第9話 ヒナちゃん復活大作戦です(前編)

「いてて、傷が残ったらどうしよう」


包帯でぐるぐる巻きにされた体はすごく動きにくい思いっきり身体を動かせないのは

ストレス溜まる


「ごめんなさい、、、ごめんなさい、、」


胸の中でヒナちゃんが寝ている

あまり気持ちよさそうではない

度々誰かに謝っている


「もう、最上級の枕で寝てるのに、

贅沢なヤツめ」


頭を少し撫でたら安心したのか

今度はちゃんと寝始めた


「失礼します」


医療部の人が入ってきた

空気を読んで外で待っててくれたっぽい

少し顔が赤くなっている

どんな空気を読んだのか問い詰めてみたい

けど私もそんな余裕は無い

身体中が激痛でヤバい

ヒナちゃんにずっと胸を貸してたけど

本当はそこから動けなかっただけ


「ハナさんも決して軽いものではないですから、ちゃんと休んでください」


ヒナちゃんをベットに寝かせて

私を支えてベットまで行かせてくれた


「ありがとね。こんな夜遅くに」


「い、いえ!これが私達の役目ですから」


そう言って走って出ていってしまった


「なんなよもう。うぅ寒い。お布団から出たから冷えちゃったかな?服着よ」


ベットの横のカゴに入れてた服を持ち上げた時ある事に気づく


「ん?服?ふ、、、く、、、?」


(私って今、文字通り、

包帯でぐるぐる巻きってこと!?)


急いで服を着て布団にもぐる

夏ってすごいね

服を着たらすぐに熱くなってきたよ


同時刻

治安局本部


「特殊戦闘ユニットを使って収穫は四人か」


作戦報告を見ながらホットミルクを口にする


「試作段階とはいえあまりいいとは言えないな」


試作段階の新ユニットを今回初めて実践配備

させたが結構悲惨な結果だった

一人はビルの上から首を吊られて

一人は丁寧に四肢の関節を外されて首がとんでもない方向へ曲がっていた

そして胴体に三発、頭に一発

全員やられてしまった


「これはまだまだ時間がいるな」


新ユニットに使われていた装甲は

拳銃弾くらいなら弾けるが

ライフル弾の場合は至近距離で撃たれたら

貫通するのが分かった

そしてヤツら一体どこからそんな物を仕入れてきてるのか

少々甘く見てた


「失礼します。局長、今回の映像記録が出来ました」


「ありがとう。今日はもう終わりだ。帰っていいよ」


今回の実践で何か完成の糸口が見つかればいいな

流し見てると、とある人物が目に入った


「そうかい、柊少年はそっちにつくのか」


あの時ちゃんと拘束できていれば

なんて考えてもしょうがない

向こうにつくならばこっちも本気だよ

君はもう人を殺したのだから

けど


「柊先生、貴方は身内をどれだけ苦しませれば気が済むのですか」



翌日

運び屋ランナーズ医療部


「大丈夫そうですね。午後には退院出来ますよ」


「ありがとうございます。先生」


私の傷はすっかり治っていた

気になってた傷痕もそこまで残らないそうだ

良かったと安堵した

けどヒナちゃんはまだかかるらしい


「貴方と違って擦り傷や切り傷以外に骨も折れてますからね」


「ヒナちゃんはどれくらいかかりますか?」


「あと一週間程度ここで過ごしてもらって

その後に帰ってもらいます。しかし、当分は

仕事とかは控えてもらいます」


一週間か昨日の事もあるから心配しちゃうな


予定通り私は午後には退院できて

家に帰ってきた


「早いな帰ってくるの」


「まぁ、傷は多かったですけど重症って訳ではなかったですからね。」


「ホントに良かったよ。傷痕残らなくて」


二人は家でとてもゆっくりしていた

午前中に仕事とかを終わらせたのだろうか?


