第14話 月とのコロッケづくり その1

月ちゃんは3つめのたい焼きを食べ終わっても、もう1枚欲しい顔をしている。

確かに美味しいたい焼きだけど、家に帰ってコロッケを作るから、流石にこれでおしまい。


「食べ終わったから、早く家に戻ってコロッケを作ってあげるね」


と言って、月ちゃんの手を取り半ば強引にスーパーを離れたけど


「もっと……たい焼きをべたかったですが……さくらさんのコロッケを速く食べたいです……」


と月ちゃんは何かちょっと嬉し気ではあった。


 スーパーを出て、桜並木の交差点で信号待ちをする。

手は繋いだままだったけど、月ちゃんもわたしも離そうとしない。


 そういえば、月ちゃんと手を繋ぐ事がだんだんと普通になって来ている。

別に女の子同士が手を繋ぐ事を変だと思ってないし、友達同士で冗談交じりで手を繋いている。

でも、月ちゃんと手を繋ぐ時は、鼓動が早まって、少し顔が熱くなるけど……

月ちゃんとも友達同士で手を繋ぐのと変わらないとは思う。

それに月ちゃんもわたしと手を繋ぐのは嬉しそうだし、月ちゃんからも手を繋ぐことあるから

月ちゃんにとってはこれが自然かも。


 わたしが月ちゃんと手を繋ぐ事を考えていたら


「さくらさん……信号がかわりました……」


と月ちゃんが声をかけたが、考えている間に信号が変わっていた。


「あ、そうだね、早く渡ろう」


わたしは月ちゃんと手をつないだまま道路を渡った。


「さくらさん……信号が変わったのに……気づいてなかったです……」

「ごめんね、ちょっと考え事をしてた」

「考え事ですか?」

「えーとね、月ちゃんに美味しいコロッケをつくらないとって考えてた」

「そうですか……とても楽しみです……」


月ちゃんはにこりと笑うけど、考えてた事は本当は別の事。

でも、月ちゃんに美味しいコロッケを作りたいのも本当。

だから、一応は嘘は言ってはいないけどね。

それに、月ちゃんと手を繋いで歩くのはとっても嬉しいから、

月ちゃんと手を繋ぐ事を気にしするのはやめる事にしよう。


 家に着くと買って来たものをテーブルに置き、手洗をして料理を始める。

月ちゃんも買って来た食材から、どうやってコロッケを作るから気になっている様で


「コロッケをどうやって作るか……わたしも知りたいです……」


と言うので


「それじゃ、少し手伝ってくれるかな?」


と月ちゃんにお手伝いを頼む。


「わたしは……料理は出来ないですが……出来る範囲で手伝います……」


月ちゃんは頬を染めて目線を逸らして恥ずかしそうに言うけど、これはこれでかわいいな。


「それじゃ、エプロンを貸すから台所へ行こうか」

「はい……」


わたしは月ちゃんにエプロンを付けてあげると、食材を持って台所へ行く。

うちの台所はちょっと狭いけど、月ちゃんと肩ひじを合わせて料理するのも悪くないかな。


「それじゃ、まずはジャガイモをレンジで調理するね。それじゃ、ジャガイモを洗てくれるかな?」

「わかりました……」

「シンクのたらいにに水を溜めてジャガイモを洗ってね。洗ったらボールにに入れてね」

「はい」


買って来たジャガイモを袋から出し、水を溜めながらたらいに入れる。

月ちゃんが、ジャガイモを洗う間に、わたしはまず玉ねぎをみじん切りにする。

わたしは慣れた手つきで玉ねぎをみじん切りにするけど、買って来たばかりの玉ねぎだから目に染みる。

そして、横にいる月ちゃんも


「目に染みて……涙がでます……」


といって、手で涙をこするけど


「月ちゃん、料理中に目をこするのダメだよ」


と注意をする。


「……そうなんですか?」


月ちゃんはよくわかってないけど、目は細菌が多いから食中毒の原因になると月ちゃんに教えた。


「そうなんですね……」

「だから、もう1度ちゃんと手を洗ってね」

「わかりました……」

「ジャガイモを移すから、手を洗ってね」

「はい……」


わたしはジャガイモをたらいに移すと、月ちゃんは再び手を洗う。

そして、たらいをシンクに戻すとジャガイモを洗う。


「あの……どうやって洗うのですか?」


月ちゃんが聞いて来たので


「あまり土がついてないから、手で軽く洗えばいいよ。あ、洗剤はいらないからね」


と教えてあげた。


「はい……わかりました……」


月ちゃんは手でジャガイモて洗うけど、1,2度ジャガイモをなでるだけだった。

土があまりついてないといっても、これはちょっと簡単すぎる。


 もしかして、月ちゃんの面倒くさいがでたかな?

でも、あまりきつく注意したら、月ちゃんが嫌になっちゃうかもしれないけど

月ちゃんはさらに面倒な事があると、そっちの方が面倒になるから

ここはちゃんと注意したほうがいいのかな?


 わたしは悩むけど、ここはちゃんと言う事にした。


「月ちゃん、それは簡単に洗いすぎるよ。だから、もっとしっかり洗ってね。

あと、洗うのは溜めた水じゃなくて、水道の水で洗ってね」

「はい……さくらさんの方法で……もっとちゃんと洗います……」


月ちゃんはそう言うと、洗ったジャガイモも戻して洗いなおす。


「ジャガイモは……こうやって洗うのですね」

「そうだよ。あと、洗ったジャガイモはたらいに戻さないで、こっちのざるに入れてね」

「はい……わかりました……」


月ちゃんはわたしが教えたとおりにジャガイモを洗いざるに移す。

全てジャガイモを洗い終わると、ジャガイモの水を切り容器に入れ

ジャガイモをレンジにかけたのであと待つだけ。

その間に、わたしは玉ねぎとひき肉を炒めるておくのだった。

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