閑話 王者 side:ミジンコ


 ミジンコは感情が希薄だ。怒り悲しみなど感じたことがない。

 あるのは圧倒的全能感。

 ミジンコが姿を現してからあらゆる生物はその姿を見るだけで畏怖し逃げていく。


 ミジンコは周りの生物を蹴散らしながら

 ははは、愉快愉快、実に愉快だ。

 なんて思っているとこちらに迫ってくるものを発見した。

 2対の翼が生えたトカゲのようだ。


 ふむ、なかなかの力を持っているな。面白い。相手になってやろう。


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 30分後


 所詮トカゲはトカゲだった。ほかの脆弱な生物よりかは力を持っているようだが所詮その程度。ブレスも爪による斬撃もこのミジンコには効かなかった。非常に弱かった。



 とそこへ急激に迫る生き物がいた。早い。視界に収まりきらない。

 いきなり視界が暗くなる。なにかが巻き付き身体が凍り身動きが取れない。

 頭上から何かが落ちてくる、があまり痛くない。


 そして次の瞬間閉じ込められた。


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 1日後



 暴れまわり牢獄からやっと出れたと同時に我が邪眼に攻撃が仕掛けられる。

 状況を把握したミジンコは邪眼を発動し魔法を消し去る、がすべて消えなかった。

 目に刺さる。痛い。生まれて初めての痛み。王たるミジンコが初めて痛みを感じ体が硬直した。


 こうしてはいられないと思い複眼で辺りを見渡す。

 2足で立っている生物たちがミジンコを囲み狙っている。ニンゲンか。初めて見るが知っている。集団で行動し知恵が回る小賢しい生物だったはずだ。

 我が邪眼を奪ったのは許さん。数日もすれば治るだろうが必ずこの手で殺してやる。


 と思った矢先、体にとてつもない重圧がかかり地面へ倒れてしまう。


 命の危険を感じたミジンコは防衛機構を発動する。『対魔法領域アンチマジックエリア』を展開し触覚による魔力砲撃を行う。


対魔法領域アンチマジックエリア』がある中魔力を砲撃できるのは簡単な話、『対魔法領域アンチマジックエリア』で打ち消せないほどに魔力を圧縮すればいいのである。一応私ミジンコにはそれ用の機関が体内にある。


対魔法領域アンチマジックエリア』は魔力の流れを阻害し魔法として顕現させるのを防ぐというもの。使われたらさいご魔法使いはポンコツとかし役に立たないであろう。魔術師殺しだ。

 まぁ簡単な話とはいったものの実際はそれをできるだけの魔力の精密操作と圧倒的魔力が必要だが。




 気づいたらいつの間にか大きな建物がある。あれは後で壊すとしてまずは目の前にいる愚かなニンゲン共を殺そう。



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 50分後


 なぜだなぜだなぜだなぜだ。何故、ミジンコが追い詰められている。ミジンコは王だ。比類なき王だ。ミジンコは強くありとあらゆる生物は畏怖する。例外はない。


 はずなのにニンゲン共はこのミジンコを追い詰めている。このような馬鹿な話があってたまるか。


 アイツだ。あの銀色だ。アイツがこのミジンコを追い詰めた。疾く力強く、ミジンコの触覚を避け的確にミジンコを切り刻む。ニンゲンは脆弱だ。当たりさえすればこっちのものなのに。

 銀色のアイツさえいなければ有利にことが進んでいたはずだ。他の奴らはミジンコに歯向かってきたあのトカゲと同じくらいの力量だ。

 始まりも最悪だった。ミジンコの最大の武器である邪眼が封じられた。

 複眼もあるが前にいる奴らには通用しない。



 …………ミジンコも覚悟を決めるべきか。



 ミジンコは魔力を一箇所に集めだした。


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ミジンコ視点を書いてみました。


それと『私』に全部ミジンコのルビをふっています。

ウザかったらすみません。


本日2話投稿です。書き忘れてました。

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