第2話 人間じゃない!?
「・・の・・日・??」
何かの日記帳とでも書いてあるのだろうか。
ひとまず読んでみようと思いその日記帳らしきものを開いてみた。そこにはつらつらと文章が書いてあり。その内容はこうだった。
『 君がこれを読んでいるということは、私は目的を果たせずに逝ってしまったのだろう。そのことについて君に目的を引き継いでほしいとか言うつもりはない。きみには必要のないことだからね。
さて、君は急に目覚めて戸惑っているだろう。いやもしかしたら言葉も介さず、赤ん坊から生まれてしまってつらい思いをしているかもしれないね。まあ赤ん坊に生まれたとして、これを読めているなら無事に成長できたものだと思って安心できるよ。
すまない前置きが長くなってしまったね。そうそう君は自分が何者か気になっているだろう。まあ、簡潔に言うと君は私の子供だ。君は私の遺伝子をうけついでいるからねー。きっと私と同じきれいな濃い赤色の髪をしていて私に似ていて圧倒的な美貌をもっているんだろうね。君はもしかしたらこれを読むまで自分の顔以外を見たことないかもしれないから言っておくけど、私に似た美貌の持ち主ならばきっと人里に出れば町中の女性という女性がほおっておかないだろうね。うらやましい限りだよ。
ところでこの屋敷は全部君に遺産ということで譲ろうと思っている。この屋敷は自由に使っていいし、本も自由に読んでいいからね。魔法の本とかあるけど君はこの禁忌の魔女と呼ばれた私の息子なんだから。素晴らしい魔法使いになれると思うよ。君も魔女の血を引くものの一人だ、君の人生がいいものになることを願っているよ。
』
俺にもちゃんと母親がいたといううれしさとその母親はすでに亡くなっているというショックがあったが、あったことのない母親なだけにそのショックもじきに回復した。
禁忌の魔女なんて言うたいそうな名前の母親だ、きっと素晴らしい人だったんだろう。それとも俺の母親が中二病だったのか。息子の俺からしたら中二病じゃない禁忌の魔女であってほしいものだ。
魔法のこととか魔女のこととか気になることはたくさんあったが、気がつくと夜になっていた。それに自分自身も眠くなってきているのを感じる。今日のところはいったん寝ることにした。
朝だ。二度目の朝。
言い表せない不安があったので、無事に目覚められて少しほっとした。
今日やることは決まっている。書斎で禁忌の魔女ひいては魔女について調べるのだ。
朝ごはんでも、と思ったが全然おなかがすいてない。目覚めてこの二日何も食べていないのにだ。その辺も魔女について調べればわかるかもしれない。もしかしたら、俺の体には食べ物のいらない魔法がかかっていたり!
昨日の書斎に戻り魔女について調べる。本を探したがタイトルから魔女についてとわかるものは三冊しかなかった。『魔女の配達員』、『魔女と魔法の起源』、『1万年生きた魔女』、だ。魔女って一万年生きるの!?どこかで聞いたようなのもあるし・・
その三冊に書いてあったことで有用そうなことはこんな感じだ。
・魔女とは魔法を使う人のことを指す言葉ではなく魔女という種族を指すらしいこと
・魔女は魔女からしか生まれず魔女から生まれた子供も魔女だということ
・魔女には女しか生まれないこと
・魔女は寿命がとても長く人それぞれでだいたい平均二千年生きること
・魔女は魔力がある限り生命活動に支障をきたさないつまり食事が不要なこと
だいたいこんな程度のことだ。禁忌の魔女については、なんか昔に禁忌を犯した魔女がいたーくらいにしか書かれていなかった。まあ自分の書斎に自分のことが書かれてある本なんて置かないかもしれないが、いやあの文面の感じだとそういうこともしそうか?
「というか俺、もしかして、人じゃない!?」
魔女が魔法使いの別名とかじゃないなんて・・・
ともかく、俺がおなかがすいていない理由が分かった。水くらいは飲んだほうがよさそうだが、食べ物は特にいらないみたいだ。だからと言って食べられないわけではなく食べたものは体内で消化され魔力に変化するそうだ。
そう魔力だ。魔女の体内は普通の人間とは違い、さっき言ったとおり魔力があれば生き続けることが容易である。別に魔力が尽きたからと言ってその瞬間にどうにかなってしまうこともないようだ。変わっているというのはそれだけではなく、体内には食べ物を魔力に変換する臓器、魔心臓がありその臓器は食べ物だけではなく呼吸で体内に入る空気(ちなみに魔力があれば呼吸も本来は必要ない)までも魔力に変えることができる。
はるか昔にはその臓器を狙って魔女狩りなるものが行われたらしい。そういったものは今は行われておらず、現代では特に魔女だからと言って捕まえられるということはなく魔女も人間社会に溶け込み共存しているらしい。いつかは人間の町に行きたいと思っていたからとても安心した。
それと不思議なのはもう一つ魔女には女しか生まれないということだ。俺は禁忌の魔女らしい母親の子供だ。だからおそらく魔女なんだろう。血を引いてるとも言っていた。つまり・・俺は・・なんか特別なすごい存在!!!!男の魔女って絶対なんか伝説の勇者的なのでしょーーー。
いろんな妄想が止まらない。
もしかしたらチートなのか?
そうだ、魔女、魔女なのだ俺も魔女ならば、使えなくてはおかしいだろう。魔法が!!
「はっーー!!」
俺は腕を前に突き出し内なるパワー的なのに訴え魔法を出そうとするもうまくいかない。
「あれ?」
★★★★★★★★★★★★★★★★★
お読みいただきありがとうございました!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます