第4話 東京タワー 〜 後藤耕一 、その4 〜

 後藤耕一はお盆休みに九州の実家に帰省していた。

 かつてテレビの上に置かれていた東京タワーの模型は、テレビの進化に伴いその場所を奪われ、その姿はどこかに消え去っていた。

 代わりにテレビ台の脇には、誰が買ってきたのか知らないが、スカイツリーの模型が置かれていた。


「お母さん、俺が修学旅行で買ってきた東京タワーの模型はどこにある。」耕一はふと気になり聞いてみた。

「さあ、どこにやったかねぇ。倉庫に片付けたかも知れんね。」

 どうやら行方知れずのようだ。

 そう言えば東京タワーの入口で撮った集合写真があったよな。耕一は、昔のアルバムを引っ張り出すことにした。

 幸いにもアルバムの場所は変わることなく、今も本棚の片隅に置かれていた。

 すぐに自分のアルバムを見つけそのページをめくっていく。

 修学旅行の写真はすぐに見つけることができ、目的の写真も見つかった。


 さて、東京タワーは何色だ?

 耕一は東京タワーの色を確認した瞬間に肩を落とした。

 集合写真では東京タワーの脚の部分しか写っておらず、一色しか確認することはできなかった。


 東京タワーの色が気になってしょうがない耕一は、昼食後に母屋の倉庫を探した。

 段ボール箱がいくつも積みあがっていて、どれに何が入っているのかさっぱり分からない。

 いくつか箱を開いていくと、かつて作ったプラモデルなどが入った箱が見つかった。

 その箱の中身を物色していると、ついに目的の東京タワーを発見することができた。

 東京タワーの模型を手に取った耕一は愕然とした。


「えっ、二色じゃん!」

 耕一の記憶の中にある東京タワーは赤一色だったのだが、手に取った東京タワーの模型は、ネットで調べた東京タワーと同じだった。

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