第3話 最初に目指すは新しい…

村を出て………三日がたった ここどこ?前途多難である


アルナ「ねぇ〜カラン本当にこの道で合ってるんでしょうねぇ?」

今俺たちが進んでいる道は、道と言えるか分からない場所である


カラン「地図によればこの道で合ってるんだけどなんで迷うんだ?」

アルナ「ちょっとその地図かしてみなさい」

地図を渡して少し休憩をする、袋の中にある星の実を齧っていると


アルナ「あんたこれ…本物の地図じゃないじゃない」

     ヒュ~ 〜o

カラン「嘘だろ?」

アルナ「だってこれいつもあんたが読んでた物語の地図じゃないの?」

地図をよく見ると右下に何ページ用と書かれている


カラン「え?俺何してんの?」

アルナ「それは私が聞きたいわよ、まぁ今は食料よね」

カバンに入っていた食料はそこを尽きていた…


アルナ「と言うことで動物を狩りましょ」

今いるここは森の中だ、探せばまぁ動物の一匹や二匹いるだろう

その考えが甘かった


アルナ「な、なんでこんなに動物が少ないのよ」

ここは森の中、辺りは自然だらけなのに動物に遭遇しない


カラン「まぁ今は歩こう、地図見て迷ったてことは見てない今出れるかもだし」


そう言って二人は歩いた


三日前村を出たは良いもののそもそも村の周りがどうなっているのかは二人とも知らなかった、最初広い道をまっすぐ歩いていたがそこであの地図だ

その地図を見て歩いて行った結果今に至る


カラン「この森に入ってから何日経ったかな」

アルナ「んー多分二日?かな」

カラン「なら今日中にこの森を抜けよう」

だが歩いても歩いても森から出れる気配はない、後々分かる事だがこの森は

過ぎ去りし森と呼ばれる場所だ、この森に入れば時間感覚がずれて時間が過ぎ去って行くとそう噂されている…


カラン「たくさん歩いたけどなんかずっと同じところを歩いてる感覚だ」

アルナ「変なこと言わないでよ」

カラン「だってここの木見覚えがある」

さっきアルナに地図を渡した所だ、俺が座った跡もある


カラン「ここから出る条件でもあるのか?」

アルナ「わかんないけど、昼間探しても見つからないなら夜とか?」

カラン「それはありそうだな、今日は起きておこう」

アルナ「そうね、そうしましょう」

ちょど夕方ぐらいになってきた、少し休憩するために座る


アルナ「水は私がなんとかできるけど食料どうしよっか」

カラン「あ〜、さっき俺が齧ったけどそれでもいいならほら」

渡してきたのは星の実だ、歯形…


アルナ「まぁいいわ、それで」

(え、待って待ってこれって間接…私カランと間接キ、キスするってこと?でもカランは気にしてないし渡してきたってことは良いってことだよね)

顔は一見クールに見えるが内面は一面ピンクのお花畑である、カランは知りもしない。


アルナ「いただきます」

カラン「そういえばなんでおじさんの育てたやつと他の人が育てやつってこんなに違うんだろ」

アルナ「あんた知らないの?あのおじさん土魔法が得意でおじさんが育ててるところの土は上質なのよ」

カラン「え、そうなの?」

アルナ「おじさんが育てた星の実は他国の国王様とかにも人気だそうよ」

カラン「ふ、ふーん」

(え、待って俺いつも食べてたやつってそんなすごいものだったの?)

