第2話 〝黒鉄裕也〟〝銀河天文流〟
藤本新が廃工場に来た時、そこには既に観客が大量にいた。
そして工場の広い平の場所の中心に―――白雪舞白。
不良らしくない姿で木刀を腰に携えた青年―――黒鉄裕也。
「黒鉄さん、今日はどうしたのですか?」
可愛い声に問われた不良青年は、恥じらいながら―――。
「じ、実は―――」
「言うぞ、言うぞ!」
空や他の兄弟もワクワクした表情をしている。
「僕は!」
黒鉄がその言葉を言おうとした時。
廃工場の中にデカい声が響いた。
「オラアアア!黒鉄殺したらあああ!」
木刀を持った巨漢、……めっちゃ怒っとるやん。
「えと……君、誰?」
「はあ⁉」
え?知らない人?
「てめえ!俺を忘れやがったのか!先週の土曜、コンビニ前でお前にやられた男!」
「……ああ!思い出した!」
「どなたですか?」
「えっとね、確か女の子をナンパしてるのを見かけたんだけど、その子に手を出そうとしてたから……倒した」
「ああ……」
「なるほど」
ってなるかい!どんな主人公だよ、お前!
「だが今回はそうはいかねえぞ!来い、お前ら!」
その声に応じて外からぞろぞろと大量の不良が入って来る―――。
「行くぞテメェら!」
「「「オウッ!!」」」
「あちゃー……ごめん、白雪さん……倒すよ」
「……頑張って下さい!」
「うん」
黒鉄は木刀を構える―――。
〝星流逆鱗〟
「銀河天文流剣術・第一秘剣―――〝月光〟」
消えた。そう思える速度―――次の瞬間、不良の数人が倒れ、その先に、黒鉄が立っていた。
「前と同じだ……消えたと思ったら、やられてんだ……いったい、どんな手品使ってやがる――――」
「手品?そんなもの使ってないよ、これはただの剣術だ。だけど、剣道と一緒にしない方がいいよ?あれは型の剣舞―――言うならただの技に過ぎない。けど、僕の銀河天文流は本物の殺人剣だよ」
「殺人剣……だと……?」
「まだ終わらないよね?……第四秘剣・〝雷鳴〟」
先刻以上の速度。数人が後ろに飛ぶ。
「もう終わっていい?早く終わらせて白雪さんに言いたいことがあるんだけど……」
「「「「「「舐めんなぁあああ!」」」」」」
「!」
「危ない!」
「黒鉄さん!」
不良のほぼ全員が一斉に、全方位から飛びかかる。
―――見ている全員が『終わった』と思った時、六人は諦めてはいなかった。
「兄さん、今だよ」
「行け」
「いってら~」
「行ってらっしゃい」
「レッツゴー!」
「……行ってくる」
Q.藤本新はどこにいるか。
A.―――天井。
第三話〝藤本新〟〝フォックスジャブ〟
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