第25話 名前


 よし次は俺だな。


「よいしょ」


 といい、紙を皆に見せる。


「「「スイカ?」」」


 ハモったな。打ち合わせでもしていたのか。

 まぁいい。


「そう、スイカだ。このドラゴンはスカイドラゴンから生まれた子だ。つまりスカイをちょっといじってスイカ。天才的な発想だろ。どうだ?」


 皆、微妙そうな顔をする。まじかよ、駄目だったか。



 次は兄。兄は自信満々といった表情をしている。


「じゃん」


 といって見せてきた名前は『パピコ』。


「っパピコ」


 思わず呟く。まさか兄もネーミングセンス皆無だったとは、思わなかった。


「この子は雌だろう。なら可愛い名前にしなくちゃ」


 かわいいはかわいいんだけどなんか違う。


「えっ、このドラゴン雌だったのか?」


 というは父。知らなかったのか。


「なら、ロードよりもクイーンの方がいいかな」


 といって紙の文字を書き換える父。

 それにより『ダークネスドラゴンロード』から『ダークネスドラゴンクイーン』になった。

 しかしネーミングセンス皆無なのは変わらない。



 最後に母。


「えい」


 といってこちらに紙を見せてくる。


 そこに書かれていたのは


「ファフニール」


 これは駄目なやつだ。ちょっとまずい。確かこの名前昔、邪龍認定されたドラゴンの名前だったはず。魔術学院で習った。


「確か有名なドラゴンの名前でファフニールってのがあったのを思い出したのよ」


「おぉ、いいじゃないか『ファフニール』。まぁ私の考えた『ダークネスドラゴン・ロード』もとい『ダークネスドラゴンクイーン』には及ばないけどな」


「『パピコ』と比べるとまぁあれですが『ファフニール』。いいですね」


 兄、父よ。その自信は一体どこからやってくるのか。

 邪龍の名前だが『パピコ』や『ダークネスドラゴンクイーン』より遥かに『ファフニール』の方が良い。


 そんなことを考えていたら、視線を感じる。

 顔をあげると3人ともこちらを見ていた。

 えぇ、これ俺が決めるの。


「えぇと『スイカ』には及ばないけれども『ファフニール』もそこそこいいんじゃない」


 なんかネーミングセンス皆無の二人に似た回答になってしまった。


_________________________


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