第15話 ミジンコ
俺が意気揚々と街を出て3日後。
空を飛んでいたら、莫大な魔力と凄まじい爆発を感じた。
その時の俺は変わらない風景に退屈しており、興味本位でちょっと覗いて見ようと思ったのだが、それが間違いだった。
着いてみるとそれは地獄絵図だった。
辺りは破壊し尽くされ地形が変わっている。
そしてその中央には戦う2体の魔物がいた。
一体は
こいつは非常に強い。が、こいつはまだいいのである。もう片方が問題だった。
その魔物の名はミジンコ。魔物の頂点に君臨している魔物界最強生物だ。
リヴァイアサンやヒュドラよりも凶悪であり、その姿が確認されたら国が動くほど。
生まれたばかりのミジンコは20センチメートルほどで、まだE級冒険者でも倒せると言われている。だが成長していくにつれ大きくなっていき、成体で10メートル程。
ここまで成長してしまうとS級冒険者や勇者パーティーでも対応できない。小国ぐらいは軽く滅ぼしてしまうだろう。
今、目の前にいるミジンコは8メートル程。俺が対応できる大きさではない。
S級冒険者パーティーが複数いて対応できるギリギリのラインだろう。
2体の魔物の争いをよく見ると、それは戦いではなかった。それは一方的な蹂躙だった。
天空龍のほうが大きいにも関わらず、ミジンコによって圧倒されている。
ミジンコの目は1つだけだ。
だが、ミジンコのその1つ目は凶悪な武器だ。
その目で見られた生物は体が痺れ、脳が壊され、内蔵が徐々に腐蝕され、体の先から徐々に灰になっていき、絶望しながら死ぬことになる。
そのためミジンコの1つ目は邪眼と呼ばれ、あらゆる生物から恐れられている。
ドラゴンは体に内包している魔力が多いためなんとか邪眼に抵抗しているのだろう。
天空龍にその効果はまだ見られない。
かく言う俺も目の前で繰り広げられている蹂躙を見るに恐ろしさを感じていた。
今すぐ逃げ出したい。だが俺はこの国を守るためやらなければいけない。
そう思い俺は争いが終わるのを待った。
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30分後
天空龍は瀕死だった。あと、もう一撃喰らえば死ぬだろう。
俺の考えを述べるのであればこの龍は大分もったほうだと思う。
天空龍とて抵抗していたし、隙あらば逃げようともしていた。
しかしミジンコが振るう攻撃のすべてが天空龍を抉り、弾き、叩きつける。
逃げようとしても、その瞳に捉えられ、逃げられなくなる。
そして俺は今、魔法を詠唱している。
この30分、ある準備をしていた。
この詠唱が終わったら、準備が整う。
「――顕現せよ『
神聖魔法の上級魔法を唱え終わる。『
俺は両手に8枚、マジックスクロールを持つ。
まじでこんなところでマジックスクロールを使うことになるとは思わなかった。
「『
ミジンコに一気に近づく、するとミジンコがこちらを振り向く。
いくら『
俺はミジンコの視界に入らないよう回り込む。
そのとき少し体に痛みが走る。多分、一瞬だけ視界に入ってしまったのだろう。『
回り込みながらミジンコに近づきマジックスクロール6枚に魔力を流す。
マジックスクロールが燃え、端から灰になると同時に内包されていた魔法が開放される。
『
ミジンコの目を潰し、氷系統魔法と『
6つの魔法の内4つは討伐難易度Aの魔物であれば、致命傷を負わせられる。
ミジンコに魔法で生み出された隕石が当たったもののあまりダメージを負ったようには見えない。だがまだ拘束は解けていない。
ここで残り2枚のスクロールを使う。
『
先ほどファンラークで買った『
効力は高いが、成功率が『
『
とりあえず、ミジンコを閉じ込めることに成功。
だがそれも数日したら抜け出すだろう。
まぁ、もともと正面から戦うつもりなんてない。後でS級冒険者でも呼び、安全に倒していこう。
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本日も3話投稿です。
昨日は他の日と比べてPVが突出していたので
めっちゃモチベとテンションがhighでした。
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