第12話
◆
「うふふふふっ。み〜らせ〜んせ〜い、ど〜こですか〜………はっ、私としたことが正気を失ってました。これはいけません、早く美蘭先生と合流しなければ」
もしかしたら、この周辺にも
そうなれば、か弱い美蘭先生には成す術もないでしょう。私が保護して差し上げなければ。
そして先生はピンチ救った私にメロメロに…………うふふふふ。
ああ、先生いけません。そんな大胆な。
「ぐふふふふふふ。おっとはしたない、私としたことが」
いつの間にか溢れ出ていた唾液を拭い、愛しの美蘭先生救出を決意する。
せんせぇ、貴女は私だけのモノですよ?
だから他の人に
◆
「ぴぃ」
背中の小日出がブルリと揺れた。
おい、こいつまさか。
「トイレか?」
「違うよ! ほんっと
よかった、背中で漏らされたらどうしようかと思った。
でも少し残念だ。だって……
「そうか、トイレならいつでも言えよ」
その時は置いてくから。
怪異に襲われたって言えば責めようがないよな!
「それはどーも! 全く、君の拙い術を指導してやってるのは誰だと(ブツブツブツブツ)」
それは本当にありがとう。マジで助かってます。リスクに見合ってないから口には多分出さないけどな。
さて、
「こうなってはボクも本気を出さざる終えない。誰に後ろを取られている……なんだい、あれは!」
骸骨に囲まれてなお文句を垂れていたロリ先生が中断するほどの異変。
それは唐突に出現した、無数の巨人達が理由だった。ゲーム知識があるから知ってるが、その総数は三千体。
ズシンズシンと我が物顔で墓地を闊歩する姿はとても冒涜的で、骸骨に通じた墓石の事下に隠れるなて小細工は意味をなさない。
まさに圧巻の一言に尽きた。
「アレがもっと早くに出てきてたらボク達は墓ごとペチャンコだったね……」
「まったくだ」
「あと誰がロリだ」
ちっ、バレたか。
それにしても俺は兎も角、小日出は随分と余裕だな。あの巨人達が恐ろしくないのだろうか。
問おうとしたところで、小日出が真剣な顔をしながら俺へ告げた。
「分かっていそうだけど念の為に言わせて貰うと、絶対あの巨人に手出しはしないでおくれよ。何が起こるか分かったものではないからね」
「見りゃわかるよ」
嘘です。ごめんなさい見栄はりました。
ゲーム知識なければ絶望するか、一縷の望みを賭けて先制攻撃してます多分。
「流石はボクの弟子だね。師匠として誇らしいよ」
「弟子じゃねぇよ」
貴女と親しくなればなるほど死亡率は上がるんだからマジで止めてくんない?
あのクレイジー・サイコ・レズビアンがこの空間にいなければ貴女を速攻でぶっ殺すような男ですよ俺。
「おや、照れちゃったかな? 可愛いところもあるじゃないか」
信頼したように肩へ頬を擦り付けるのはやめろ!
だんだん情が湧いてきちまったじゃねぇか。
ちくしょう、会ってすぐ殺さなかったのは万が一にも逃げられて主人公勢総出で逆襲に来るのを避けたかっただけの筈なのに、なんか本当に守りたくなってきちゃったんですけど!
「どうやら、あの巨人共は踏まれないように気を付けてれば害はないみたいだね。よかったよ、こんなぬるい敵でさ」
ふっふっふ、そう思うだろ?
もしその気持ちが変わらなければ後で絶対に泣きを見るから覚悟するんだな。
それはそれとして、
「いい加減、歩いてくれないか?」
「嫌だね」
このクソアマ。
こうして俺は額に青筋を立てながら先へ進むのだった。
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