第7話 舐めるなよ
というわけでワイバーンに襲われている冒険者を助けた俺だが、何故か怒声を浴びさせられていた。
「お前がもう少し来るのが早かったらあいつ等が死ぬことはなかったのに」
「そうか、それは災難だったな。」
「はぁ、何他人事みたいに言ってんだよ。てめぇ」
「いや、実際他人事だし」
「貴方、何その態度ふざけてんの」
いや、お前らのほうがふざけてるだろ。感謝しろよ。助けてやったんだから。もうこいつらこのまま殺しちゃってもワイバーンのせいにすれば罪に問われないよな。
っていうか
「出すもん出せよ」
「は?出すもんって何だよ」
「いや、お金だよお金」
「いやいや、何いってんだよ。俺等から仲間を奪うだけじゃなく金まで奪うのかよ」
「いや、お前らの仲間奪ったのワイバーンだし、俺が貰うお金だって正当な報酬だ」
「うるせぇ、お前が早く来てりゃこんなことにはならなかったんだ」
なんか堂々巡りだし、イライラしてきた。
さっさと出すもん出せばいいのに。
当然、助けたんだから法外な額でない限り助けた側は報酬を欲求する権利がある。
別に俺は法外な額を求めているわけではない。良心価格、銀貨5枚だ。
冒険者ギルドの裁量に任せたらもっと払ってもらうべきだと言われるだろう。
大体、世界に流通している貨幣は銅貨、銀貨、金貨であり、銅貨1枚は1000エルだ。このお金の単位エルは女神エルフィールの名からとっているらしい。
銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚に交換できる。
俺が求めているのは銀貨5枚。つまり50000エルで大体ご飯1食が銅貨2,3枚であるためご飯20食分ぐらいだ。たった20食分で命が助かったというのに何故払いたくないのか意味がわからん。
「銀貨5枚でいいといっているだろう」
「仲間まで奪って金も奪うなんておかしいだろう」
普通、金貨数枚欲求されても別におかしくはないのに銀貨5枚でも払わない。
もうなんか駄々捏ねる子供相手してるみたいで疲れてきた。
商隊の連中は離れてこちらを見てくるだけだし。
どうでもよくなってきた。
………ただ1つ心配なことがある。
それは神様が許さないかもしれないということだ。
心が非常に広い俺はこの程度のことすぐ水に流せるが神様はこの状況をみて目の前の冒険者を許さないかもしれない。そして神様の天罰によりこの者達に大いなる災いが降り注ぐかもしれない。これは大変だ。先輩冒険者として見過ごせない。
そのため私刑を――んっん、神に代わってお仕置きする必要がある。
ということで俺は今も喚き散らしている冒険者を見据え
「天誅」
といい思いっきり殴った。
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