第19話 作戦開始


  明朝


 閉じ込められたミジンコの周りを冒険者が囲む。


 俺はS級冒険者や勇者がミジンコと戦っている間、邪魔が入らないよう警戒する組である。

 とはいってもミジンコがいるのにわざわざ姿を現すようなアホな魔物はいないだろう。


 なぜ冒険者が1日でこの場所に来れたのかというと俺が転移で転移が使える魔術師達にここを教え、その魔術師達が冒険者をここに連れてきたのだ。



 S級冒険者は13パーティーいる。この国にS級冒険者がそんなにもいないので、他の国からも持ってきたのだろう。あと『殲滅の勇者』。


『殲滅の勇者』は銀色の髪に天色の瞳。腰にお高そうな2つの剣を持っていて、少しごてごてした感じの服を着ている。

 聞いた話によると『殲滅の勇者』は双剣使いで、その攻撃の速さと足の速さ、それらによるコンボが強いらしい。1度攻撃が当たったら抜け出せないとか言われている。

 そして魔王軍幹部も倒したことがあるらしい。序列15位の魔王軍幹部だとか。



 魔王軍幹部。魔王軍においてトップレベルの実力者。団や軍を指揮するというよりもその強さで魔王を支えており、その実力は一騎当千。魔王軍幹部は17人おりその強さによって序列が決められている。


 かくいう俺も魔王軍幹部に出会った事がある。あれは苦い思い出だ。




「おい『永久牢獄エターナルプリズン』が壊れるぞ。各自攻撃用意」


 という声がかかる。


 周りにいる魔術師が魔法を詠唱し始める。この魔術師は国が派遣した魔術師部隊と魔術師ギルドから派遣された1等級魔術師だ。かなりの魔力を持っていることがうかがえる。


 魔術師はよく詠唱するが、慣れていれば別に詠唱せずとも魔法を放てる。

 詠唱という行為は魔法の安定を図り、威力を増させる行為だ。

 別になくとも問題ない。


 ミジンコの邪眼が一番厄介であるため、まず眼を潰す。そのために魔術師たちは魔法を詠唱している。俺も一緒に詠唱している。一応魔術師だからな。



 パリィン


 という音とともに『永久牢獄エターナルプリズン』が壊れる。

 と同時に魔術師がミジンコの眼に向け、思い思いに魔法を放つ。


「『灼熱地獄スコーチングヘル』」

「『超電磁砲レールガン』」

「『厄災嵐ディザスターストーム』」

「『流星群メテオシャワー』」

「『電離気体崩壊プラズマディスラプション』」

「『紅炎プロミネンス』」


 などなど各々が放てる最強の魔法を放つ。


 ミジンコの強力な眼により、魔法が霧散していくが全ては消えず目に刺さる。


 ミジンコは痛そうに暴れる。


 しかし目が潰されたものの周りは見えている。一対の複眼があるからだ。

 複眼にも邪眼ほどではないが一般人を見ただけで殺せるほどの力がある。



 あと近接戦闘職は序盤では役にたたない。




 なぜならミジンコは浮いていて攻撃が届きにくいからだ。。それはプランクトン、浮遊生物の特徴だ。

 他の浮遊生物プランクトンはミジンコほど凶悪ではないがそこそこ強い。

 ミジンコは浮遊生物プランクトン界の王である。強者であり捕食者だ。


 とはいえミジンコの姿は正直いってカッコいいとは言えない。

 ドラゴンの方が圧倒的にかっこいい。

 そのため、物語に出てくるのは大体ドラゴンである。

 子供の頃はドラゴン最強、ちょーかっけーーとなるが大きくなるにつれミジンコというカッコいいとはいえない生物が最強だと知り、現実の非情さを思い知らされるのだ。

 俺もその一人だ。




 ミジンコには第二十四触覚まで触覚があり、そのうち第八触覚から第二十触覚までが直接叩き攻撃してくる。


 第一触覚から第七触覚までは他よりも触覚が小さいがその触覚には小さい毛が生えており、それで風を操り、空中を高速移動する。


 第二十一触覚から第二十四触覚はミジンコがある程度のダメージを受けると、後頭部にあるネックティースと呼ばれるトゲ状の防御機構を表し、『対魔法領域アンチマジックエリア』を展開すると同時にその触覚の先から莫大な魔力が圧縮された砲撃を放ちだす。


 なぜ『対魔法領域アンチマジックエリア』が展開されているのにミジンコが魔力が打ち出せるのかは解明出来ていないらしい。

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