第10話 ヒナちゃん復活大作戦です(後編)
人を殺してしまった
別に殺した事にはもう気持ちの整理は
ある程度ついてはきている
そしてもう後戻りは出来ない
前に進み続けるしかないって事も
「そんな簡単に割り切れるかよ」
そう簡単に前を向けるなら人は悩んだりしないだろうな
いくら考えようが悪い考えが出てくる
しかし逃げ方がない訳ではない
人のせいにするんだ
自分がしてしまった事、そしてそれによって引き起こされた事も全て他人のせいにする
でも誰のせい?
黒い服の人?治安局?はたまたは
いいや誰のせいでもない、きっと皆
自分の中の使命に沿って行動しただけだ
誰のせいではない
じゃあ、なんで俺はこんなに苦しい思いを?
「マスター、考えすぎです。」
「NAVI、お前には分からないよ。
機械のお前には」
「いいえ、分かります。」
「分かるわけないだろ!」
「分かります!何故かは分かりませんが
マスターの感情が思考が私に流れ込んできます。なので分かります。」
SSDにそんな機能が?
だとしたらコイツはとんでもないな
「よう!ヒナ、具合はどうだ?」
「タキさん。はい、かなり良いと思います」
心配されないように笑顔で応える
俺のために果物を買ってきてくれたようだ
優しいなこの人は俺が食べれるように
皮をむいてくれるなんて
けど今は食べる気にはなれない
「それじゃまた来るよ」
「はい、ありがとうございます」
30分程したらタキさんは帰った
静かな病室がさらに静かになった気がした
(ハナさんは無事退院出来たんだ良かった)
ハナさんは俺が見た時は包帯で巻かれて
大変そうだったけど
俺より早く退院してた
「ヒナさん。面会は終わりましたか?」
「はい、今帰られました」
「それはお見舞いの品ですか?
タキのヤツめ食べ物を持ってくる時は必ずこっちに渡せって言ってるのに」
「すみません」
「君が謝る必要は無いだろう?これは預かっておくよ。そのミカンは置いておくから」
そう言ってカゴに入った他の果物を持って
先生は出ていった
「マスター、ミカンは早めに食べてくださいね。」
「分かったよ」
ミカンなら箸とか使わなくても食べられるし
食べてもいいかな
ミカンを口に運ぶ
「おいしい」
旬の時季ではないから最高って訳では無い
けどおいしい
久しぶりにしっかり味のする物を口にした
ミカンはすぐに無くなってしまった
「マスター、その調子で少しずつです」
以降俺の食事には果物が出るようになった
俺はどんなに食欲がなくてもソレだけは食べた
そして食事もいつものように食べれるように
回復してきた
そして毎日チームの誰かが来てくれた
そんな日が一週間程続いた
「うん、だいぶ良くなったね」
「先生のおかげです」
怪我も治ってきて退院まであと少しってとこまできた
「最近はご飯もしっかり食べてるし、治療に協力してくれた君の力があってだよ」
最近はちゃんと食事もとっている
心なしか落ち込んでた気分がマシになった
あの事も結構前向きに考えられている
「明後日には退院かな」
「本当ですか?」
「ええ、骨もある程度くっついてるし、けどまだ完全には治ってないからそこだけ気をつけてね」
「分かりました」
思っていたよりも早く退院出来そうだ
明日タキさんとかに教えてあげよ
………
……
…
「そうか、明日には退院出来るんだ」
「はい、タキさん達には毎日来てもらってありがとうございました」
「なっなんだよいきなり。まぁありがとな」
今日はタキさんがきた
そして明日退院出来る事を伝えた
「そうか、明日か、、」
「どうしました?」
「い、いや!なんでもない!」
ふーん、なんか隠してる気がするけど
タキさんが言うならなんにもないんだろう
「それじゃ、俺もう帰るわ」
「はい、ありがとうございました」
手を振りながらタキさんは帰った
その夜、、、
「そろそろ夕食か、、」
「ヒナちゃん、夕食ですよ〜」
「ん?えっハナさん?そんな訳な、、、、、あったわ。てかなんですかその格好?」
「何ってナース服だが?」
「ヒロさんもですか、、、」
ナース服を着た二人が夕食を運んでくる
異様な光景で言葉が出ない
てゆうかなんでヒロさんも?
