第2話 無慈悲
「グアアアアア」
グリフォンが苦しそうに呻く。
可愛そうだ、と思わず思う。
そして
「今その苦しみから開放してやろう」
と苦しみの元凶がいい、魔法を唱え始める。
この魔法が唱え終わったとき自身は死ぬとグリフォンは分かっているのだろう。必死に藻掻く。しかし魔法の拘束力が強く抜け出せない。そうこうしている内に魔法が唱え終わってしまっていた。
グリフォンは自らの翼を奪いそして命をも奪っていくだろう相手を見る。
そして無慈悲にも魔法が行使された。
「『
光属性の上級魔法、防がない限り円盤状の輝く凶器が狙った相手の首を永遠と追い続ける断頭の魔法が放たれた。次の瞬間、グリフォンの首は地についており、事切れていた。
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空間魔法の一つ『
俺はもらった報酬を使い、ギルドに併設されている酒場で酒とツマミを食べていた。そして近くには俺に話しかけている男の冒険者がいる。
「んでよ、俺はそこで機転を利かし奴を近くの崖に誘導したんだよ。いやあのときはマジでヤバかったからあまり考えてなかったんだけど今になって思うとマジ天才だったなオレ!ガハハハハハハ」
酒が回っているのか男の冒険者は自慢話をすると豪快に笑う。
対して俺は
「天才天才」
と塩対応。俺はウンザリしている。
最初の方は最近の魔王軍の動向だったり、国の動きを話していたがいつの間にか男の冒険の自慢話になっており、それを何回も聞かされているのである。
しかし少し羨ましくも思っている。なぜなら俺は冒険者なのに冒険していないのだ。王都からほとんど出たこともなく、王都から出るとき大体は家族旅行か依頼場所が遠い依頼を受けたとき、あとは魔術学院の授業、イベントでたまにしかない。もちろん魔術学院は王都内にある。
目の前にいる男の話を聞く限り、男は仲間と共に色々な国へいき、様々な体験をしているのであろう。
なかなか良い情報も聞けたので男の酒代も一緒に払ってやり、ギルドを後にした。
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俺は機嫌よく少し高級な宿屋へ入っていく。
ギルドから宿屋までで厄介事に巻き込まれなかったのは良いことだろう。
いくら王都といえども夜の街は危険が多い。何かあったとしてもそれは夜にほっつき歩いている方が悪いと思われる。
この少し高級な宿屋は俺の活動拠点であり、依頼を受けない日は大体ここにいる。
入って数歩歩くと、リライズさん!と宿屋の従業員に呼び止められる。
「なんだ?」
と聞く。すると
「リライズさん宛に手紙が届いてますよ」
と従業員が元気良くいう。
俺は手紙を受け取り、自室へと入る。
そして手紙の差出人を確認すると『ルーバス・シェフト』と書かれている。
俺の父からだ。俺は思わず嫌な顔をする。面倒臭いからだ。絶対に厄介なことであると推測できる。このまま読まずに破り捨てたい気持ちがあったが両親どちらもこの王都にいる。
無視しても後日ここに来て結局会うのがオチだろう。そう考え仕方無しに手紙を読む。
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