第28話 再戦で本気出す(副ギルド長が)
従魔登録を終えて酒場で果実水を飲みながら、クッキーとミャアの食べっぷりを見ていたら、ニックさんが、
「ギルドマスター、模擬戦でベットされた金貨1枚渡されてないが、サミュエルはいつ貰えんだ。」
「んっ、そうじゃな。戦利品の贈呈を忘れておったぞ。まっちょれ。」
ギルドマスターは立ち上がり、受付カウンターの女性スタッフと話を始めた。
「副ギルド長は、回復したか?」
「はい。執務室にいらっしゃると思います。」
「今回の模擬戦の戦利品誰か受け取っておらんか。」
ギルドマスターは周りを見渡すが、皆、顔を横に振るばかりで受け取っていないみたいだ。
「悪いが、副ギルド長を呼んでくれ。」
「畏まりました。」
女性スタッフは副ギルド長を呼びに2階へと上がって行った。暫くして、女性スタッフと副ギルド長が降りて来た。
「ギルドマスター、お呼びと伺いましたが。」
「副ギルド長、お主、戦利品の金貨1枚出せ。わしから渡しておいてやる。」
「ギルドマスター、口約束で子供とのお遊びに金貨1枚は渡せるものではありませんな。
我々、貴族の決闘とは違うのです魔法契約もしていないですからなぁ。
子供相手に本気を出すなど大人げないと思いまして、魔法ありの勝負で魔法を使わず相手をしましたからね。わ、た、し、が魔法を使ったら死んでしまうでしょうから〜。
まぁしかし勝ちを譲ったといえ負けは負けですからな。
頑張った御駄賃に銀貨1枚、これを小僧にお渡し下さい。子供に銀貨1枚でも大金ですなぁ。
あぁ、そうだ、ギルドマスター、シルバーウルフとケット・シーという貴重な従魔の登録。さぞ、貴族の社交界で噂になるでしょうなぁ。そちらの対応はギルドマスターにお願いしますよ。私の対応ではお気に召さないようですからな。
殴られた腹の具合が良くありませんので執務室に戻ります。失礼。」
「おい!待てコラッ!ぬしゃ、本気で
元S級のわしがこんなカスに侮られるとは……。年は取りたくないのぅ~。
ニック!サミュエル!ちょっと来い。」
ギルドマスターに呼ばれて、ニックさんと向かう。
「どうした、ギルドマスター、副ギルド長お腹の具合は良くなったのか。ちゃんと治さないと明日はトイレと濃密な一日になるぜ。」
「貴様!」
「止めろ!2人とも。それよりもだ、これが副ギルド長から渡された戦利品だ。」
そう言って、ギルドマスターから銀貨1枚が渡されたので、俺は、
「色が違う様に見えるのですが、副ギルド長にはこれが金貨に見えるのですか?目に治癒魔法掛けましょうか?」
「プッ。ククク」「ぶほっ」
「小僧!貴様。」
「いやいや、副ギルド長、これは銀貨です。
何をお怒りなのか分かりませんが、金貨の約束で銀貨を出して来られたら病気を疑うのは当然でしょう。
まさか!も、と、貴族であられた虚栄心の塊である副ギルド長様が、仰ったんですよ。
従魔を買い取るはずだった代金のき、ん、か1枚をベットするって、みんなの前で吐いた唾は飲めませんよ。」
「なんと言ちょったかな。子供との口約束は契約では無いっと言っとたかな。
平民と貴族ではルールが違うそうじゃ。
どうじゃ、貴族様のルールに則って魔法契約でもう一度、ヤッてくれんか?」
「俺は、構いませんよ。でも、子供に負けた副ギルド長様はまた負けるのが恥ずかしいでしょうから。決闘は受けませんよねぇ。」
「小僧、言いたい
と言って手袋を取って投げ付けて来た。
それを取って、
「受けます。
こちらの代価は、この体と従魔を掛けます。そちらは?」
「この体と金貨1枚だ。」
と言ったが。ギルドマスターが、
「足らんのう、従魔に金貨1枚は代償として足らん、財産全てでないとなぁ。」
「あっ、お金ねは金貨1枚で良いので副ギルド長の役職の剥奪を代償として下さい。」
