第44話 エリート魔術師
「ボルボックスは動きが遅い。実際動く的みたいなものだ。冷静に攻撃し相手を削っていけ」
拡声魔法により遠くからでも大きな声が聞こえる。
あれから大分経ってようやく命令が出された。遅すぎる。ボルボックスが結構近づいて来てるじゃないか。
まぁいいや。とりあえず魔法を詠唱する。
「『
『
「な、なかなか削れないな」
ボルボックスがなかなかに強い件について。ボルボックスにあたり炸裂する多くの魔法だが、当の本プランクトンは全く怯んでない。
「これより軍団魔法を用いる!攻撃の手数は減るかもしれないが頑張って足止めしてくれっ」
少し遠くから声が聞こえた。足止めって言われても相手ぜんぜん止まる様子ないんですけど。
声が聞こえた方に目を向けると魔導戦隊と呼ばれるエリート魔術師たちがいた。赤・青・黄・桃・緑の色で分かれており、それぞれに役割があるらしい。詳しい内容は知らん。
どうして魔導戦隊という名前かというとは初代市長が軍隊を作るときノリでつけた名前なんだと。
中級魔法を放ちつつ、魔導戦隊の方を眺める。
徐々に構築されていく大規模な魔法。多くの魔術師が集まり、作られるその魔法は軍団魔法と呼ばれている。
いつ見ても軍団魔法ってすごいよな。あんな大規模な魔法を構築できるだなんて。ロマンがある。
「お、おい何だアレ。ボルボックスの様子がなんか変だぞ!」
どこからか声が聞こえる。うん?様子が変だと?
俺が視線をボルボックスに戻すと確かにヤツの様子は変だった。なんか動きも止まってるし身体が小刻みに震えている。寒いのかな?
「全員、身体と目を隠せぇぇぇぇぇ、『
マジかよ。急いで身を守らなければ、
「『
鉄の壁を構築する。あとはそうだな………
「『
からサングラスを取り出す。
カチャ
俺はサングラスをかけた。なかなかイケてるんじゃなかろうか。
音もなく辺りが光で染まる。ボルボックスが放った高エネルギーの光により
ジューーーーーーーー
広い範囲が焦げたり燃えたりしていた。とはいってもエリオールにはほとんど被害はない。城壁が守ってくれて―――
「目がぁぁぁ、目がァァァァァァァァァァ」
「うぉぉぉぉ、服がもえてるぅぅぅぅぅ」
「キャーー、髪がチリチリにっ」
人的被害はあったみたいだが、まぁ実質あってないようなもんだ。被害はゼロ。これでいい。
にしても熱いな。なんか『
「ほい」
俺は『
なんて思ってると近くで膨大な魔力の動きを探知できた。
その方角を見ると軍団魔法が展開されていた。魔導戦隊を見てみると今はサラサラと落ちていってるが分厚い壁によって守られていた。
構築された軍団魔法が輝きを増す。その矛先は大型
ボルボックスはゆっくりとこちらに近づいてくる。
それに対し軍団魔法の輝きは増していき………高密度の魔力が集まる。
「「「「「「『
ボルボックスに向け、一条の光が放たれる。その光はまっすぐにボルボックスに近づいていき………その巨体を貫いた。
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