モブパンチ~僕はここにいる~

ronboruto

第1話 藤本新 〝プロローグ〟

僕はモブだ。異論は認めない。生まれてこの方、僕は主人公になったことがない。

僕は太陽でも、影でもない。僕は、曇だ。


「おい、クソ陰キャ!廊下は端を通れボケ!」

「……………………」

僕は廊下でただ歩いていただけだ。しかも右側を。それなのに端を通れと?


―――真ん中通ってるのはお前らだろ、リア充軍団。


廊下の真ん中を歩いているのはこの高校の一軍たち。


A.スクールカーストはだれが決める?

Q.知らない誰か。

話したこともない生徒たちの印象により、全体的な印象が決まる。


僕は陰キャ、スクールカーストの真ん中……だと思う。

自分でも自信がない。

だけどこんな僕にも自慢できることがある。

それは……兄弟達だ。


赤黄緑紫水の髪色をした生徒たち、

次男 望 三男 凛太朗 四男 浩介 五男 勇樹 六男 空


俺達は仲がいい。だけど周りからは兄弟だと知られていない。

みんなはアイドルとして有名だけど、僕はただのモブ陰キャだから。


「「「「「「いただきます!」」」」」」


兄弟全員で屋上弁当。

これが学校一番の楽しみだ。


「兄さん、学校はどう?」

望は優しく問いかける。

「そうだなぁ……あまり中学と変わってない、かな」

「お兄ちゃんも友達つくってみようよ!」

空の言葉に

「出来たら苦労しないよ……お前たちだって、女子生徒に言い寄られてるじゃんか。いい子いた?」

「「「「「……………………」」」」」

「おい」

「小学校から言い寄ってくる子はいたけど……経験上、いい子はほとんどいないと思うよ……」

「来てくれる子がいるだけいいじゃないか。俺なんか……」

「兄ちゃん髪上げればいいのに、兄弟だけあって俺達結構似てるよ?」

勇樹は真面目な顔だ。

「うーん……髪上げると……その……周りの目が……」

「さっき俺たちに言ってたのはなんなの……」

「いや、みんなアイドルだろ?そういうの慣れてるんじゃ……?」

俺の問いかけにみんなは――

「……あの表情は慣れれないかな……」

「……うん……」

「あの表情?」

「……絶対に獲物を捕らえようとする狩人……もしくは獣のような」

「あー…」

なんとなく分かる…かも?

「そういえば」

凛太朗が思い出したというように話を切り出す。

「白雪さんの話知ってる?」

「白雪さんがどうかしたの?」


白雪舞白――。

この高校で最も有名な女子生徒といっても良いだろう。

品行方正、文武両道。その栗色の髪と瞳に魅了される男子生徒は少なくない。

一人一人で言えば弟達とタメを張れるくらいには有名。


「三組の黒鉄ってやつが今日告るらしいよ」

「へ~…それはまた……」

「廃工場で」

「「「「「廃工場⁉」」」」」


絶対断られるやつだよ……。


「場所悪っ!」

「ドラマのセットじゃないんだから!」

「しかも松原ってヤンキーだろ?いっつも木刀持ってるし……」

「うちの高校、木刀駄目じゃね?」

「どこでも駄目だと思う」

「あっ、そういえばギャラリーが凄い量になるんじゃ……」

「行こう」

「行ってみよう!」

「行きますか」

「行く行く!」

「レッツゴー!」

「僕は遠慮しとくよ……」

正直他人が多いところは苦手だ。

「なに言ってんの?兄さんも行くんだよ」

「えっ?」



お久しぶりです!


〝推しに監禁された件〟をサボって何やってんだ、と思う方、すいません。

遂に3100PVを突破した推し監ですが、流石に同じものだけじゃこっちも飽きてくるので……。すいません、完全に私情です。勿論、推し監も更新は行いますので……

(かなり頻度は落ちます。)

本作〝モブパンチ~僕はここにいる~〟もどうか、宜しくお願い致します。



次回、第二話〝黒鉄裕也〟〝銀河天文流〟

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