第13話 謝罪
目の前のC級冒険者、エルムスというらしいが、そいつから事の顛末を聞き、今の状況を理解した。
でだ、まだリューアくんをどうするかが終わっていない。
ワイバーンのときは神の裁きにより、ちゃらになったが先ほど俺に突っかかり気分を害したことは許さない。というわけで
「謝れ」
「は?なんでだよ」
理解できないか。非常に
「残念だ」
「な、なにが?」
まさか実力行使をしなければいけないとは、できれば話し合いで済ませたかったが、相手が話し合いを望まないなら、拳で語り合うしかない。肉体言語だ。
俺は悲しそうな表情を浮かべながら拳を振りかぶり………
「ちょちょちょ、待て、待ってくれ」
止まった。
「何を待つんだ」
「その拳だよっ、なんで悲しそうな表情を浮かべながら殴ろうとするんだよっ」
「君という生物がいることに対して悲しいんだ」
「え、ひど」
なんかしゃべっているが、まぁいい、とりあえず殴ってすっきりした後、考えよう。
しかしこの状況だと俺が一方的に殴っているようにみえてしまう。
俺は悪くないが事情を知らないやつからしてみると俺が悪いように見えてしまうだろう。
それは少しマズイ。しょうがない慈悲を与えよう。
「今から3秒以内に謝らなければ殴る」
「えっ、ちょっと待って」
「3」
「お、おい人の話を聞けって」
「2」
「ちょ、マジで止まれって」
「1」
「おい、止まれって言ってるだろう」
「ゼ――」
「ご、ごめんって、ごめんなさいっ」
振った拳がリューアくんの目前で止まる。
あともうコンマ1秒謝るのが遅かったらこの拳はリューアくんに当たり、顔が潰れていただろう。助かったな。
30分後
ギルドでエルムス達と別れ、解体理場にワイバーンを渡した後、俺はマジックスクロール店に来ていた。
マジックスクロールというのは特殊な紙に行使したい魔法の術式を描くことにより、その紙に魔力を流すと一度だけその行使したい魔法をすぐ使用できるという。高価な代物である。
俺はときどきマジックスクロールを買っているもののあまり使っていない。使う機会がないのだ。
もしかしたら見たことがないマジックスクロールがあるのではないか、という期待を胸に抱き、マジックスクロールを見ていく。
探した結果
『
『
カウンターに行き、あの4つのマジックスクロールをだす。
「これを買う」
というと店員はにこやかな表情で
「75万エルです」
という。
結構、高いな。まぁ仕方ないか。俺が買おうとしてるのは上級魔法の中でもトップクラスに入る魔法だ。
俺は腰につけている財布から金貨7枚と銀貨5枚を出し、渡す。
「金貨7枚に、銀貨5枚。ちょうどですね。では、またのご来店をお待ちしてます」
俺は店員に見送られながらスクロール店をでた。
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