第10話


 あたりは、おめかしした小学生と、その親であふれていた。

 正門前には、写真撮影をしようとするための小さな列ができている。

 そして、それに並ぼうとする親同士の水面下の争いが起きていた。


 桜の花は、すでにピークを迎えた後になっていて、ちらほら地に落ちた花びらも見つけられた。


 私は気にしていなかったが、もしかしたら私も何回か花びらを踏んでいたかもしれない。


 写真撮影は帰りに、ゆっくりするべきだろう。

 私たちは、正門をくぐり、会場に向かう。


 人の波もわずかに流れていた。


 かといって、この人混みの中を正確に進める気はしない。



×+×+×+×+×



 会場である体育館ちう建物は、内部、外部ともに鉄骨や板がむき出しになっていた。

 利便性を追求したみたいな形で、屋内運動に使うらしい。


 室内に並んだパイプ椅子は、例外なく整っていた。

 所々が、乱れているのも見える。


 緊張しながら、私も席に着いた。


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私は、でも、あなたには。 灯火(とうか)@チーム海さん @UMIsandayo

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