなくてはならない。やり方に決まりなんてないと思う。
感じるままにやってみる。ここにいる人はみんな、魔法に興味があるのだから。
「では、円になりましょう。そして、隣の方と手をつないでください」
わたしの隣にはジェニファーという名前の少女が座っていた。
「では、わたしから魔法のエネルギーを流します。手のひらに何か感じたら、隣の方にその感覚を流すようにしてみてください」
わたしはジェニファーに力を流してみた。手のひらが熱くなる。彼女の手がピクッと動いて、隣に流していくのがわかった。
輪になって座っている全員が魔法の力を感じていた。
「すごいわ。みんな、魔法が使えるわ」
そう言うと、みんながわっと嬉しそうに笑った。
「最初は、わたしから力を渡すのがいいような気がする。慣れてきたら、自分で練習してみて。では、次は、宝探しの魔法を教えます。宝を探してくれるのは、このカウスリップ(プリムラ・ベリス)の花」
そう言って、わたしは旅の途中で見つけたハーブを魔法で取り出した。
カウスリップは、ドライフラワーにしてある。それを全員に配った。
「本当は生のハーブが理想なんだけど、ドライフラワーを使います。カウスリップは探し物を見つける力を持っているので、みんな、手のひらにこれをのせてみて。じゃあ、もう一度、さっきと同じように魔法のエネルギーを流しますね。感じたら、わたしと一緒に呪文を唱えて」
「ミア、宝って何を探すの?」
ジェニファーが質問した。
あ、とわたしは一瞬、止まってしまった。
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