第17話 昼のクラスメイトの会話 2




「……」


 冴子は少し視線を逸らす。


 その質問に答えるのは簡単だけれど難しい。


 だから、彼女にはどう答えようかちょっと考えて、


「留学よ」


 と、当たり障りのない答えを返した。


「留学か~。いーんちょ頭いいもんね~。私はどうしようかな~」


 美波は長いため息を吐きながら、白紙の進路調査書をヒラヒラさせる。


「やりたいことで考えればいいんじゃない?」

「やりたいことか~……」


 美波はちょっと考えて、また上半身を投げ出し、


「なーんも思いつかーん」


 じたばた。じたばた。


 冴子は肩を竦め、教科書とノートを取り出して午後の予習を始めた。



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