第34話 商業ギルド大騒動
「ギルドマスター!再生ポーションですよ!再生ポーション!いくらでも買い取りましょう。実現化不可能と言われた最上級ポーションが今、ここに在るんです。奇跡ですよ!奇跡の瞬間に我々はやり合っているのです。それを買い取れるのです!」
「落ち着きなさい、フォロニルス副ギルド長、君らしくも無い。当然、買い取りますから落ち着きなさい。で、いくらで買い取る?」
「そうですね。金貨2枚が最低価格でしょうね。」
「確かに、これほど値決めが難しい商品は初めてだ。」
「幻とまで言われていたポーションですからね。しかも、時間経過で劣化したものでは無く、出来立てホヤホヤの新品ですから。」
そんな相談をしているギルドマスターの元に先ほど、書類と俺のギルドカードを持って行った女性スタッフが戻って来ていた。
「ギルドマスター、副ギルド長手続きが終了しました。サミュエル様、この書類とギルドカードをお返しします。」
ギルドカードと後見人の書類が帰って来た。
それを受け取り、後見人の書類だけ肩掛けカバン経由でアイテムボックスに仕舞う。そして、ギルドマスター達に、
「買い取りは金貨2枚で結構です。代金はカード預金に入金して下さい。そろそろ、夕食に行かないと行けないので。」
「あぁ、随分と引き留めてしまったね。では、1瓶金貨2枚で合計代金の金貨50枚はカード預金に、ヴァネッサ、もう一度ギルドカードを預かって金貨50枚をカード預金に入金して来てくれるかな。」
「畏まりました。サミュエル様申し訳ありませんがもう一度ギルドカードをお預かりします。」
ギルドカードを女性スタッフに渡す。
そして、副ギルド長に、
「今後も納品する為、手元にポーション瓶と木栓を購入したのですが、1000本在庫ありますか?」
「購入なんて、とんでもない、こちらから無料でお渡しします。宜しいですよねギルドマスター。」
「勿論だよ。購入させるなんて。欲しいだけ渡してあげなさい。」
部屋を出ようとした女性スタッフにポーション瓶をあるだけ持って越させる様に副ギルド長が話していた。
それに頷いて、女性スタッフは出て行った。
その間に、ギルドマスターが、
「他にも欲しい物があれば言ってくれ給え。用意できる者は何でも用意するよ。」
「それでは、マジックバックは有りますか?パーティーメンバーに渡したいのですが、勿論、購入させて頂きます。」
「副ギルド長、うちにマジックバックはあったかね?」
「今、在庫があるのは、2m✕2m✕2mで時間遅延が100分1のマジックポーチが20個程です。代金は一つ金貨2枚です。」
「サミュエル君聞いた通りだが、どうするかね?」
「それを2つ購入したいです。」
そんな話をしていると、ドアがノックされ、突然扉が開かれた。そこに、先程の監査部のテオドルフが2名を抑えながらも押し戻される様になだれ込んできた。その中の1人が、
「再生ポーションがあるって本当ですが!妻が、妻が産後の肥立ちが悪く、このままだと永くないって言われているんです。お金はなんとかしますから、お願いです。売って下さい。」
「俺の妹は生まれ直ぐに、失明しているんです。俺が世話している時にベットから落ちて、それ以来目が見えていない。医者にはもう見えることは無いって言われて、再生ポーションなら!俺にもポーション売って下さい。」
「お前たち止めろって何度も言ってるのに!買い取りが決まって無いって言ってるだろ!」
「君たち、突然なだれ込んで来て、お客様やギルドマスターに失礼だろ。テオドルフ!お前は勝手にペラペラ喋るもんじゃないぞ。そんな事だと、客の信用を失うぞ!」
「こいつ等の話を聞いていたもので、再生ポーションが現実の下に存在する事が少しでも希望になればと、つい。」
「全く2人の事情話分かった。ギルドマスターとして、2人には配慮するから。ここは一旦下がりなさい。副ギルド長、事情聴取を別室でしておいて下さい。
今は、接客中です。早く、出ていきなさい。」
こうして、3人と副ギルド長は別室に向かうべく部屋を出て行った。
「サミュエル君、不躾で申し訳なかった。
しかし、彼らの事情を汲んで許してやって欲しい。」
「乱入に関しては構いませんが、情報漏洩はもう少し統制を取っていただかないと、俺の周りの安全が危ぶまれてしまいます。その時は、ギルドマスター、それなりの覚悟はして置いて下さい。」
「分かった。その時は、商業ギルドが責任を請け負う。」
そんな話をしていると、女性スタッフが台車を2台づつ引いた2名の女性スタッフと共に戻ってきた。
「サミュエル様、ご入金手続きを終わらせて来ましたので、カードをお返しします。それと、こちらポーション瓶の入った木箱40箱とこちらの木箱は木栓1000個が入っています。お確かめください。」
カード受け取り、1箱1箱中身を確認しながら肩掛けカバン経由でアイテムボックスに収納した。それを全て受け取ると、
「ギルドマスター、本日はこの辺で、マジックポーチは改めて明日、伺います。」
「では、マジックポーチ2つ分かる様に、受付で確保させておきましょう。本日は、お疲れ様でしたな。また会える日を楽しみにしておきます。」
「こちらこそ、良い取引でした。失礼します。」
「私が、お見送り致します。」
そうして、裏手の出入り口から外に出て。
商業ギルドを後にした。
すっかり暗くなっているので駆け足で木漏れ日亭に到着すると、冒険者が2名食事をしている他は居なかった。マスターに
「マスター、夕食お願いします、サニーとナナシーは帰りましたか?」
「おぅ、彼女らなら明るいうちに帰ったぞ。
今日は随分遅かったじゃないか。」
「商業ギルドで捕まってまして、こんな時間になっちゃいました。」
直ぐに、夕食が用意されて、ガッツリ頂いた。
「ご馳走様。また明日。」
「おぅ、気い付けて帰れよ。」
「うん。」
木漏れ日亭を出て、駆け足で自宅に向かった。
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