そりゃ怒るわけだとなぜか納得できウンウンと頷く


アルナ「いやあんたがいつも怒られてたのは勝手に取ってるからでちゃんと頂戴って言えばくれるわよ」

カラン「えそうなの?てか心を読むな」

アルナ「あんたがわかりやすいのよ」

なんて喋っていると辺りが暗くなった


カラン「よし、いくか」

アルナ「わかった」

立ち上がりまた森を歩く するとすぐに変化に気づく


カラン「アルナが言ってたのが正しかったみたいだな、同じところ歩いてる感じがしない」

アルナ「それは良いけど見えにくいから火出して」

カラン「ちょいまち」

先生が言ってた魔力だけの属性変化、ぶっつけ本番だがやってみる価値はある


カラン「こんな感じか?」

魔力を掌の上に留めるイメージ、そしてその魔力が火で光るイメージ


カラン「ん、結構これ難しいな」

魔力を留める、言うは易し行うは難しとはこのことか 何もないところに留めるなんて普通にできるわけがない。だが魔法は自由だ


カラン「目を瞑って深呼吸」

目を開いて、俺はできる

一気に集中をして固めた


カラン「よし、できた」

カランの掌の上で光の球体が出来上がった、その球体の中には小さな火が灯っている


アルナ「あんたよくできたわね」

カラン「まぁ、先生にやり方は教わってたから」

確かに原理は教えていただろう、だけど留め方などは教わっていない

本当にイメージだけで出来たのだ


カラン「ほら行こうぜ」

アルナ「はいはい」


しばらく歩いていると少し奥に光が見えた


カラン「お!森の外の光か?」

アルナ「待ってカラン、あの光なんかおかしくない?」

その光は強くなったり弱くなったりを繰り返している



アルナ「慎重にいきましょ」

カラン「あぁ」

ゆっくりその光に近づく、その光は少し緑がかっていた

光っている場所に辿り着き覗いてみる


そこには、白銀に輝く狼がいた


その昔ある魔物の大群が一国を滅ぼした、全身が白銀に輝く毛皮に覆われた狼

人は彼らを白銀狼(フェンリル)と名付けた、だがフェンリルは300年前に絶滅したと記されている。


カラン「な、なんでここにフェンリルが」

アルナ「え?フェンリルって絶滅したんじゃ」

カラン「だけど今実際目の前にいる、白銀の毛皮を持つのはフェンリルだけだ」

ここから離れないと、じゃないと死んでしまう。フェンリルは一匹で軍隊と同等と言われてる、勝てるわけがない


カラン「アルナ、ゆっくり下がれ」

二人がゆっくり後ろに下がる。するとどこからか声が聞こえてきた


「お前たちは私を殺しにきたのか?」


どこからだ?辺りを見渡してもわからない


「もし違うならば私の元にこい」


二人とも気づいた、フェンリルだ。この声の主は

二人が顔を見合わせる どうしようかと迷っているようだ


「大丈夫だ、お前たちが何もしないなら私も何もしない」


その言葉を信じてフェンリルの元にいく


大きく、そして神々しい光。

白銀なはずなのにあたりの色も混ざりながら碧に光る

強い光だが目が痛くならない 本当に不思議だ


フェンリルの前に出て尋ねる


カラン「あんたってあのフェンリルなのか?」

白銀狼「左様、私はお前たちの知るフェンリルだ」

アルナ「信じられない、本当にフェンリルだなんて」

白銀狼「そうだろうな、私の同胞は300年前に皆死んだ」

カラン「あんたはなんで生きているんだ?」

アルナ「カラン、そんな言い方」

白銀狼「構わん、私が生きている理由だったなそれは私が私だからだ」

カラン「どう言うことだ?」

白銀狼「私は同族の中で英雄と呼ばれていた、だが私たちはとある魔物と戦うことになってな。その時に私以外の同胞は皆死んだ」

アルナ「そんな…」

白銀狼「英雄がここで死ぬなって同胞が私を生かしてくれたのだが、私はもう長くない」

カラン「300年も生きたら寿命が来てもおかしくないのか」

白銀狼「そこのちっこいの、お前は魔物のことをどう思う」

カラン「ちっこいって俺のことか?」

白銀狼「私はお前たちの名前を知らんのでな」

カラン「俺はカランだ」

アルナ「私はアルナ」

白銀狼「カランにアルナか、良い名前だな」

カラン「それで魔物のことをどう思うかだったな、答えは敵対しないのであればなんでもいい」

アルナ「私もそうかな、ただ冒険したいだけだから」

白銀狼「はっはっはっはっはっは」

木々が揺れるほどの大声で笑った


白銀狼「旅をしたいだけだから、魔物には興味ないとは。これは面白い、クックック」

白銀狼「薄れていく意識の中たまたま見つけたお前らだが、最後に話せたのがお前らで良かったと心より思うぞ」

カラン「最後って…」

白銀狼「事実だ、嫌だと言って駄々をこねても変わりはしない。ならばどうすればいいか、簡単だ腹を括るしかない」

アルナ「でもあまり喋らない方がいいんじゃ」

白銀狼「断る、久しぶりに喋れる相手が来たのだ。ゆっくり喋ろう」

カラン「だったらさ、あんたそんなに生きてるって事はいろんな場所を知ってるんじゃないのか?」

白銀狼「あぁ知っているぞ」

カラン「じゃ空にある宝とか、世界樹とかってあるのか!」

白銀狼「…それは答えないでおこう」

アルナ「な、なんで?私も気になる」

白銀狼「気になるなら自分の目で見てみるんだな、世界は広くてとても面白い。お前たちは喋るキノコを知っているか?食べれる岩を知っているか?世界はそんな不思議でいっぱいだ」

カラン、アルナ「おぉぉー」

白銀狼「そんな秘密だらけの中に誰もが知っている噂とゆうのがさっきカランが言っていたものだ」

カラン「なるほど」

白銀狼「お前たちならいずれ行けるさ、なんせ楽しんでいるんだからな」

アルナ「楽しんでる?」

白銀狼「あぁ、冒険なんて好き好んでやってるやつは見たことない。だが未知と言うものは楽しみながら見つけて行くのが一番いい」

白銀狼「その点お前達は冒険を楽しみ、不思議を 未知を楽しもうとしている。これから先危険や苦難がくるだろうがそれらも含めて楽しいって思えたら一番だ。探究心と好奇心これがある奴はきっと辿り着ける」

