Worst ever meiden. (ワースト・エヴァー・メイデン)

猫野 尻尾

第1話:掘り起こされた墓。

一話完結のお試し投稿です〜。(=^x^=)



その夜、二人の男が数人の部下を連れて洋式の墓地にいた。


「この墓か・・・」


墓石に刻まれた名前は


「エウリュアレー・メデューシ」


「これだな・・・彼女の墓に間違いなさそうだな」


《ヴァン・・・どう?》


「はい、パルヴァローテ様、これから取り掛かります・・・」


《そう、じゃ掘り起こして》


「いいんですか?」

「この墓は政府が管理してるんでしょ、関わることは禁止されてるんじゃ

ないですか?」


《墓を掘り起こすのは緊急時だからよ》

《いいから、掘り起こして覚醒する前に本社まで運んで》

《ラボに持ち込んで制御チップを埋め込めば大丈夫よ》


「分かりました・・・では掘り起こします」


ヴァンが連れてきた数人の部下が墓を掘り起こしはじめた。


「ヴァン・・・伝承に書かれてあることは本当のことなのか?」


「ああ・・・昔のことだからな、どこまで事実なのかは分からない」

「なんでも、この墓の下の女、エウリは、その昔魔女狩りで唯一捕まら

なかった魔女だって話だ・・・レオルド」


「エウリを捕まえようとエクソシストと村の者がエウリに挑んだらしい、

だが、結局こいつは村も森も全区域をあっと言う間に焼く尽くしたって話だ」


「過去から長年の我々のライバルだったガネルバニック「組織」もこいつが

ひとりで殲滅したって話だぜ」

「あまりの脅威ってことで魔術師評議会の六長老がアマルダの短剣を

使って、エウリを封印したって聞いたがな」


「で、ここに眠ってるってことか?」

「いいのか、掘り起こして・・・手に負えなくなるんじゃないか?」


「パルヴァローテ様が言ったようにエウリの力を制御するチップを

脳に埋め込むらしいから、大丈夫なんじゃないか?」

「そうしないとヤバいことになるからな」

「エウリが自分の力をすべて解放したら俺たちの世界は一夜で終わるからな」


「俺たちの別のライバル組織が勢力を伸ばして来てることだしな、最近

好き勝手やりはじめたから、俺たちにとっても少なからず影響を与え始めてる。

放っておくと脅威になるからな」

「しかも人工の魔法使いのクローンを量産してるって話だ」


「だから、こいつを墓から掘り出して我々の兵器としてに敵に対応しよう

って腹か・・・ヴァン」


「そうだレオルド」


ヴァンたちは土を掘り起こし棺桶の蓋をあけるとそこに、真新しい肉体の

ままの少女が眠っていた。

腐ることもなく・・・。


そして少女の胸に一本の短剣が刺さっていた。

それがアマルダの短剣。

短剣が刺さっているかぎりエウリは目覚めない。


ヴァンたちはエウリの肢体を本社のラボに持ち帰った。

ラボの実験用のストレッチャーに寝かされたエウリにさっそく制御チップを

脳に受めこむための処置がなされた。


エウリの脳にチップを埋め込んだとたん、それだけでラボの機器がすべて

エラーを起こしショートした。


「ひとりの小娘のためにラボが使えなくなったわね」

「敵には回したくない女ね」

「まあいいわ、せいぜい私たちのために働いてもらいましょ」


この組織の研究ラボの責任者パルヴァローテがそう言った。


「小娘を目覚めさせて!!」


ラボにいた科学者兼医者のひとりがエウリを目覚めさせようと受容体

拮抗剤を彼女の首に打った。


そしてアマルダの短剣がエウリの胸から抜かれた。


エウリは静かに目を覚ました。

しばらくそのままで瞬きをすると、上半身を起こした。

そして周りを見渡すと科学者とラボの外にいたパルヴァローテを防弾ガラス

越しに見た。


史上最強最悪の魔女がこの世に目覚めた。


彼女の名前は「エウリュアレー・メデューシ」


通称「ワーストエヴァーメイデン」

世界を滅ぼす魔女。


この世がすべてが彼女によって殲滅されるどうかはバルヴァローテの

魔力にかかっていた。

彼女もまた唯一、魔女狩りから逃れて生きながらえてる魔女のひとりだった。


END.



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Worst ever meiden. (ワースト・エヴァー・メイデン) 猫野 尻尾 @amanotenshi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