第34話 部屋でひとり、やっと振り返る




「あと半年か~」


 家に帰ったあと、美波はベッドに寝転びながら、冴子に言われたことを思い返していた。


 私たちが付き合えるのは約一年。


 それは最初から分かっていたこと。


 分かった上で、それでもいいと納得して付き合い始めたのだ。


「分かってるんだけど、改めて言われるとなぁ…」


 結構ショック。


 分かってるつもりだったけど、ちゃんと分かってなかったのかも。


 とにかく付き合えるならオッケー…と、勢い任せだったような気もする。


 だから、具体的な残り時間を意識し始めて、ようやく実感が湧いたというか。


 いや、それもちょっと違う。


 どっちかって言うと。


「いーんちょ、普通だったなぁ…」


 美波にあれを言った時の声も、表情も。


 あんまり特別でなかった。


 ただ事実を淡々と告げるようで。


 いつも通りの冴子で。


 それがなんか…。


「こーいう風に思うのも勝手かな~」


 それでも、もう少し…。


 もうちょっと惜しんで欲しかった。


 結構、最近いい感じだと思ってたんだけど。


(私の思い込みだったのかな)


 そんな考えがつらつらと流れてきて、美波はそれを全部払いのけるように、深く布団を被った。


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300日後に別れるギャルと委員長 べにたまご @Kanzetsu

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