アルナ「フェンリル…」

白銀狼「頑張れよカラン、アルナ」

アルナ「ありがとう、フェンリル」

アルナがフェンリルに近づき優しく撫でた、しばらくもふもふした後にこの森を出ると言うことを思い出しフェンリルに尋ねる


カラン「さて、俺たち今日中にこの森出たいんだけど知ってる?もう食料も尽きて早めに町かどっかにいきたくて」

白銀狼「しっているが頼み方があるだろう」

カラン「出方が分からないのでぜひ教えてください!」

白銀狼「ふん、まぁいいだろう。あっちにまっすぐ歩いていくと道に出る」

フェンリルが爪で場所を指してくれた


カラン「色々ありがとうフェンリル」

アルナ「またこれる時来るね」

白銀狼「あぁ、早めに来るんだぞ」

アルナは毛皮のもふもふが名残惜しいのか渋々ついてきた

フェンリルに教えられた道をしばらく歩いていると少し広い道が見えた

だが…


アルナ「カラン見えてきたよ!」

カラン「そうだな…おいアルナ!危ない!」

        ドォン

カランが咄嗟にアルナを庇い倒れる、そこにいたのはオークだった

すぐそこにはオークの棍棒で叩きつけられた跡がある。

(おかしい、こんなところにオークなんて本来ならいないはずだ)

オークは本来洞窟や森の奥の方にいるがここは普通の道の近くだ


カラン「!?」

(なんだあれは)

オークの周りをよく見ると黒いモヤがまとわり付いている、そんなものも本来なら無い


カラン「おいアルナ、時間を稼ぐからお前は道の方に走れ」

アルナ「そ、それじゃカランが」

カラン「俺は大丈夫だから、早く行け!」

アルナの背中を押して走らせる


カラン「でもちょっと怖いから誰かに助けを頼んできてくれ」

アルナ「う、うんわかった!死んだら呪うからね!」

カラン「アルナ!魔法使っとけ!道も安全とは限らないから」

アルナの方を見るとすでに水玉が三つ出ていた


カラン「さすがだな」

オークがアルナの方を向き追いかけようとする


   カラン「 魔を燃やせ 」


カラン「お前の相手は俺だよオーク」

鎌がオークに向けて放たれる、オークの顔が燃え上がり視覚を奪った

(これでダメージが入ってくれれば良いんだけど)

アルナは完全に森から出ている、顔を燃やしていた火が消えこちらを向く

睨んでいるようだ


カラン「なんだ?女の尻を追いかけられなくって怒ってるのか?それは残念なことだけど俺の相手をしてくれないと俺も悲しくてね」

もう一度顔に向けて火を放ったがかわされた、そのままカランに向かって棍棒で薙ぎ払ってきた


カラン「これ一回でも当たったら死ねるな」

ギリギリでかわしたがこんな事何回もされたら流石に無理だ

(どうしたもんか、オークの顔にもう一回火を当てれれば逃げれるかもだけど)

オークは意外にも早く動けることに驚いた


カラン「土魔法で一回隙を作るしかないか」

今は火の魔法を使っているので土魔法の威力が下がる

けど

(地面を少し揺らすだけでもいけるか…)


手を地面につけ呪文を唱える


カラン「 我が進む道 邪魔される事なく 作り変えらん 」

オークの足元が少し盛り上がる、その変化に気づきオークが少し後ろに下がるが


(十分だ!)


カラン「 魔を燃やせ! 」

顔に向けて放つ、だがその時違和感に気づいた…オークが棍棒を持っていない

(どこにやった?いつ?大丈夫か?)

心の中が一瞬不安で押され集中が崩れた

放たれた火は、少し上にズレてかわしやすくなってしまった

オークが少し屈んでそれをかわし、カランに向かって突進をした

(やっば)

カランはかわせなかった、もろに突進をくらい肋骨と腕が折れ内臓が破裂した


カラン「カッ…」

後方に飛ばされ木にぶつかった

オークがこちらを歩いてくる、オークがさっきいた少し後ろのところに棍棒が置かれていた


カラン「お前、あだまよずぎだろ」

お腹の中が冷たく感じる、折れた右腕が震える、呼吸するたびに折れた肋骨に内臓が食い込む感覚が分かる


(まだ世界一緒に見てないのに俺、死ぬのかな)

涙が溢れる オークがカランを持ち上げ首を折ろうとした

その時オークの後ろから声が聞こえた


      「やめて!」


(ダメだ、逃げてくれ お願いだ お前が死んだら)


だがオークの手は止まらなかった ボキッ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る