第7話 お仕事です!
武器を選んだ次の日
俺達は引越し作業に明け暮れていた
俺の荷物はそんなに無いけど
「あー!これ去年無くしたヘアピン!」
「これ、いつの領収書でしょうか?」
「お前ら整理してないのかよ」
タキさんはそこまで苦労はしてなさそう
けど残りの二人が大変そう
ハナさんはとにかく小物が多い
ぬいぐるみとかコスメとか
ヒロさんは単純に散らかってる
紙の山からいつかも分からない領収書とかが出てきてる
「タキさんはもう終わったんですか?」
「おうよ!一週間前から片付けてたからな」
見た目によらず真面目な人なんだな
にしても二人の部屋からは掘り出し物が大量に発掘される
キーホルダー、爪切り、ネイル、ぬいぐるみ
眼鏡、依頼報告書、損害報告書、請求書
ハナさんのやつは私物だろうからいいとして
ヒロさんのやつは管理状態に不安がでる
「ん?なんでしょうコレ?」
「ヒロくん、どうしたの?」
「いえ、見覚えのない依頼書が見つかりまして」
(嫌な予感がする)
「ちょっと!この依頼まだやってないよ!」
「どうするよ!」
「皆さん落ち着いてください」
「どうしたんですか?」
何が起こってるのか分からないけど
三人の慌てようでなんとなく察しはつく
「まだ終わっていない依頼が見つかりました。なのでこれから配達です」
「引越しの用意も出来ていないのに?」
「私達にとって依頼は優先順位の高いものです。勿論引越しの準備よりもです」
という事で俺は慌ただしい中、初めての配達をする事になりました
「今回はどこまで行くんだ?」
「今回は第3区までらしいです」
「そこまで遠くないんだね」
「あの〜今回は何を運ぶのですか?」
「今回はこの黒い箱の配達です」
「中身は知らねーけどな」
不安だ
いかにも怪しい物ですよ感が出てるし
中身が分からないのもさらに怖い
「一時間もあれば終わります」
「初陣には丁度いいよ」
「大丈夫、俺達もいるから」
この人達の謎の自信はどこからきてるんだ
やっぱり経験?慣れって怖い
「荷物はタキが持て、残りがそのサポート」
「了解」「わかったよ〜」「了解です」
全員で一斉に走り出す
目的地まではNAVIに誘導してもらっている
他の人達も個人でSSDに誘導してもらっている
壁を駆け上がり、建物の間を飛び越え
目的地に辿り着いたけど
俺が着いた時にはもう他の人たちは荷物を渡していた
「遅かったね」
「けど初めてにしてはいいと思うぜ」
「そうですね。ここまでも簡単なルートではないですし。迎えに行ってあげようと思っていましたけど必要なかったです」
褒められてるのかな
確かにちょっと複雑な道だったけど
NAVIの誘導の通り走ってたら着いた
「それじゃあ帰りましょう」
「おー!」
「帰ったら荷物まとめろよ!」
仕事中でもこの人達はこのペースなのかな
でもまぁそれも悪くはないかな
「早く来いよー」
「置いてくよ〜!」
「ボーとしてないで行きますよ」
「はーい!今行くよ!」
帰りは足並みを揃えて
雑談でもしながら帰った
そして
………
……
…
「疲れた」
新居への引越しが終わって自室で横になる
新居はシェアハウスみたいな感じて
台所とトイレ、お風呂が共用でそれ以外は自室に完備されてた
一応居間で食事が出来るようになってはいたがこのメンバーがちゃんと集まるとは思えない
俺の使う家具は皆さんが入社祝いとかなんかで揃えてくれた一部不要な物も含めて
「悪い人達ではなさそうだな」
そう呟いてそのまま眠りについた
………
……
夢を見た
いや昔の記憶
誰かの記憶
視界に広がる炎
聞こえてくるのは悲鳴と何かが潰される音
そんな場所に逃げられずに
ただ見ることしか出来ない
手を伸ばしても届かない
というか手が無い、足も
俺は今どんな状態なんだ?
「はや、、と、」
目の前から人が近づいてくる
この声には覚えがある
これは父の声だ
しかしその父は今にも倒れてしまいそうな
傷を負っていた
身体中真っ赤に染まり
右腕がいつもより短くなっていた
「お前、だけでも、、逃げるんだ、、」
そう言ってパソコンを操作している
「仮のアバターに送る。
無理矢理送るから記憶が少しの間無くなるかもしれないが、お前は動けるようになる。
そしたら一般回線に流す。」
そしてパソコンのEnterキーを押すと
俺の頭の中で声が響く
【人格を強制転送します。転送まであと5…】
「勇人!真人を頼んだぞ、、」
「いたぞ!生き残りだ!」
「殺れー!全員皆殺しだ!」
【転送します】
それが俺が見た最後の瞬間だった
……………
………
…
「ヒナ!起きてくれ!頼む!!」
タキさんの声だ
俺を呼んでる?
目をうっすら開けると
「良かった、とりあえず起きた」
すごく心配そうに俺を見る
寝てただけなのに
とりあえず起き上がる
「お前、自分の
「ヒナ、ですけど」
タキさんがすごく安心した顔でその場でへたり込む
「SSDを着けたまま寝るなよ。驚くだろ」
「すみません」
少しの沈黙の後部屋の外から慌ただしく
誰かが近づいてきた
「ヒナちゃんが起きれるようにすごく苦い青汁作ってきたよ!」
ハナさんが勢いよく扉を開けて入ってきた
そのまま俺の方へ近づいてきて
俺の口の中へ青汁を流し込んできた
「ちょっ!俺起きてるってにっっが!!」
人が飲めるもんじゃない
タキさんに助けを求めるも
「今回はお前の自業自得だ。諦めろ」
(そっ!そんなあー!)
____________________________________________________________
あとがき
はじめましてかな?
夢の続きです
さて、読者の皆様新東京逃走記を
読んでいただきありがとうございます
普段はこんなあとがきとか書かないのですが
皆さんにお知らせがあります
別にそんな大層なものではないのですが
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Xでは近況報告や創作中の独り言の他
作品をもっと楽しんで貰えるようなものを
投稿出来たらいいなと思っています
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