第17話 ホームシック

 王都付近に着いた俺は城門から王都へ入り、冒険者ギルドへ入った。

 いつも受け付けしてくれてた受付嬢へと向かう。


「はぁはぁ」


 俺が現れたことに驚いた受付嬢は


「どうしたんですか、リライズさんこんなに早く帰ってくるなんてホームシックですか?」


「いいや、断じて違う。それよりもだこの国に……」


「この国に?」


「ミジンコが現れた」


「み、み、ミジンコですか」


「ああ、ミジンコだ」


 受付嬢は顔を青ざめさせると、


「す、すぐギルドマスターに報告します。少し待っていてください」


 といい奥へ引っ込んでいった。



 さっきまで余裕だった俺が焦っているのには理由がある。


 俺がミジンコを眺めながら転移しようとしたとき、『永久牢獄エターナルプリズン』に小さなヒビが入っていたのだ。1日持つかもわからない。


 俺は落ち着くため、ギルドの酒場の席に座りメニューを開く。


 おっ珍しい。ペケルンのパリパリがある。

 うまいんだよなコレ、と思いながらペケルンのパリパリを頼む。







 パリパリパリ


 俺はペケルンをパリパリしている。


 

 ペケルンのパリパリやっぱうまいなと思っていると


「リライズさん、あっこれペケルンのパリパリですね」


 と呼ばれると同時に最後のペケルンが食べられる。


 あっペケルン。


「リライズさん、ついてきてください」


 と言われたため、嫌だけどついていく。面倒事、だいっきらい。






 ついた場所は会議室。


 あれ、ギルドマスターの部屋じゃないんだ。


「ここです、無事帰ってくることを祈ってます」


 俺は何をされるんだ?


 受付嬢が扉を開ける。

 俺が会議室に入ると偉そうな人たちがいた。



「貴方がリライズ・シェフトですね」


 このギルドのギルマスが話しかけてくる。エルフだ。


 エルフというのは耳が長く、精霊の扱いに長けた種族で森に住んでいることが多く種族的に周りとあまり接さない。引きこも――シャイな種族だ。

 王都だったらたまに見る。


「はい、そうです」


「アイリスから聞いた話ではこの国にミジンコが現れた、とのことでしたが」


「ええ、ファンラークからダルブルに行く途中ミジンコを見つけました。」


「そうですか」


 会議室内が騒がしくなる。


「静かに」


 偉そうなじじいがいう。

 すると、会議室内は静かになった。

 これからは王都のギルマスではなくこの偉そうなじじいが喋るみたいだ。


「ミジンコは何メートルだったか」


「8メートルほどだったかと」


 また会議室が騒がしくなる。


「や、厄災がよみがえる」

「S級冒険者を集めなければ」

「それよりも住民の避難を」



「黙れっ」


 偉そうなじじいがいう。



「ミジンコは今どうなっているか分かるか」


「『永久牢獄エターナルプリズン』を施したので今は動きを止めています。しかし猶予は1日ほどかと」


「1日か、協力感謝する。S級冒険者を集め次第、作戦会議を始める。あとA級冒険者リライズ・シェフトは残るように」


 めんどい。



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