「お、おい、マジでやるのか?」
「ほらほらー恥ずかしがらずに!」
「覚悟を決めてください」
身体を震わせながら
メイド服を着たタキさんが入ってきた
「死にたい………」
顔真っ赤でなんなら少し泣きそうになってる
可哀想に着たくて着てる訳ではなさそうだ
「ほらほらーそんなんで大丈夫?」
「そうですよ。ここまできたらやりきるしかないです」
「うるっさいわ!てかなんで俺だけコレなんだよ!」
たしかにタキさんだけメイド服
他の二人はナース服なのに
いやナース服もおかしいけどね
「用意出来なかったからですね」
「だから私のを貸してあげたんでしょ」
「わざわざそんなもん用意するな!
あとお前も余計なお世話だ!」
ギャーギャーワーワー
俺を置き去りにして三人で盛り上がってる
でもこれがこの人達の日常のようなもので
この騒がしさを見てると何故だか笑みが溢れてくる
「ふふふ、皆いつもと変わりませんね」
笑いながら言うと
「ヒナちゃんも元気そうで良かったよ」
「悪かったな俺達だけで盛り上がって」
「タキのせいですけどね」
「なんだと!」
また騒がしくなりそうだ
でも悪い気はしないな
————————————————————
新東京市 某所
「さ〜て、最近の治安局の活動の理由はなんだろな!」
「マスター、相手は治安局です。油断しないように。」
「分かってるって、危なくなったらすぐに接続を切るよ」
パソコンを操作して治安局のデータベースにアクセスする
セキュリティは強固だが、突破出来ない訳では無い
「固いな、国家機密並か?でも、、、、、、入った!」
セキュリティを若干無理矢理だが突破し、
データベースにアクセス出来た
「何があったんだ〜?」
ふむふむ
最近少し銃器の使用やそれ以外の兵器も使われているようだ
「おかしいな?治安局はあくまで治安維持が目的であって、銃器なんて使う事あるのか?」
少し考え込んでいると
SSD《ノア》から報告が入る
「マスター、治安局側から攻撃を受けています。直ちに接続を解除してください」
「分かったよノア、、、ちょっ!?」
「どうなされましたか?」
「切れない、接続が切れない!」
「マスター!すぐにここから離れます。準備を!」
「あぁ!分かった、、、ふん!」
最低限の機材を持ち出して外に出る
「ノア!セーフハウスまで最短距離で!」
「了解しました。」
治安局本部
「ネットワークに侵入者!」
「ただちに特定作業にうつれ!
慌ただしく人が動いている音が聞こえる
なんかあったのか?
「局長!起きてください!」
「ん?なんだよ」
アイマスクを外して応える
様子を見るに緊急事態のようだ
「データベースに侵入者です!」
「寝言は寝て言え。それじゃおやすみ」
「起きてください!本当ですって!」
「分かった、分かった!
実働部隊に出撃命令出せばいいんでしょ!」
アイマスクを付けたままマイクに向かって
出撃命令を発令する
「別に勝手に動けばいいのに」
「そういう訳にはいきません!
あの部隊は局長の発令がないと動けないんですから」
「面倒なもんだね。あとは任せたよ」
そうして私は再び惰眠を貪った
新東京市 某所 セーフハウス
「ふぅ、ここなら」
「マスター、自宅周辺の防犯カメラの映像を見ましたが、治安局は自宅の方へ向かっています。」
「囮も置いておいたし、一日はいけるはず
早めに連絡をとるか」
持ってきたパソコンからとあるところへ
依頼を送る
依頼リストに一件追加された
【匿名 治安局に追われているから助けて】
「ふーむ、イタズラか?」
依頼の詳細を見ると驚いた
「報酬がこんなに、期限は明日までか」
護衛任務の一種だが、報酬が魅力的だ
本来治安局絡みの案件は受けたくないが
これは受けるだけの利益が出る
「あいつらに頼むか、復帰直後で悪いけど」
まさか、報酬に治安局のデータベース内の情報があるなんてこれを逃す手はない
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