第3話 東京タワー 〜 後藤耕一 、その3 〜

 後藤耕一は、芸能人の水彩画バトルで見た東京タワーが気になっていた。

 東京タワーの色はいつ塗り替えられたのだろう?

 塗り替えられたのなら、せいぜい10年以内だろう。

 ネットで検索してみると、「ほぼ7年に1度の周期で約1年かけて外観塗装を補修します」とあった。

 ただし、建設当時から色は赤と白のツートンカラーで、これは航空法により決められていて、識別しやすいようにこうなっているそうだ。

 正確には赤ではなく、インターナショナルオレンジとのことだが・・・

 航空法により配色が決められているなら、赤一色で塗装された東京タワーはあり得ないということになる。

 耕一が見た東京タワーは単なる記憶違いだったのだろうか?

 

 その後、納得できない耕一はネットで色々と検索をしてみた。

「東京タワー 赤一色」

 気になるキーワードを打ち込んで検索をかける。

 中には耕一と同じように、「東京タワーは昔は赤一色だったよね!」との意見も見つかった。

 ほぼ毎日のように、東京タワーが見える職場で働いていた人の意見の中には、10年ほど前までは確かに赤一色だったとの記述も見つかった。

 やはり、ここ10年の間で東京タワーの色が変わってしまったとしか思えない。


 耕一のように東京タワーは赤一色!との記憶を持つ人がいる反面、最初から2色だったと記憶する人がいる。

 どれほどの割合かは分からないが、何かおかしなことが起きていると感じる。

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