第40話 ドラゴンとの戦いそして敗北

ドラゴンはオレンジ色の体躯のドラゴンで色はその属性が現れていると云う。

若いドラゴンと云う事だったので火属性なんだろうと思われる。待ち構えているが、ちょっとずつズレて行ってるような気がする。

気がするどころか、完全にこっちじゃない方向に向かい始めた。


「あっ。ここのダンジョン封鎖しちゃったからもう一つのダンジョンに向かっているみたいだ。クッキー、ミャア、追い掛けるよ!」


〘あい。〙〘はいにゃ。〙


こうして、ドラゴンを追跡する為、森を疾走して追い掛けた。クッキーとミャアも身体強化を習得した為、同じ速度付いて来ている。

よちよち歩きだったクッキーが、ペタペタ歩きだったミャアが俊敏に俺のスピードについて来る。従魔達の成長にちょっと感動してしまった。


森が騒がしくなって、ホーンラビット、エルク、ボア、ディア、ベアまでがドラゴンの向かう逆方向へと逃げ出していた。

途中、ぶつかりそうになりながらそれをかわして、ドラゴンを追跡する。

暫く追い掛けて疾走していると森が途切れて丘の麓にある洞窟が見えてきた。

そこにドラゴンは着陸していた。


ドラゴンは体高が5〜6m全長が尻尾まで9〜10mの大きさだった。羽は大きくコウモリの羽の様だった。

ドラゴンはそのままダンジョンに入ろうとしていたので、取り敢えず、魔法を放っ。


「イグニッションボルト」


雷撃が爆発する魔法だが、


「どうだ!」


頭部に落ちて爆発するも目に見える被害は無し、しかしこちらに向きを変えさせた。

と思っていたら横からドラゴンの尻尾が俺達を薙ぎ払った。


「ゴホッ。」〘ギャン!〙〘ギャッ!〙


俺達は木々を圧し折りながらも勢いが止まらずどんどん木々を圧し折り20を超えた辺りで漸く止まった。

とっさに守った左腕以外は全ての骨が骨折している模様、内臓も破裂していると思われる。右目は見えず、歯も口の中で転がっているし、右耳も全く聞こえない。背骨も逝かれてしまっているので動かせないが庇っていた左手にアイテムボックスから再生ポーションを出して、蓋を開けて飲んだ。

全てが、巻き戻る様に回復して行く。

動けるようになってクッキーとミャアを探す。

飛ばされた位置から手前20mにミャアがいた。四肢は全て曲がっていけない方向に曲って、目、鼻、口、耳から血を流して失神していたので、無理やりポーションを口に流し込む。全身が光って元に戻っていた。

起きてはいないがその場に残し、クッキーを探すと2m手前にいた腹に木が刺さっていたのでポーションを持ちながらその木を引き抜きポーションを掛けて残ったポーションを無理やり口に押し込んだ。

心配だったので、もう一本ポーションを口に押し込み飲ませた。喉が動いているので大丈夫だろう。そして尻もちをつきその場に転がった。


「尻尾振っただけで壊滅って、勝負にならんだろ!」


〘あるじ、クーしんだ?〙


「生きてるぞ。」


〘ご主人!にゃにが起こったにゃ‥全然分からず寝てたにゃ。〙


「ドラゴンの尻尾に吹き飛ばされたんだ。」


〘にゃにゃ!強くなったと思ったにゃ。駄目だったにゃ。〙


〘クーも、つよいと、おもってた。〙


「あれは別世界の生物だわ。」


無理と判断した俺は創造神に念話した。


〘観ていたんだろ創造神、ありゃ、今の俺達には無理だ!もっと力をつけないと対抗できん。聴いているか?〙


〘はいはい、やっぱり無理でしたか。やり方次第では勝てると思ってましたが、尻尾一振りで負けるとは、プッ。……。あぁ失礼。

まだあと一頭こっちにやって来てますが、それは、私の神罰でたおしておきます。

うちの使徒は不甲斐ないですから。

一つ貸しですよ。

そのダンジョンに入ったドラゴンはダンジョンマスターになってもらって龍神に教育させ、サミュエルの訓練所になる様、整えましょう。成人までに力を付けて下さいよ。〙


〘いろいろ釈然しゃくぜんとしないが分かった。取り敢えずこの辺りの危機は無いんだな。〙


〘まあ、そうなりますね。種族変化していても何でも勝てると云うわけでない事は、分かったと思いますから頑張って強くなって下さいね。では、足掻く姿を楽しみにしていますよ。〙


(こいつ本当は邪神じゃないのか?)


〘れっきとした創造神です。〙


〘心を読むんじゃねえ。〙


〘いやっ、悪口を感知しただけです。〙


〘もう良い。家に帰る。〙


俺はうなだれてクッキーとミャアをうながして、帰宅の途につくが街の位置が全く分からず途方に暮れた時に、クッキーが


〘あるじ、にくやける、においはそっちじゃない。こっちだよ。〙


〘クッキー、その肉の匂いまで連れて行ってくれないか?〙


〘分かった。こっち。〙


クッキーに導かれて歩いて行くがかなり飛ばされたらしくすっかり陽が暮れて夜になったがそれでもまだ北の森を抜け出せないでいた。

一旦休憩して、アイテムボックスに残っている串焼きをミャアに渡し、クッキーには串を抜いて皿に入れて置いた。

水を入れたコップと皿を置き、俺はマスターに作ってもらったお弁当を頂いた。

移動を再開して2時間程の歩いていたら集落に辿り着いた。

そこはスラムの集落だった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る