第41話 スラム集落と夜営

ドラゴンに吹き飛ばされて辿り着いた先はスラムの集落だった。ここには立ち入るなと忠告を受けているので。


「クッキー,ミャアここには入らず、北門に行こう。」


スラムの集落にはは入らず迂回をして北門を目指すために方向を変えるとボロい革鎧を着た5人の男達が、こちらに向かって来るのが見えた。

無視して迂回しようとすると、こちらに話し掛けてきた。


「おい小僧、お前街のもんだな、こんなとこに何の用だ。」


「道に迷ってここに辿り着いただけです。そっちには向かいませんから放っといて下さい。」


「おいおい、親切心で聞いているのに放っといてとは随分な言い草だなぁ。夜に出歩いている子供を心配してやっているのによぅ。なあ皆んな。」


「そうだぞ。」「送ってやろうか?」

「夜道は危険だもんなぁ。」


「て、訳だ。護衛報酬はその従魔たちだがなぁ。ギャハハハ。」


「「「「ギャハハハ。」」」」


「いえ。間に合ってます。貴方達では逆に攫われそうですから、遠慮します。」


「はぁ、喧嘩売ってるのか。」


「いや、寧ろ俺が売られてますよね。買いませんよそんな安い喧嘩。」


「おい。」


話し掛けてきた男がローブを着た男に何やら合図をすると、ローブの男は杖をこちらに向けて、


「風よ、我が意に応えて顕現せよ、ウィンドカッター。」


「リフレクション。」


ウィンドカッターを放たれたので夜の為、反射の魔法を唱えた。ウィンドカッターは俺の周りにある反射の壁に当り術者に返って行くと杖を持っていた手に当り、指が切断されて杖を落とした。


「ギャァァァ。」


「危ないですね。闇夜にウィンドカッターなんて、酷いじゃないですか。」


「てめぇ、おいっやっちまえ。従魔は殺すなよ。」


と叫びながら剣を抜いて残りの4人が襲ってきたので、


「ダークバインド」「ダークバインド」

「ダークバインド」「ダークバインド」


と唱えて、4人共、太腿ふとももあたりを拘束したので、すっ転んでしまった。


「てめぇ、これ外せや。」


「イヤですが何か。それではこれで失礼。」


「おまっ、外して行けやぁ!」


俺は、早く帰りたいので放置する事に決めた。説明するのも面倒くさいし。

外せ、外せとやかましくいるが無視して北門に向かった。いつか外れると思います。

そうして、北門に到着したが当然、門は閉まっている。仕方がないので流通量の多い東門まで行く事にする。あそこならば門開き待ちの商人が居るかもしれないと思って。

ここにいるとスラムのやからが湧くかも知れないのであちらで野宿する事に決めて移動を開始した。


「クッキー、ミャア今日は東門の前で野宿するからね。」


〘おそとで、ねる?〙


〘ミャアは初めてにゃ。楽しみにゃ。〙


従魔達はウキウキしながら移動する。

それを見て、今日の敗北も忘れて俺までウキウキしてきた。誰も死ななかったそれを収穫と思えば大収穫である。

そうして、東門の前に来ると夜営している、キャラバンがあった。


「すいません。北の森で迷子になってこんな時間になってしまったもので近くでテント張らせて貰って良いですか?」


と尋ねて冒険者ギルドのカードをキャラバン護衛の人に見せる。


「おっ、それは難儀したな。商会長良いですかい?」


「構いませんよ。食事は済ませたのかい。」


「はい、今日は薬草採取にちょっと奥まで行く予定をしていたもので、串焼きとピタパンを購入していたのです。それを食べてからこちらに来ました。」


「それで、お目当ては採取出来たのかい。」


「はい、出来ました。」


「出来ればで良いのだけど、何を探して奥まで?」


「マジックマッシュルームと月星花です。」


「えっ、それが採取出来たのかい。」


「そうなんです。それで奥に行き過ぎて迷子になってこんな時間まで彷徨いてしまったんです。おっと、話し込んでしまって申し訳ありません。テントの設営がありますので、これで失礼します。自己紹介は遅れましたD級冒険者のサミュエルといいます。」


「これはご丁寧に、王都で雑貨屋を営んでいるアムリア商会のラッファノと云います。以後お見知りおきを。」


「それでは、お休みなさい。」


こうして、俺はキャラバンと少し距離をおきテントを設営してテントの中に結界をほどこす、


「セイクリッドサークル」


魔力をたんまり込めてほどこしたので、1日は持つだろう。

準備を整えクッキーとミャアに抱きついて眠った。


朝を迎えて、身支度を整えていると、


「おはようございます。アムリア商会のラッファノです。少しお話良いですか?」


と声を掛けられたので、


「いま出ます。」


と言って俺だけ外に出る。


「ラッファノさん、おはようございます。お話しというのは?」


「宜しければ、マジックマッシュルームと月星花を譲ってはいただけないかと云うご相談なんです。」


「しかし、俺が持っているのはどちらも1本ですよ。」


「譲っていただけるのであらば1本でも構いません。マジックマッシュルームは小金貨2枚、月星花は小金貨5枚で譲っていただけませんか?」


ほぼ倍の値段だ。


「分かりました。お譲りします。」


と言って、肩掛けカバン経由でアイテムボックスから、マジックマッシュルーム1本と月星花1本を渡して、小金貨7枚を受け取った。


「ありがとううございます。これで娘の病気も……。本当にありがとう。」


「いえどもこちらも得をしましたから、お互い様です。」


お互いがウィンウィンの商談を終えて、俺はテントを仕舞って、東門の開門を待った。

東門が開き、検問をギルドカードを見せて通過し自宅に戻った。

一連の騒動はドラゴンに完敗と云う黒星で終了してしまったがこれから修行を付けてリベンジすると誓った。











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