第3話 魔法は気合

 結論、気合で魔法は出ない。

 まあ、当たり前である。やはり本を見て学ばなくては!



 書斎に行き魔法の本を見てみる。初心者向けは・・・おっ、これとか良さそう、『ゴブリンでもわかる魔法実践・入門編』、うへーやっぱゴブリンとかもいるのね・・



 俺はその本をもって、書斎のソファに腰を掛ける。



第一章・魔力を感じよう


 魔力とは体を流れる血液のように、体内を循環しています。そして普通ならば血液と同じように流れていることは意識することは難しいことです。ですが血液と違うのは訓練をすれば血液とは違いその存在を感じ、さらにはそれをある程度操ることにより身体能力が強化されたり魔法を行使する際に役に立ったりします。このような行為を魔力操作といいますが、これは魔法を行使する者にとってもっとの重要なことです。魔力制御を制する者が魔法を制するといっても過言ではありません。





 ふーむ、まずは魔力を感じることが大事と、何々?まずは目をつぶりましょう。魔女の魔力を作る臓器である魔心臓は左胸の心臓の下にあるのでそのあたりに意識を集中させろと・・・うーん、何も感じない。さすがに一日でできるようになるとは思ってないけど、できると思っていたから少し悔しい。今日一日は目をつぶりまるで座禅を組んでいるような姿勢で一日が終わった。



 次の日もまたその次の日も座禅を組んで一日が過ぎていく。



 ピクッ



 おっ?今なんか来たきがする!



 どくんっどくんっ



 心臓の鼓動とは違う、血液ではない何かが体中をさらさらと駆け抜けているのを感じる。心臓のあたりから四肢へと向かい、向かった魔力の流れはまた戻ってくる。戻ってきた魔力は体内、また、頭にも行き、そのあと心臓に戻っていく。そんな感じだ。また魔力は体内を駆け抜けていく間に少しずつ体外へと漏れ出ているのも感じる。



 この漏れている魔力を体内にとどめたらどうなるのだろうか。破裂したりするのだろうか。好奇心にはあらがえない。気になったのでやってみることにした。



 この流れている魔力を内側にとどめるイメージで・・・お!なんだか体が軽くなった気がする!本にも魔力で身体能力が向上したりとか書いてあったから、魔力をとどめるとその度合いが強くなるのか。



 体感だけど、とどめる魔力が2倍くらいの量になると筋力が1.5倍くらいになる感じだ。これくらいの量はすぐにでもとどめることができるので、いざというときにでも使えて便利そうだ。




第二章・魔力を放出しよう


 魔力を感じ取れるようになったら、魔力を体内にとどめたりできるようになります。魔力をとどめると身体能力が向上したり、自然治癒力が向上したりします。またこれの逆の技術である魔力の放出というものがあります。魔力の放出とは、その名のとおり魔力を放出することなのですが、何にも考えずに放出しまくってはいけません。例えば右腕付近から大きな魔法を行使するとします。その時に魔力を魔法を使うことに意識しすぎて魔力の循環が滞っていたりすると、体内に行きわたらない魔力を急激に循環させようとして、魔心臓が心臓発作のような症状を引き起こすこともまれに起こります。よっぽどの大魔法を使わない限りそのようなことにはならないので、初心者の内はあまり気にしなくてもよいです。



 魔力の放出意外と怖いな・・!



 でも循環を心がければ大丈夫なのか、よし放出しよう!



 まずは普段どうり循環を意識、そしてさっきの封じ込めるの逆!



 ぽすんっ



 出た気がする。というか出た。うんうん、魔力もしっかり循環してるしいいんじゃないか?魔力がもっとうまく放出できたら魔力弾的なのできたりするかも!



 その日から何週間も魔力放出の練習をした。魔力はいろんなところから放出できるだいたい体内で魔力を循環できる場所ならばどこでもできる。時には手を銃のような形にして指先から発射したり、お尻からだして見たり、頭のてっぺんから出してみたりといろんなやり方を試してみた。



「うん!魔力放出はもうプロ並みだろう」



 ほかの人のは見たことないがうまいほうだという自負があった。




第三章・魔力を魔法にしよう


 いよいよ魔法です。魔法とは簡単に言うと放出する魔力に色を付けるようなものです。色を付けるとは、そのまんま色を変えろというわけではありません。どんな魔法にしたいかその魔法の特性をつけろということです。特性の付け方で最もポピュラーなものでは、詠唱という技能があります。詠唱には序節と主節があり初歩の魔法と言われているトーチでは序節には『火よ灯れ』、主節にはそのまま魔法名である『トーチ』を唱えることで発動できます。詠唱は練習次第では主節のみでの発動でよくなります。難しい魔法ほど詠唱を短縮するのは難しくなるので頑張って練習しましょう。



 これは詠唱を短縮できるようになるまで猛特訓するしかないな。主節だけならまだしも魔法使うたびに毎回詠唱してたんじゃ、恥ずかしすぎるっ!



 それはそうと、とにかく使ってみるか、魔法を!



「火よ灯れ トーチ



 ボッッ



 マッチの火ほどの大きさだが、指先から炎が出ている。感動だ。



「すごい、魔法だっ・・・!!!」



 火は右手人差し指の指先から出ているのに、その指は全く熱くない。だが左手をその火に近づけると確かに温かさを感じる。まったく原理はわからないが大きな魔法を使って自分で自分を傷つけるなんて間抜けな真似は起こさないように気負付けねば。



トーチトーチトーチ、わっ!」



 何回か練習すると初心者用の魔法だからかすぐに序節は短縮できた。



 俺はその日一日、そのトーチを使って一日中暖炉に火をつけたり、庭の落ち葉に火をつけたりして魔法を堪能した。



「次はどんな魔法が使えるんだろう!!」



 早く新しい魔法を覚えたかったが楽しみを明日に取っておいて、今日は眠りにつく。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


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