第40話 懐かしい顔ぶれ
「ゴーレは、ミカエラ様の石に反応して、ここにいたと考えてよさそうですね」
わたしたちの話を聞いたグレイスはいつものようにきちんと考えてくれて、そう言った。
「今回は何もなかったからよかったものの、あなた方に何かあったら大変なことです。わたしたちはとても心配していました。絶対に二人だけでいなくなるなんてこと、今後はやめてくださいね」
グレイスの言う通りだ。
わたしとテオはごめんなさい、と二人で謝った。
「今日はもう遅いです。休みましょう。お二人はわたしのそばで寝てもらいます」
要塞の広間には、いくつかテントが張ってあり、グループごとに固まってみんな休んでいた。わたしは勝手に抜け出したことを申し訳なく思った。
でも、頭の中は、ゴーレを消してしまったことでいっぱいになっていた。
アメリアの本さえあれば、助けることもできたかもしれないのに。
「ミア」
まるで、わたしの気持ちが伝わっていたかのように、隣に横になったテオが言った。
「もう、何も考えずに寝るんだ」
「うん」
反対側にはグレイスが横になった。
「眠りましょう。ミカエラ様」
「ええ。おやすみなさい、グレイス。探しに来てくれて、ありがとう」
「当然です。おやすみなさい」
わたしは目を閉じた。
テオもグレイスもそばにいるのだ。大丈夫。一人じゃない。
それに、テオはそばにいてくれるって言っていた。それだけで安心する。
わたしはいつの間にか眠っていた。
――ミア。
――ミア……。
「ミア、いつまで寝ているんだ。朝だぞ」
「え?」
肩を軽く揺さぶられ目を開けると、天井が見えた。ベッドの上で目が覚める。
え? 一瞬自分がどこにいるのかわからなくなった。
目の前に金髪の男性がいる。
年上だが、見たことのある瞳の色だった。マエストーソによく似ている。
「マエストーソ?」
わたしは無意識に手を伸ばし、その前髪に触れていた。
「こら、何をするんだ」
マエストーソが、わたしの手を捕まえて軽く叱った。
「もう、起きろよ。ドレンテが朝食を作って待ってるぞ」
「え……?」
待って。今何て言った?
ドレンテが朝食を作って待ってる?
マエストーソがカーテンを開けると、朝日が入ってきて眩しさに目を細めた。
窓の外の景色は見知らぬ場所だ。
「ここは?」
「寝ぼけてるのか?」
「マエストーソ……」
「こら、お父さんって呼びなさい」
全くもう、とぶつくさ呟いている。
お父さん? ちょっと待って。
わたし、マエストーソの娘になってるの?
じゃあ、ドレンテはお母さん?
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