わたし、めりーさん
荒屋 猫音
第1話
メリーさんがメリーさんできない話
コメディ
僕:「M/有名な都市伝説、メリーさんの電話をご存知だろうか」
僕:「M/私メリーさん、という言葉に続いて、今の居場所を伝えながら徐々に近づいてくる怪異」
僕:「M/非通知の番号だと思いながら、僕は動かない頭で電話に出てしまった」
メリー:「私、メリーさん…」
メリー:「今から、あなたに会いに行くね」
僕:「M/いたずら電話だと思い僕は電話を切ってその場に突っ伏した。しかし5分もしないうちにさまた電話がかかってくる」
メリー:「私、メリーさん…」
メリー:「今、公園にいるの」
僕:「こうえん……この近くに公園なんてないぞ…電源切っとこ…」
僕:「M/僕は電話を切るのと同時にスマホの電源を切った。これで電話はかかってこない。」
僕:「さぁ寝直そう、と思ったのも束の間…電源ごと切ったはずのスマホから、着信音が鳴り響いた」
僕:「おいおい、嘘だろ…」
僕:「M/不気味なことに、着信画面は電話に出ない選択肢が与えられていなかった」
僕:「M/恐る恐る通話開始をタップする。するとやはり、先程の声が聞こえてきた」
メリー:「私、メリーさん…」
メリー:「そんなことをしても無駄よ?」
メリー:「今、駅前のコンビニにいるの」
僕:「M/僕は怖くなってスマホを投げ飛ばした」
僕:「M/スマホからはメリーさんを名乗る声が不気味に笑っていた」
メリー:「ふふふっ、今、ペットショップの前にいるの」
メリー:「今、駄菓子屋さんの前にいるの…」
メリー:「今、タバコ屋さんの前にいるの…」
メリー:「今、あなたの家を通り過ぎてしまったの…」
僕:「ん?通り過ぎた?聞き間違いか?今通り過ぎたって聞こえたぞ?」
メリー:「私、メリーさん…聞こえているなら答えて欲しいの」
メリー:「あなたの家がどんどん遠くなっていくの…」
僕:「え、なに?どーゆーこと?」
僕:「あのー、メリーさん?今どこですか?」
メリー:「私、メリーさん…今海にいるの」
僕:「なんで海なんだよ!ここ海ないよ!」
メリー:「ちょっと近道しようとしたら通り過ぎてしまったの」
僕:「どんな近道したら海のない地域から海にたどり着くんだよ!時速何キロで近づいてたんだよ!」
メリー:「私、メリーさん……迎えに来て欲しいの…」
僕:「この時間にどおやって迎えに行くんだよ!ふざけんな!メリーさんならメリーさんらしく、不気味に近づいてこいよ!」
メリー:「私、メリーさん……メリーさん失格なの…」
僕:「知らねぇよ!」
メリー:「私、メリーさん…今アメリカに来ちゃったの」
僕:「海超えてアメリカはもはや笑う」
メリー:「私、メリーさん…国際電話の通話料金にビビり散らかしてるの」
僕:「なら電話切れよ!!!」
メリー:「私、メリーさん……」
メリー:「怖いから電話切りたくないよぉぉ!助けてぇぇぇ!!」
僕:「M/メリーさんを名乗る何かは僕のところに来るはずが、アメリカにたどり着いてしまい、寂しさのせいか泣き出してしまった…」
メリー:「ちょっと恩返しに行こうとしただけなのに…!早く会いに行きたくて近道しようとしてただけなのにぃ…!」
僕:「どうやってアメリカまで行ったかは知らないけど、行けたなら帰って来れるだろ?」
僕:「M/ずグズグズになりながら、メリーさんを名乗る何かはとんでもないことを言い出した」
メリー:「私、メリーさん…」
メリー:「帰りたいよぉぉぉぉ!!!!」
メリー:「メリーさん片道切符で出てきちゃったから帰れないよぉぉぉ!!」
メリー:「帰りたいよぉぉぉぉ!!!!」
僕:「知らねぇよ!迷惑電話はお断りです!!」
メリー:「みーすーてーなーいーでぇぇぇぇ!!!!」
僕:「M/その後、メリーさんと思われる電話は一切無視……僕は静かに日々を過ごした…。」
僕:「M/そして、そんな電話があったことも忘れて、僕はうっかりメリーさんからの電話に出てしまった」
メリー:「…私、メリーさん…やっと帰ってこれたの…今、あなたの家の前にいるの…」
僕:「あ、やっべ、あの時の迷惑電話だ」
メリー:「あの時の恩返しをしたいの」
メリー:「私、メリーさん…」
メリー:「あの時助けてもらった、カエルです!」
僕:「メリーさん関係ない!!!!」
わたし、めりーさん 荒屋 猫音 @Araya_Neo
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