第37話 恥ずかしい
俺は今、優雅に紅茶を飲んでいる。朝の紅茶タイムだ。とても美味しい。
そして窓から差し込む朝の光に照らされながら優雅に佇む。
背を壁にゆったりと預けとある人物が訪れるのを待っていた。
―――目の前にある冷たい格子を見ながら。
そう目の前に格子があるのだ。俺が今いる場所は留置所。
冒険者ギルドにてあの5人組をシバキあげ血祭りにした俺は駆けつけてきた衛兵にて捕まえられ「頭を冷やせ」と言われここに入れられたのだ。まぁ俺はいつも冷静ですけどね。ファルは別の場所にいれられている。魔物用の牢屋だ。スマン、ファル。
あと俺が暴れていたとき本当にお祭り騒ぎだった。冒険者達も鬱憤が溜まっていたのだろう。めちゃくちゃ騒いでた。
「おい、こっちに来い。面談だ」
と衛兵に言われたため牢屋から出る。
牢屋から出た俺は黙って衛兵の後ろについていく。
歩いていくとあるところで止まり「入れ」と言われる。
俺は何もいわず扉を開け部屋の中に入る。
入るとそこには……………妹、ノアがいた。
____________________________
「久しぶりだな、我が妹よ」
「おぉ、久しいな我が兄よ、、、、、ねぇ、もうちょっとマシな出会い方ないの?久しぶりに会うのが留置所ってどうなのよ」
「それは俺も思っている」
「はぁ、魔法学校を欠勤するときの理由が留置所にいる兄を解放するためなんていう私の身になってよ。すっごく恥ずかしかったんだから」
「そうか、それは大変だったな」
「他人事みたいに。ところで何で急に魔法都市に来たの?今まで王都に引きこもってたじゃんか」
毎回思うんだが皆俺のことを引きこもりかなんかだと思っているんではなかろうか。
それは断じて違う。俺は引きこもりではない。
それとなんで魔法都市に来たのか。そんなの、そんなの…………なんで来たんだっけ。
「あれっ、何しに俺はここに来たのだろうか」
「はぁ、衛兵に捕まるためじゃない」
「それは違う」
なんでここに来たのか思い出そう。
そうだあれはグリフォンを狩った次の日のことだった――――
――――――――――――――――――――――――――――
『なぁ、リライズ。6年も王都で冒険者をしているんだ。そろそろ世界を見る旅にでも出たらどうだ。世界は広いぞ。様々な発見、未知がある。』
………………………………………
………………………
……………
『どうだ、行きたくなっただろう』
『妹とも会いたいだろう。俺達はちょくちょく出会っているが、お前は依頼でどっか行ってるときが多かったからはかれこれ数年は会ってないだろうし』
ふむ、確かに最後に会ったのが妹が魔法都市に行くとき、4年はあってないな。久しぶりに会いたい。
『どうだ?』
本当は旅に行きたくないが、本当に行きたくないが此処まで言われたらしょうがないな。まぁ、別に行ってみるのもありかもしれない。
――――――――――――――――――――――――――――
――――今思うとクソしょうもない理由で旅立ったな、俺。
こんな理由で俺はミジンコと戦ったりしたのかよ。俺の穏やかな日常を返してほしい。
「思い出した。めっちゃしょうもない理由だったわ」
「えっ、なんていう理由?魔法都市一度でいいから見てみたいとかそこらへん?」
「そんなんじゃない。お前に最近会ってないから会うか、みたいなノリで来たの」
「えっ、唐突な告白っ」
「なぜそうなる」
「でもシチュエーションは最悪だね。場所が留置所でしかも相手は前科者。えぐいな」
「お前の脳内どうなってんだよ。あと前科者ではない。犯罪は犯してないからな」
「まぁいいやとりあえずここから出よ」
俺は妹のおかげで解放された。
俺が前科者かどうかの話をまぁいいやで済ませるのはどうかと思うけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます