第38話 スライム大発生と野良ダンジョン

木漏れ日亭を出て、冒険者ギルドに向かう。

道中で、ナナシーに、


「サミュエルには、何もお返し出来ていないのにあんなポーションを貰ってしまって、貴方に会ってからサニーも私も命を救って貰った上に身の回りの品々や講習費用にポーションまで、どうお返しすれば良いの?」


「気にしなくて良いさ。一緒に冒険してクッキーとミャアの世話をしてくれるそれだけで、良いんだよ。だから今は、自分の事だけ考えて力をつけて欲しい。」


「クッキーとミャアちゃんは私達の癒やしなんですからお世話なん当然です。サニーもそこは同じ気持ちだと思います。」


「クッキーは私の癒やし。でも成長が速すぎて、もうすぐ抱っこ出来なくなりそう。」


「お前らは良いよな。俺もモフモフしてぇ。」


そんな話をしていたら冒険者ギルドに到着した。3人はそのまま屋内練習場に行くというので、そこで分かれ俺は受付に向かう。

そこで女性スタッフに冒険者ギルドカードを提示して、


「すいません。サミュエルと云いますが、元副ギルド長の決闘報酬を貰いにと北の森の情報を知りたいのですが。」


「はい、サミュエルさんですね。ギルドマスターからお預かりしています。

こちら金貨1枚お確かめ下さい。」


「確かに受け取りました。」


と言って、肩掛けカバン経由でアイテムボックスに仕舞う。


「北の森の件ですね。現状は、スライムのみの大発生で他の魔物の目撃情報はありません。代官所から討伐依頼が掛かっていますので依頼を受けられますか?」


「いえ、止めておきます。ありがとうございます。」


そう言って、冒険者ギルドを後にした。

自宅に戻ると、クッキーとミャアは1階にいた。なので、


「クッキー、ミャアまた昨日の続きの北の森へ出掛けるか? あっ、木漏れ日亭にお弁当を頼んであった。北の森に行く前に、木漏れ日亭に寄って良いか?」


〘うん、いいよ〙

〘まだ早いからにゃ、構わないにゃ。〙


「良し、じゃあ出掛けよう。今日は絶対街の外に出るまで走り出すなよ。」


〘わかった。〙〘わかったにゃ。〙


こうして、扉に鍵を締めて木漏れ日亭に向かった。北の大通りに出て雑貨屋を見つけて、

木の食器を見つけてスープ皿5皿と平皿5枚を銀貨1枚で買い求めて、移動を再開した。

木漏れ日亭に到着して、


「お弁当貰いに来ました。」


「おう、出来てるぞ。」


とマスターが、バーガーの様なパンに具を挟んだ食べ物がバケットに入っていた。

それを貰って、


「ありがとうございました。」


とお礼を言って、クッキーとミャアと共に北門に向けて進んだ。 

北門に到着して、検問を冒険者ギルドカードを見せて通過し草原に出ると、今の俺と同じ年頃の冒険者が、あっちこっちでスライムを退治していた。

俺達は一直線に森に向かって進んだが途中でスライムの群れにぶつかった。

クッキーとミャアは喜び勇んで、スライムの退治を始める。俺はその後ろを付いて歩きながら、スライムの外皮と魔石を拾って歩いた。


〘これ、プチプチとおなじで、たのしい〙


〘手が濡れるけどにゃ。楽しいにゃ。〙


こうして従魔達がどんどんスライムを退治していくので俺はスライムを退治すること無く、物拾いに徹した。

 北の森に到着してもスライムがワラワラと出てくるのでクッキーとミャアが潰して進む。

どうも、薬草類はスライムに捕食されているみたいで見つける事は出来なかった。

スライムが居なくなるまで直進して進む事を決めて従魔達にて退治させながら、外皮と、魔石を回収する。300以降数えるのを止めて、ひたすら回収していると、


〘あるじ、あそこから、まもの、でてくる〙


〘あれが、ダンジョンにゃ〙


「本当だ、洞窟のダンジョンみたいだな。行ってみよう。」


クッキーの見付けたダンジョンにスライムを潰して進む。そして、


「クッキー、ミャア魔法で薙ぎ払うからちょっと後ろで待って。」


〘あい〙〘はいにゃ。〙


俺は入口に向かって魔法を放つ。


「フレイムウェイヴ」


ガソリンが撒かれた地面のように炎が地面を舐めるように走って行き一面のスライムの群れを焼き尽くす。

スライムが居なくなった地面に進んでは、


「フレイムウェイヴ」


と唱えて波状に地面を焼き尽くしてスライムを退治して行く。その作業のような攻撃をこの階層一面もれなく焼き尽くした。


そして下の階層に続く階段を見付けた。

階段にももちろんスライムがびっしり隙間無く、蔓延っていたので、


「ファイヤストーム」


と唱えて、火の旋風を送り出し、スライムを殲滅した。2階層も1階層と同じ作りで洞窟ドームの大きな空間でそこにびっしりスライムがいた。階段出入り口の周辺はファイヤストームの影響で足を踏み入れるスペースが出来ていたので、そのスペースに降り立ち、


「フレイムウェイヴ」


を唱えて、スペースを更に広げた後、


「クッキー、ミャア飽きるまで退治して来て良いよ。」


と送り出した。そして、俺は階段に戻り、スライムのドロップした魔石と他にもないか確認に回った。

1階層にも戻って、回収に歩いて粗方拾い終えると2階層に降りた。

従魔達は未だ楽しそうに、スライムを潰してまわっていた。8割方潰しているのでここでも回収を始めた。そして、


「クッキー、ミャアそろそろ下に降りるから、魔法を使うよ戻って!」


〘あい。〙〘はいにゃ。〙


返事をした従魔達が戻ってきたので、


「フレイムウェイヴ」


唱えて、残りのスライムを殲滅した。


そして階段を見つけると、上の階段と同じ状態で階段びっしりにスライムの群れが蔓延っていた。


「取り敢えず、殲滅しますか。クッキー、ミャア飽きてないかい。」


〘クーはまだまだ、やれる。〙


〘ミャアはちょっと飽きてきた。〙


「だよなぁ。でもダンジョン核があるとこまで進むから我慢して着いて来て。」


〘わかったにゃ〙


「ファイヤストーム。」


魔法で階段のスライムを殲滅させて、3階層に降り立った。








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