第27話 城塞都市


  翌日


 城塞都市ダルブルが見えてきた。

 何重にも建てられた大きな堡塁に魔物の侵入を防ぐ強固な結界。

 ドラゴン相手でもビクともしないほどの強固さだ。

 ミジンコ相手だと一瞬で崩壊するだろうけれど。


 俺は『空間保管庫ストレージ』から王都で買った首輪を取り出しファルにそっと近づき首輪をつける。

 首輪をつけられた事に気づいたファルはめっちゃ嫌そうに頭をブンブン振っている。

 かわいい。


 こうすることによりこのドラゴンは大丈夫ですよとファルを見た人にアピールするのだ。



 首輪を外そうと嫌そうに頭を振るファルに『空間保管庫ストレージ』から取り出したおやつをあげる。


「クェェェ〜♪」


 ファルは嬉しそうにおやつを食べ始めた。首輪のことは忘れたようだ。


 フフフ、愚かな奴め。簡単に罠にハマりおったわ。


「チョロ」



 _____________________



 街についた俺は門番にA級冒険者の証であるプレートを見せ、城塞都市ダルブルに入る。


 チョロいファルちゃんは首輪のことなど忘れて上機嫌だ。

 これからはチョルと呼ぶことにしよう。


 チョルちゃんと共にダルブルを観光する。

 今はお昼時、昼食を済ませていないためどこかのレストランで優雅なランチタイムと洒落込もうと思う。



 美味しいレストランはどこかと通行人に聞いたら普通に教えてくれ、今そのレストランの前にいる。

 めっちゃ高級そうなレストランなんだけど。


 レストランに入る。ベルがカランカランとなる。

 すると従業員が目の前におり、


「いらっしゃいませお客様。あっ、すみません当店はドレスコードのみとなっておりまして」


「ああんっ」


 ベルの音のせいでよく聞こえなかった。


「ひっ、す、すみません。ですが当店はドレスコードのみという規則がありまして」


 あっ、そうなんだ。ならしょうがないね。

 次はどこの店に行こうか。お腹減ってきたし早く探さないと。憂鬱だな。


「はぁぁぁ」


 思わずため息がでる。


「すみません、すみませ――」


「どうしたのかね」


 恰幅の良いおっさんが出てくる。


「そ、それがその――」


「ふむ、そうかね。すまないがここはドレ―――っこれはこれは申し訳ありません。リライズ・シェフト様ですね。どうぞこちらへ」


 おっさんは驚いた表情をしたあと俺に微笑みかけ朗らかにいった。


 おっさんがなんで俺の名前を知っているのかが謎なんだが、とりあえずあとをついて行った。

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