「午前中は何してたの?」


「なんにも」


「特にはありませんでしたね」


「待って、ホントに何もしてないの?」


二人が頷く

仕事も何もなかったのだろうか


「お前知らないのか?」


「何を?」


「昨日社長から指示がありまして」


「簡単にまとめると当分仕事は無いってよ」


「その代わり、ヒナの面倒をお願いされました。理由は不明ですけど」


社長もヒナちゃんの変化に気づいていそう

けどこの二人ときたら全く気づいてなさそう


「はぁ〜、これだから男共は」


「なんだよ」


「癪に障りますね」


「いいでしょう!特別に教えてあげます」


かくかくしかじか(少女説明中)


「なるほど、そんな事が」


「そうだな。俺達はもう慣れたがアイツはそうじゃないのか」


「私達に面倒を頼んだのは理由があるの」


「だからちゃんとやれだろ」


「言われなくてもちゃんと計画してます」


紙を勢いよく私に見せてきた


【ヒナ復活大作戦】


と一番上に書かれて

その下にも色々と書かれている


「へえ〜、色々考えてくれたんだ。

名前はアレだけど」


「なっ!完璧な作戦名でしょう」


「だよな!やっぱアレだよな!

ほら言ったろ!」


「むむむむ」


心配なところもあるけど

この二人なりにヒナちゃんの事を助けてあげようとしてるんだ


--------------------

医療部 治療室


「ヒナさん。昼食です。起きて、って起きてるなら返事してください」


「すみません」


昨日は全然寝れなかった

ハナさんが来た気がするけどあまり覚えてない

ただ一つ分かるのは

俺はもう後戻りはできないって事だけ


「また、食べ終わった頃に来ますね」


医療部の人が出ていく

献立はご飯に味噌汁、肉じゃが、おひたし

それとプリンだ

和食で揃えたならデザートまでやろうよ

抹茶プリンにするだけでも違うじゃん

それはそうとして

全く食べる気にはなれない

というか利き手が使えないので

食べるのに苦労する

とても面倒くさい


「マスター。面倒でも食事はとりましょう。傷も癒えにくくなってしまいます。」


「わかってるよ。NAVI」


母親かよコイツ

あれ?NAVIって勝手にこんなことするやつだっけ?まぁいいや


左手で少しご飯を口に運んで

俺はまたすぐに横になった


「あっそうだSSDを外さないと、、あれ?」


外そうと頭に手を回してもソレは無かった

けど、今確かにNAVIの声が聞こえたはずだ


「はは、幻聴か?俺相当疲れてるな」


そのまま俺は昼寝を始めた


--------------------


「違う!こっちの方がいいに決まってるでしょ!」


「そんな訳ないですね。こっちの案の方が

合理的です」


二人が今までにないほど白熱した話し合い?

をしている

俺が入る隙もない


「《シュン》俺はどうしたらいい?」


「はい、諦めてヒナ氏のお見舞いに行くことを提案します。」


「それでいいか」


立ち上がって出かける準備をする


「くれぐれも物を壊したりするなよ!

あとはお前らが決めてくれ!」


ヒナの所に行くまでに見舞いの品を買う


「こんな時何を買っていったらいいんだろ」


こんなこと初めてだから何を買うか全く思いつかない


「シュン、何を買っていくのがいい?」


「お見舞いの品でしたら、果物や花などはいかがでしょうか?」


「果物にするか花とか分かんねぇし」


そうしていくつか買ってヒナものとへ向かった


「よう!ヒナ、具合はどうだ?」


「タキさん。はい、かなり良いと思います」


思っていた程落ち込んではなさそうだ

笑顔でこっちを見て返事をしてくれてるし

ハナの夢だっんじゃないか?

まぁ、元気なら良かった


「差し入れ、買ってきたぞ」


「ありがとうございます」


「その腕じゃあ、食べずらいよな」


ミカンの皮をむいて皿にのせる

皿の上にどっさりとミカンが積み上がっていった


「食べないのか?」


「さっき昼食食べたばかりなので」


これはたしかに重症かもしれない

もう16時だ昼食を食べたとしても

食べられなくなるほどではない

つまり食べれないんだ

この様子だと昼食もあまり食べれてないな

よくよく見ると点滴があるし

自分で食べれないんだ


(ミスった〜果物にしちゃったよ)


少し前の自分に怒りが湧いてきた

どうにかして前向きな話をしないと


「え〜と、そっそうだ!

ハナの事だが傷も治って特に異常もなく

退院できたってよ。これもお前があの時、」


(ヤベッ!今この話は!)


「そうですね。俺があの時黒い服の人を

撃ち殺したからですね」


(やっちまったよ完全にする話を間違えた)


その後は二人とも黙ったまま俺は帰った


「はぁ〜、やらかしたよ。どうしよ」


ため息をつきながら買い物をして家の前まできた


「ただい、、、は?」


玄関を開けると地獄があった

真っ二つに割られたテーブル

中身を出された棚

棚から出されて散らかった中身

それ以外にもほとんどの部屋の物が地面の上に放り出されていた

そして


「私の勝ち♪」


「いいでしょう。その案でいきましょう」


二人が物質の海の真ん中で固い握手を交わしている


「何やってんだお前らー!!!!」


————————————————————


「こいつがやりました」

「この人がやりました」


二人とも正座の状態でお互いを指している


「まずはごめんなさいでしょうが!!」


「すまん」

「ごめんなさい」


二人とも下を向いて謝罪する

でも何があったのだろうか?

そうそう部屋を破壊する事なんてないぞ


「事情を聞こうか」


「それがですね…………」


………

……

「くれぐれも物を壊したりするなよ!

あとはお前らが決めてくれ!」


タキがどこかに行ったが

今の私に関係ない

今はこの私の案を押し通すことだけだ

ハナの案も面白いと思うが少々合理性に欠けるところがある

ここは私の案が

【射撃訓練で嫌な事も撃ち殺そう作戦】

が完璧である事を教えなくては!


「ヒロくんの案のどこがいいってのよ!」


「私の完璧な案に良さを見いだせないのか!可哀想にな!」


「そんなので気が晴れるのはヒロくんみたいな人だけだよ」


「私が特殊みたいな言い方だな!」


「そうでしょう」


ぐぬぬぬ

このままでは埒が明かない、ならば!


「いいでしょう。ここは勝負で決めましょう」


「いいね!話し合うよりも単純で」


「内容は!これだ!」


叩いてかぶってジャンケンポン

昔からある勝負方法だ

しかし力で負けている私でもハナに勝てるかもしれない勝負!

単純な力ではなく反射神経や運が勝敗を分ける


「さぁ、始めましょうか」


「「叩いてかぶってジャンケン、、ポン」」


そう、これは運が必要だと思われるが

そうではない!

これまでの傾向を見ていれば相手が出す手

なんて手にとるように分かるのだよ!

ハナは最初に出す手はいいまでの傾向から

グーかチョキ!

つまりグーを出せば負けないのだよ!

勝った!


パー対グー ハナWin


(なっ!なんだと!)


驚いて反応が遅れてしまった

急いでヘルメットを被ろうとしたが


(間に合わない!てか、生身でハナのピコピコハンマーをくらうとか死ねる!)


全力で体をのけぞらせ避ける

テーブルが当たったところから真っ二つに割られてしまった

ホントにコイツの力は化け物だ!


「避けたらダメじゃ〜ん」


ハナが追撃の姿勢をとる

ヘルメットはさっきテーブルが割られた時

ハナの方向へ飛んでいってしまった

あれを回収して被らないと

ドカッ!ガズッ!ドコッ!

部屋を駆け回ってやっとヘルメットを回収できそうなところで


「させるかぁー!」


ハナがヘルメット素手でを叩き壊してしまった


「お前!それ反則!」


「知るかー!」


ピッッッッツツ!!!!!!!


「ウガッ!」


そのまま倒れ込む

頭が痛くて、揺れて、もう何も考えられない

揺れる視界の中ハナが手を差し伸べてきた

私はその手をとった


「私の勝ち♪」


「いいでしょう。その案でいきましょう」


「何やってんだお前らー!!!!」


————————————————————


「なるほどな、アホかお前ら」


「アホってなによ!」


「そうです!私達は真面目に!」


「はいはい、とりあえずこの修理費は二人でどうにかしてくだいよ」


そう言うと二人はお互いに睨み合う

お前のせいだ。と言い合ってるようだ


「それで?案はまとまったのか?」


「あー!そう!決まったわよ!」


そう言って一枚の紙を俺に見せてきた

そこにはおぞましいものが書かれていた


「ヒナちゃんを元気づけるにはコレよ!」



To be continued……

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