第29話 タピる
俺が満足していると
「デザートは何にいたしますか」
と聞いてくる。
マジか。デザートあるのかよ。
ここだったら帝国のデザートも出してくれるだろうと考え
「タピオカミルクティーで」
と言った。
「タピオカミルクティーですね。畏まりました」
といい出ていく従業員。
あるのかタピオカミルクティー。
俺がタピオカミルクティーと言ったのには理由があり、魔術学院にいた頃例の魔剣の生徒と話したときベルウッド帝国ではタピオカドリンクでタピるのが流行だと聞いたからだ。
タピる、いい響きだ。
俺は今日から流行の最先端に乗っていく。タピるのだ。
「どうぞこちらタピオカミルクティーでございます」
と言われ、ミルクティーに黒い物体が入ったものを受け取る。
この漆黒の物質がかのタピオカ。
太いストローをくわえ飲んでみる。
タピオカが口に入ってきた。噛む。
なんかモチモチしてる。これがタピオカか。遂にタピってしまった。
結果、タピオカはモチモチしている。味はあまりしない。
いつかベルウッドに行って本場でタピろうと決意した。
_____________________
あのあとシラトスに見送られ、レストランを出た俺は英雄像の前にいる。
この街で有名な観光名所だ。正直言ってどこがいいのか分からん。
英雄像は石造りになっており男で片手に剣、もう片方の手に盾を持っており、剣を天に向け掲げている。ちょっとカッコいい。篭手や胸、足には防具がついており、服はなんか装飾されていて、ごてごてしている。
英雄像が立っている台座には何かが書かれていた。
ふむ、『魔を退けし英雄サカキの像。異界よりきし英雄はこの地に攻め込んだ魔王軍を獅子奮迅の活躍で退けた、らしい。私も見たかった』か。
最後のほうはコレを作った人の気持ちが書かれていたが気にしない。
この街異世界関連多いな。意外と異世界人が寄るのか。
チョルは先程レストランでお腹いっぱい食べたらしく気持ちよさそうに寝ている。この俺に運ばさせるとはさすがドラゴン、ふてぶてしい。
__________________
夜
英雄像を見たあと、高級宿屋に入りゆったりとしている俺。
今日は遂にタピれたなと思いつつ先ほど起きたばかりのファルをナデナデする。
「クゥゥゥゥゥン」
「お前は犬か」
気持ちよさそうになくファルの鳴き声があまりにも犬っぽかったので思わずツッコむ。かわいい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます