第29話 自宅

冒険者ギルドを出て、クッキーが何度も質問してくる。


〘ねぇ、クーのハウスある?〙


これの繰り返し、なので


「クッキーのハウスはまだないなぁ」


と言ってるのだが。暫くすると、


〘クーのハウスある?〙


「クッキーのハウスは、まだ無いぞ。」


というと、


「キャン、キャン、キャン。」


と涙を浮かべながら鳴く。


「どうした、クッキー?」


と尋ねると、


〘かみさまが、ハウスあるっていってた。〙


(あの野郎適当に三味線引きやがって。)


「そうなのか。そのハウスって、前に作ったあのハウスか?」


〘そう、あるじに、はじめて、もらったクーのいばしょ。あんしんする。〙


「そうだな、クッキーは寂しがりやさんだものな。ハウスがあればミャアに虐められ無いもんな。」


〘失礼にゃ。虐めてなんか居ないにゃ。ミャアの愛情表現にゃ。〙


〘みゃあ、すぐ、ぱんする。あれいたかった。〙


〘にゃあ、あれは、愛し過ぎて気持ちがこぼれてしまったにゃ。〙


「分かった、新しく作るよ。少し、待っててな。」


〘わかった、がまんする。〙


取り敢えず、家に行って足りない物を買いに行くつもり、足りない物は未だまだありそうだ。


「サニーとナナシーは今日の予定は何だったんだ。」


「私達は、ニックさんに西の森で薬草採取の指導を受ける予定でした。」


「お姉ちゃんが少しでもお金稼ぎしないとって、魔物討伐は明日から武術と体術の講習を受けるからそれからの方が良いってニックさん二言われているから薬草採取をね。

それに、サミュエルがポーション作れるから素材の足しになるかなって、お姉ちゃんが。」


「そうか、貴重な時間を無駄にしたな。

あの副ギルド長のせいで、でも、金貨1枚手に入るからそれで皆んなで買い物に行こう。」


「「賛成。」」


「ニックさんも何か欲しい物ありますか?常識の範囲内ですけど。」


「俺は、酒。それと寛げる場所。」


「分かりました。そうだ、皆んなに家の鍵を渡しておきます。ニックさんも」


サニー、ナナシー、ニックさんに鍵を1本ずつ渡した。


「俺も良いのか?」


「身寄りの無い、俺達の保護者代わりですから、持っていて居つでも遊びに来て下さい。

でも、女性の連れこみは絶対駄目ですよ。

そんな事したらとは二階から吊るしますからね。」


「し、しねぇよ。そんな事。バレたら……。しねぇ。絶対しねぇ。」


「ねえねえ、私達のお部屋あるの。お姉ちゃんと一緒の部屋?」


「部屋は5つ在るから何処でも好きな部屋決めて良いぞ。」


「やった!お姉ちゃんどっちにする。二人で一部屋?それとも別々の部屋?」


「私は、ミャアちゃんと一緒の部屋にします。サニーはクッキーと一緒の部屋じゃなくて良いの。」


「そっ、それは!一緒に寝たい。」


「じゃあ、2人別々の部屋ね。」


「分かった。」


「なぁ、追い出された時は泊まって良いか。どうも、子供が産まれると邪険にされて追い出されるって、酒場で聞いたんたがそうなりそうでな。」


「勿論です。部屋は空いてますから。何ならニックさん部屋にしても良いですよ。従魔達は俺の部屋をメインに寝場所作りますから。」


「そこまではなぁ。でも、その時は宜しくな。」


そんな会話をしていると自宅前に着いた。


「「可愛いです。」」


「馬車留めもあって年季は入っているがいい家じゃないか!正面はお店になっているのか。」


「前は薬師のお店だったみたいです。早速入りましょう。」


そして、鍵を開けて中に入っていく。


「おう、完全に薬師の店だな。」


「サミュエルは、ここで作業するのね。」


〘くーおりる。〙


「クッキーが降りたいみたいだから降ろしてあげて。」


〘ミャアも。降りるにゃ。〙


「ミャアもだって。」


姉妹は従魔を下ろすとクッキーとミャアは奥へ走って行った。クッキーはズッコケては、走りを繰り返し。ミャアは先に行ってテーブルの上に登った。


「ミャア、今は猫じゃないからテーブルに乗らない。これからはケット・シーと云う種族なんだから、人間の様に行動して。」


〘分かったにゃ。ごめんにゃ。〙


〘クーかいだん、のぼれない。〙


「クッキーはまだ小さいからしょうがないよ。でも、すぐ大きくなって階段も登れるようになるよ。」


〘うん、がんばる〙


「クッキー階段上りたいの?」


言い終わる前にサニーは隙かさずクッキーを抱っこした。


「ミャアちゃんはどうする。2階に行くよ。」


ミャアは、ナナシーに向かって手を上げ上目遣いで「にゃ、ニャ~」と鳴いた。

ナナシーは薄ら笑いで鼻血が出てた。


「ナナシーまた鼻血出てるぞ。」


ナナシーは布で必死に拭いて、ミャアを抱っこした。


そして、みんなで2階に上り、ミャアとクッキーが降ろされ、ミャアは店の上にあたる、右の部屋に入ったのでその後ろにナナシーがついて行く。

左の部屋にはクッキーとサニーが入る。

トイレの横の厨房の上に当たる部屋を俺の部屋にした。

ニックさんは俺の部屋の向かいにある部屋にするそうだ。北側の一番奥の部屋は空き室になるが、多分従魔の部屋になりそうだ。


「皆んな部屋はそれで良いか?」


「いいよ。」「いいわよ。」


「俺は休めるなら何処でも良いが荷物も置いて良いか?」


「構いませんよ。変な物は持ち込まないでくださいね。呪物とか、危険な薬品とか。」


「解ってるって。」


「それじゃ、下の厨房を確認しに行きましょう。俺もまだ見てないんです。」


厨房の中に入ると正面に魔導コンロが2台と右側には保冷庫。

そして大きな水瓶が魔道コンロの左にあってその横に野菜を洗うシンク台。

作業机が中央にあり保冷庫の奥に空間があり食物倉庫の様だった。床は石張りで水捌けが良さそうだ。


「きゃあ。すごいわ食堂の調理場みたい。」


「お姉ちゃん、料理のしがいがあるね。」


「でも、この魔道具達、魔石が抜いてあるな。魔石を補填しないと使えないぞ。」


「それじゃ、買い物に出掛けますか。他にも買いたい物もありますから。クッキーとミャアはどうする。疲れたのなら2階で休んでいるか。」


〘うん、クーねむたい。うえにいる。〙


〘ミャアも疲れたにゃ上で寝てるにゃ〙


「従魔達は疲れて眠たいみたいだから。部屋に寝かしてあげて。待ってるから。」


「「分かった」」


サニーとナナシーは、クッキーとミャアを部屋に寝かせに行った。

そして、戻ってきたので買い物に出掛けた。





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