「サミュエルからの提案を受けるか?」
「フフン、受けましょう。」
「では ギアス・コントラクト。
この度、アレグレッグ・グレイとサミュエルが代償を掛けて決闘する。
この契約を反故すれば死を
アレグレッグ・グレイはその体と金貨1枚及び役職の剥奪を代償に決闘を受諾するか?」
「アレグレッグ・グレイの名において受諾する、ギアス。」
「サミュエルはその体と従魔を代償に決闘を受諾するか?」
「サミュエルの名において受諾します、ギアス。」
そう告げるとギルドマスターの手から2つ目光の球が操法に飛んできて胸に吸い込まれていった。
「両名の名を縛り、これを保って魔法契約はなされた。準備をして1時間後に訓練場で決闘を行う。」
1時間後、副ギルド長と俺は訓練場に立っている、立ち会いはギルドマスターだ。
周囲に見物人はいるが誰も声を発しない。
「では、決闘を行う。この様な更衣はあっても異議を認めない。いいな。
それでは、始め!」
俺はすぐさま、
「ダークバインド。」「ダークバインド。」
と口と両手を巻き込み胴体を拘束した。
そして。蹴りで膝カックンをして倒し、剣を抜いて両足首を切断した。
「これどうすれば終了になるでしょう。」
「相手が何かしらの意思表示をして負けを認めれば終了じゃが、手も口も塞がれては意思表示できんのぅ。」
「そうですか。継続なんですね。アイスニードル、アイスニードル。」
両肩に太い釘のサイズのアイスニードルを打ち込んだ。
「ん゙ーー。プフッ。ん゙ーー。」
副ギルド長は泣きながら顔を横に振っていた。それを観ないで、切断した足を足首に押し付けて、
「ハイヒール」「ハイヒール」
と足を治しておいた。
「出血で死んじゃうと面倒ですからね。」
「面倒って、お主エグいのう。」
「ん゙ーー。ん゙ーー。」
「なんですか?分かりませんが。」
「ん゙ーー。ん゙〜〜。」
「何言ってるかわかりません。解除。」
口を縛っていた拘束を解除した。
「痛い!痛い!すいません。すいません。降参します。」
それを聞いたギルドマスターが
「それまで!」
と言って決闘は終了した。
〈〈〈〈〈〈〈〈うぉ〜〜っ。〉〉〉〉〉〉〉〉
〈なんだ!瞬殺だったじゃないか!〉
〈あれじゃ。最初から勝ち目無かったじゃないか。高飛車に受けてやるとか、プッ。〉
〈プッ、子供に本気は出せないキリ。って、
ブフッ〉
〈ブハッ、言ってやるなよ、本気は出せないキリ。ブハッハハハ。〉
〈〈〈ギャハハハハッ〉〉〉
「お~い、煩いぞ。お前ら散れ!散れ!サミュエル、拘束の解除とアイスニードルの消去をしてくれ。」
「はい。解除、消去。」
「よし。わしはこいつを医務室に連れて行って金貨1枚回収しておく。身柄はどうする?代償に体も含まれるから生きていれば、お主のモノとなるが。」
「今後、かかわらない事を条件に所有を放棄します。」
「分かった。それでは後でな。」
「あっ、ギルドマスター、申し訳ありませんが金貨1枚は預かって置いてくれませんか。
この後、用事があるんです。従魔の寝床を造らないといけないのですが既に時間が押しているんです。まだ、資材の買い物も出来ていないものですから。」
「そうか、それじゃ受付に来た時に渡せる様にしておこう。それじゃあのぅ。」
ギルドマスターは副ギルド長を肩に担いて出て行った。
皆の下に戻って、
「では、今日は購入した家に皆んなを連れていきたいと思います。」
「今後、住むお家ね。」
「楽しみ。」
〘ルーのハウスある。〙
〘ミャアのベットは日当たりがよくにゃいと爪たてるにゃ。〙
「それじゃ、行こう。」
こうして、冒険者ギルドを出て、自宅へと向かった。
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