第32話 逮捕
俺は今ちょっと怒っている。
目の前には犯罪ドラゴンがお縄についている。
正義の冒険者リライズによって捕まえられたのだ。
「犯罪ドラゴン、ファフニール。貴方を器物損壊の容疑で逮捕します」
このドラゴンやりやがったのだ。俺が帰ったときにはすでに犯罪を起こしたあと。部屋中が散らかっていた。この犯罪ドラゴンに荒らされたのだ。
唯一の救いは壁や床に傷がないことだ。何を思ってこんな犯行に出たのかは分からないがとりあえずギルティだ。世の厳しさを教えなくては。
「クゥゥゥゥン」
「そんなカワイイ声を出しても許しません」
最初は暴れていたファルだったが今ではだいぶ大人しい。頭のいいこの子のことだもしかしたら自分の過ちを認め反省しているのだろう。
そう思うと可愛そうになってきた。『
「キュ?キュキュ!キューン」
なんか飛び始めた。はしゃいでるし、本当に反省したのか怪しい。
俺がファルのことを見ているとファルもこちらを見てきた。
「ん?どうし―――」
「クェェェェェ」
「うおっ、あっぶな」
ファルが急に突っ込んできた。
そんな親の仇みたいな感じで突っ込んでくんなよ。
あっ、俺お前の親の仇だったわ。うわっ、やばい冗談言ってる場合じゃない。
ファルがブレス撃とうとしてる。コイツ、全然反省してない。
とりあえずここじゃマズイ。移動しなければ。
「『
ファルを巻き込み俺は転移した。
_____________________
「舐めるなよ、ひよっこドラゴン。冒険者は魔物討伐のエキスパートだ。お前なんてボコボコにしてやる。年長者敬えや、ゴラァァァァァァ」
「クキュキュ、キュキュキュキュッ、キューーーーーー!」
王都の近くにて一人の冒険者と一匹のドラゴンによる戦いが始まった。
真っ昼間のことだった。
…………ファル、結構強い。一応俺は王都にいた頃、単独でドラゴンを討伐したことがあり、ドラゴンスレイヤーの称号を持っている。英雄がよく持つ称号の一つだ。
「このドラゴンスレイヤーリライズをここまで手こずらせるなんてやるじゃないか」
「クゥゥゥゥン」
ファルも大分弱っている。飛んでいるがフラフラしている。
一方で俺も『
俺とファルでは戦闘経験が圧倒的に違うからな。俺のほうが勝つに決まっている。
でも少しやりすぎたかな。よく考えたら家に放置したり遊んであげなかったりと俺にも非があるしそろそろ許してあげよう。
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