第9話 観光
この街ファンラークは果物が有名らしい。
朝、大分遅くに起き、朝風呂でさっぱりしたあと宿屋から出た俺はこの街を観光していた。
王都ほど大きくはないし栄えてもいないし人通りもそこそこだと思う。
ただ、この街は果物を使ったスイーツが多くそこら中に果物を使ったスイーツを売る屋台や店がある。
俺は屋台で買ったアップルパイを片手に街を見ていたら、
「おい、テメェ今何つった」
「卵頭って言ったんだが、お前耳悪いな」
と男、2人が今にも殴り掛かりそうな勢いで話していたのが聞こえた。ハゲとモヒカンだ。
俺は、モヒカンのお前は頭が悪いんじゃね、と心の中でツッコミながら、街ではよく起こる冒険者同士の喧嘩を見ていた。
お互い首に冒険者としてのプレートをかけており、どちらもD級である。
冒険者は短気ですぐ癇癪起こす輩が結構いるから肩をぶつけただけでも突っかかれるのである。
もちろん、俺は少しぶつかった程度では怒らない。心の広さが海よりも広大だからだ。
男2人が喧嘩を始めた。ただの殴り合いだ。両方、剣は腰に下げているだけで使っていない。まぁ、町中で意味もなく剣なんて抜いた日には衛兵によりお縄につくことになるだろう。
冒険者ギルドは冒険者同士の私闘を容認しているが、何があっても自己責任という方針である。
かれこれ10分以上殴り合っているが決着はついていない。
俺はなぜこいつ等が殴り合っている理由がわからないため、近くで殴り合いをみている野次馬に聞いた。
「何が理由でこいつ等は殴り合っているんだ?」
と聞いた。すると
「あのモヒカンの奴が手に持っていた卵の串を指差しながらスキンヘッドのやつに向けて、お前の頭部卵じゃん、っていって、でスキンヘッドの奴がそれに激高して今の状況になったというわけだ。」
めっちゃしょうもないな。
まぁ、悪いのはモヒカンだな。
アップルパイも食べ終わったし、なんか飽きてきたから次も屋台を回っていこう、と思いそこから立ち去る。
1時間後
ぷるぷるスライムのワッフルっていう意味不明なものを食べてしまったが、以外に美味しかった。ワッフルのサクッとした感じとスライムのぷるぷるした感じがなぜかマッチしていた。
世の中には不思議なことがたくさんあるな。
昼食を済ますため良い感じのレストランを探していたら、よく目立つショッキングピンクのモヒカンが見えた。
少し気になり近づいてみると先ほど殴り合っていたモヒカンだった。
そしてその近くにはモヒカンと殴り合っていたハゲもいる。
2人は泥だらけになっている状態で仲良さそうに話していた。
世の中には不思議なことがいっぱいだなぁ
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