第6話 月は寂しがる
月ちゃんは俯いたままであったが、せっかく楽しい話をしに来たのにこれではダメ。
「月ちゃん、せっかく楽しい話をしてたのに俯いてたらダメだよ」
「わかっています……」
月ちゃんはやっぱり俯いたままだので、わたしは月ちゃんの横へいく。
「月ちゃん、お姉さんが結婚するのが寂しい?」
「……はい」
「月ちゃんはお姉ちゃん子だし、お姉ちゃんがいないと何も出ないからね」
「……はい」
「でも、ずっと一緒に居れないのもわかってるよね」
「……はい」
「でも、わたしだって年上だからお姉さんだよ」
「……はい……そうですね……」
姉と聞いて月ちゃんは顔を上げるけど、月ちゃんは姉に反応したのかな。
そして、月ちゃんは陽さんの事を話しだす。
「お姉ちゃんは……彼氏さんと3年付き合っていて……結婚の話がでてましたが……お姉ちゃんが言ってたとおり
彼氏さんにプロポーズをされましたが……わたしの事を気にして保留にしてます……」
陽さんも言ってたけど、月ちゃんを気にして結婚を決められないと言ってたけど、プロポーズもされてたんだ。
「でも……お姉ちゃんが結婚して幸せになって欲しいです……でも...…家から居なくなるのも……寂しいです……」
月ちゃんは陽さんが結婚して欲しい気持ちと、結婚して欲しくない気持ちの両方があるみたい。
月ちゃんははっきり言えばお姉ちゃんに依存してるし、陽さんも月ちゃんの面倒をよくみてあげている。
月ちゃんは正直言って、人としてダメだけど本人もわかっていて改善しようとしてる。
さっきだって、わたしに言われて自分で制服をハンガーにかけたのだから。
それにわたしも月ちゃんに惹かれて、一緒に居たいと思ってる。
この一緒に居たいのは月ちゃんと仲良くしたいのと、ちゃんと1人で出来るようになって欲しいから。
というか、そうしないと月ちゃんはダメな子で終わっちゃうからね。
「でも、まだまだ結婚しないんだし、2人でお出かけをするんだから寂しい顔をしないでよね」
「……そうでした」
「あと、月ちゃんの家の場所がわかったから、陽さんが結婚したらわたしが朝にて来てあげるよ」
「……ありがとうございます」
月ちゃんがお礼をしたけど……早まったかな?
いや、陽さんの結婚はまだだし、それまでに自分である程度は出来る様になってる……よね?
でも、約束してしまったものは仕方がないから、その時が来たらちゃんとしてあげるよ。
「月ちゃん、そんな顔をしないで笑ってね」
こうは言うけど月ちゃんの表情は少しわかるようになったけど、まだまだ分からない。
ただ、状況的に寂しがっている事は確かだけど。
「そうですね……さくらさんとで……お出かけが出来ますからね」
月ちゃんは顔を置揚げてニコリと笑うけど、表情が変わらない月ちゃんの笑顔に完全にわたしの心を射られた。
(なにこれ、月ちゃんってこんなにいい笑顔をするんだ!)
思わず抱きしめそうになったが、何とか耐えたが普段表情が変わらない月ちゃんがこんないい笑顔をするのは破壊力がある。
ああもう、月ちゃんはわたしをどうしたいのかな!
わたしは思わず悶えそうなったが、これまでの行動がおかしいのでこれ以上はいけない。
あと、陽さんがお茶とお菓子を出してくれたので、いただくことにする。
「陽さんがお茶とお菓子を出してくれたから、いただこう」
「そうですね……」
陽さんはカステラと紅茶を出してくれたけど、このカステラは近所の老舗の洋菓子店の物かな。
何回か食べたことあるけど、しっとりしてて甘さもほどよくて美味しい。
ただ、値段も良くてなかなか食べられないけど、それをお茶請けとして出してくれるとは。
「ごちそうさまでした」
カステラとお茶を頂き時計を見ると、18時近くなっていた。
「そろそろ帰る時間かな」
「……そうですね」
月ちゃんはまた俯くけど、寂しいのかな?
「もっと居て欲しい?」
わたしが聞くと
「……はい」
と返事をした。
わたしもそろそろ帰らないといけないと、さっきの事もあるからわたしもも少し居ることする。
「寂しがり屋の月ちゃんのためにまだ居てあげる」
わたしがこう言うと月ちゃんは
「……ありがとございます」
と言うと、わたしの横に寄って来て
「少しでいいので……こうしていたいです……」
とわたしの肩にもたれてきたが、この体勢になったら動く事が出来ない。
わたしは月ちゃんの息づかいを感じると、胸の鼓動が早くなる。
間近で見る月の髪はとても艶やかで、肌も色も雪のように白い肌であるがほんのり赤みがあり体温を感じる。
月ちゃんは肩にもたれるだけで、何もしないけどわたしも何もできない。
ただ、こうしてるだけで十分かもしれないけど、月ちゃんからはシャンプーの匂いなのかいい香りがする。
ラブコメで良くいい香りがするって言うけど……こんな感じなのかな?
でも、わたしもいい香りがするシャンプーを使ってるから、同じ香りがするとかもしれない。
胸がドキドキするのは急にこんな事されたからで、変な事は考えてない。
それに月ちゃんからは寝息が……って月ちゃんはわたしの肩にもたれて寝てるの?
月ちゃんから寝息がしているが、何もしゃべらないのは単にわたしの肩にもたれて寝ていただけだった。
「月ちゃん、起きてよ」
わたしが肩を揺らすけど、月ちゃん肩はわたしから見ても細い。
いや、わたしが身長が低いわりに肩幅があるだけかもしれないけど、太ってる訳でないし
かと言ってごつい訳じゃないけど、月ちゃんと比べると……ちょっと悲しくなるかも。
「……すみません……さくらさんに安心してして……寝てしまいました……」
月ちゃんは目を覚ますけど、安心できる事はうれしいけどね。
ただ、月ちゃんは安心できるって言うけど、それは気を許せるって事かな?
多分、そうだと思うけど、それはそれでうれしい。
「突然肩にもたれから驚いたけどね」
「わたしも……なにか眠くなってしまいした……」
「眠いならベッドで寝た方がいいよ」
「だ、大丈夫です……さくらさんも……そろそろお帰りの時間ですね……」
月ちゃんにしては慌てた感じで居るけど、どうかしたのかな?
いや、引き留めたのに思わず寝てしまったから照れてるかもしれない。
「それじゃ、また学校でね。お出かけの時間はまた伝えるね」
「わかりました……では、玄関まで……見送ります」
「そういえば、アドレスの交換てなかったけど、連絡取り合わないといけないからしておこうか」
「そうですね……」
わたしは携帯のアドレスの交換をすると、わたしは鞄を持って、月ちゃんと一緒に階段を降りて玄関に向かう。
そして、わたしが靴を履くと、陽さんも部屋から出て来た。
「さくらちゃん、気を付けて帰ってね」
「はい。お茶とお菓子、ごそうさまでした」
「月とは仲良くしてね」
「もちろんです。では、お邪魔した」
「また……来てくださいね……」
「うん」
わたしは笑顔で答えると、月ちゃんの家を後にした。
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