第13話 月とのお買い物 その2

月ちゃんと買い物をするけど。買い物と言っても買うのはコロッケの食材だけ。

買うのはジャガイモ、玉ねぎ、豚肉のひき肉......これだけ。

パン粉、小麦粉、油は家にあるから買う必要はないけど、パン粉と油は残り少ないからこれも買っておく。


 なので、普通ならば買い物はすぐに終わってしまうけど、せっかく月ちゃんとの買い物デート…….

と言うには近所のスーパーで、デートらしい雰囲気はないけど、わたしはデートと言ってもいいかな。

でも、月ちゃんにはデートじゃないと言っておいて、自分はデート気分なのは月ちゃんには悪いかな。


 そんな事を考えていたけど、月ちゃんはコロッケに使う食材を買う時は特に何も言わなかったけど

お菓子やデザートコーナーに来るとわたしの袖を引っ張る。


「あ、あの……」


月ちゃんは何か言いたそうだけど、袖を引っ張るって事はねだってるって事はだよね。


「甘いものが欲しいなら、1つか2つならいいよ」

「......いいんですか?」

「袖を引っ張ってねだられたらダメって言えないよ」

「......はい」


月ちゃんはそう言って、袖から手を離して目線を逸らして頬を少し染めて恥ずかしがる。

それを見てわたしはニヤっとするけど、月ちゃんは本当にかわいいな。


「たい焼きもある事を忘れないでね?」

「もちろん......覚えています」

「あとコロッケも忘れないでよね?」

「コロッケもちゃんと覚えています……」


月ちゃんはさらに頬を染めて目線を逸らす……というよりは、欲しいお菓子をを選んでいるかな。

でも、足を止めずにお菓子の棚と冷蔵庫を一通り見ながら、買う物を選んでいるみたい。


「たい焼きがありますから......すぐ食べる物よりも持って帰れる物が良いですね......」


月ちゃんはそうつぶやきながらも、プリンにするかお高めのフルーツゼリーにするか悩んでいる。

どっちも冷やす必要があるけど、わたしの家から月ちゃんの家までなら保冷剤が無くても大丈夫か。

そして、うんうん唸りながら悩んでいるけど、折角だから両方を買ってもいいかな。


「そこまで悩むなら、両方買ってあげるよ」

「で、でも......」

「たい焼きに、コロッケの材料を買うんだから、プリンやゼリーぐらい同じだって」

「......さくらさんがそういうなら……両方にします……ありがとうございます」


そう言って月ちゃんはサイズが大きいプリンとちょっとお高めな桃のゼリーをかごに入れた。

ただ、考えてみたら月ちゃんの家で高いカステラやお菓子を、お茶請けで出してもらってるからこれぐら出さないとね。

あと、月ちゃんが選んだフルーツゼリーは美味しそうだったから、わたしはミカンのゼリーをかごに入れた。


「他に欲しい物はあるかな?」


わたしが聞くと


「はい、ありません」


と越えたけど、飲み物はいらないのかな?


「飲み物は欲しくないの?」

「お茶があれば大丈夫です......」

「お茶なら家で淹れるけど、暑い中を歩いたからちょっと飲み物は欲しいかな」


わたしは水のペットボトルを手に取ってカゴに入れたけど、月ちゃんもそれを見て少し悩んで……ノンカフェインのお茶をカゴに入れた。

飲み物の他にもう特に買う物がないので、このままレジへと向かった。


 会計を済ませ買い物袋に入れると、注文したたい焼きを取りに行く。

引換券を渡したい焼きを受け取ると、月ちゃんが今まで一番強い力でわたしの袖を引っ張った。


「月ちゃん、あまり強く袖を引っ張らないでね」

「す、すみみません……たい焼きを見たら……が、我慢できなくなりました......」


月ちゃんはそういってわたしの袖から手を離して背中を向けたけど、顔もいつもより赤くて本当に恥ずかしいと背中を向けるんだ。


「でも、焼き立てだから早く食べたいよね」

「は、はい……」

「でも、これからコロッケを作るから1枚だけよ?」

「いいのですか?」

「焼きたてを一応は味わっておかないとね」

「それではいただきます……」

「あと、立って食べるのははしたないから、そこのベンチに座って食べようね」

「はい」


月ちゃんは返事をすると、素早くベンチに座る。

その隣にわたしが座るとたい焼きをじっと見てねだるけど......なんか尻尾と耳があるように見える。

なんていうか、尻尾を振っておねだりする犬って感じかして、それがかわいいのでわたしはニコニコしながら紙袋からたい焼きを出して手渡した。


「はい、焼き立てのたい焼きだよ」

「はい、ありがとございます」

「手に持てるぐらいだけど、中身のあんこは熱いから気を付けね」


わたしは中身は熱いから気を付けって言うけど、月ちゃんはすでにたい焼きを口にしていた。

ただ、尻尾の方から食べてたから、端の方であんこはそんなに熱くなかったみたい。


「気を付けます……」


少し頬を染めながら月ちゃんは答えると、再びたい焼きを口にする。

甘い物を食べている月ちゃんは普段のほぼ無表情と違い、とてもいい顔で美味しそうに食べる。

そして、わたしはそれをみて思わずニヤついてしまうが、月ちゃんにばれると恥ずかしいので

月ちゃんの反対側に置いた自分の分のたい焼きをだして、月ちゃんと反対側を向いた。


「さくらさんが言うとおり......美味しかったです……」


たい焼きを食べ終わった月ちゃんは嬉しそうに言うけど、目線はベンチに置いてあるたい焼きの入った紙袋にある。

月ちゃんがたい焼き1枚で我慢できるとはわたしも思ってなかったけど、1枚だけと言ったけどかわいいからもう1枚たい焼きを手渡す。


「ありがとうございます……」

「これからコロッケも食べるから、今はこれでおしまいだよ」

「はい……これで我慢します……」


月ちゃんは2枚目で我慢すると言うけど、たい焼きを加えながら目線はやはり紙袋にある。

たい焼きを加えながら、紙袋を見る月ちゃんはかわいいけど......これ以上は甘やかさない!

っと思ったけど、気づいたら3枚目のたい焼きを月ちゃんに手渡してたいのだった。

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