第22話 お買い物と錬金の杖

食器とカトラリーを購入すべく北門方面ににある店を物色する。

寝具屋からの50m程北門方面に進んだ先に木皿を置いた店を見付けた。

中に入って。大皿5枚中皿5枚小皿10枚コップ5個とジョッキ5個をカウンターに持って行く、カトラリーは修復士の店で買うことにする。


「これください」


と女性スタッフに声を掛けた。


「いらっしゃい。たくさん買うのね。お家に届ける?」


「マジックバックを持っているので持って帰ります」


「わかりました。大皿が1枚小銀貨3枚。中皿が小銀貨1枚と銅貨2枚。小皿が銅貨5枚とコップが小銀貨1枚ジョッキが小銀貨1枚と銅貨5枚ですから 合計銀貨3枚と小銀貨6枚になります」


俺は銀貨4枚をカウンターに出して、


「これでお願いします」


「はい。お釣り小銀貨4枚のお返し」


皿とコップとジョッキを肩掛けカバン経由でアイテムボックスに仕舞い、お釣りをもらって店を出た。

さて次はお待ちかねの錬金釜と魔導コンロを引き取りに、日用品のお店に向かう。

道中何事もなく日用品のお店についた。


「すいません。錬金釜修復で預けていた者ですが、修復終わってますか」


「いらっしゃい。出来てるぞ。おっと預かりの木札くれるか?」


「はい。これお返しします」


「おう、今持ってくる」


修復士のシミリートさんは奥へと消える。

戻って来る前にカトラリーを探す。

ステンレスの様な輝きのスプーン、ナイフ、フォークを見付けた。これを各5個カウンターに置いておき、欲しい物がないか物色する。包丁の様なナイフが有るので大きいサイズと果物のナイフの様なサイズも各1本、後はなにか無いかと確認するが特に無かった。

そのうち、シミリートさんが帰ってきた。

カウンターに錬金釜と魔導コンロとを置く。


「カトラリーも買うのかどれも小銀貨2枚だ、調理用ナイフは銀貨3枚小さい方は銀貨1枚な。合計で銀貨7枚」


錬金釜と魔導コンロを肩掛けカバン経由でアイテムボックスに仕舞って、そこから銀貨7枚を出して支払い、カトラリーとナイフをカバンに入れた。


「でだ、ガンツールのとこで、スクラップを素材に戻したって聞いたんだが、うちの部落の分もやって行かね〜か?」


「良いですよ」


「そうかい。じゃぁお願いするよ。こっち来てくれ」


シミリートの後をついて行く。ガンツールの部落と同じ様な作りで中央に高炉があり端にスクラップその横に鉄鉱石がどちらも山になっていていた。


スクラップの山に手をつき魔力を浸潤させる流れ無くなるまで流して止まった感じになった時に「分離」と唱えると黒いパウダーと茶色のパウダーと何色か表現し難い色のパウダーそれと銀に近い鉄色に光る真鉄の粒の山が出来た。


「インゴットにしますか」


「いや、このままの方が火の通りが良いらしい成形しなくて大丈夫だ」


「鉄鉱石はどうします?」


「こっちは、止めておくよ。日用品はそこまで素材にこだわらないから、高炉で作った鉄で十分だ。商品単価が安いからな。スクラップは処分費が馬鹿にならん。1kg銀貨1枚だったな。これだと800kgだな店に戻って精算しよう」


そう言って店に戻るので付いて行く。


「スクラップありがとな。これちょっと細かいけど勘弁な」


そう言って、銀貨100枚 小金貨40枚 金貨4枚と革袋2枚を渡してきた。

お金を革袋に入れて、肩掛けカバン経由でアイテムボックスに仕舞う。


「買い物で来たのにお仕事貰っちゃってなんかすいません」


「いや、金払って捨てるより、金払って素材買う方が断然お得だ。此方こそありがとな。防具の部落も寄ってみてやって欲しい。奴らもガンツールの事、羨ましく思っていたからな。また溜まったらお願いして良いか?」


「勿論です。北エリアに家を持ちましたから、何時でも言って下さい。それでは失礼します」


「おう、そう云えば、錬金の杖は修復しないで良いのか?」


「えっ、錬金の杖?」


「そうだ、錬金の杖で錬金するだろ、錬金釜があれだけ傷んでいたんだ、杖の方も傷んでいると思ったんだがまあ、傷んでないなら良いけどな」


「えっと、錬金の杖って何ですか?」


「だから、錬金作業で使う杖だよ、あれが無いと魔力を流しながらかき混ぜられんだろ」


「錬金の杖、持っていません」


「はぁ、兄ちゃん杖無しでどうやって錬金釜入れた素材を分離、合成するんだ。ガンツールの所に行って買って来い。確か下取りで押し付けられたって昔、言ってたから残っているかもしれねぇ。無きゃあ、造るしかねぇが魔法陣刻めるの居たかなぁ」


「取り敢えず、ガンツールさんの所に行って来ます。ありがとうございました」


「おう、また来いよ」


慌ててガンツールの店に向かった。

ガンツールの店に到着して中に入ると、


「カン、キンッ、カン、カン、キンッ」


鍛冶作業の音が響いていた。

店のカウンターには女将のメグネットが剣にグリップを着ける作業をしていた。


「女将さん、錬金の杖ありませんか?」


「はい、いらっしゃい。いきなりだねぇ。錬金の杖」


「はい。シミリートさんからガンツールさんの所が杖を下取りで引き取ったって聞いて来たのですが……。」


「錬金の杖ねぇ〜。う~んと、家にあったかねぇ。杖は合成品だからスクラップに出してない筈だからどっかに有ると思うのだけど。 あんた!……あんたっ!ちょっと店に来て!」


「どうした騒々しい。おっ、サミュエル!良く来たな。今日は何だ」


「あんた。前に下取りで引き取った杖って、何処に在るか分かるかい」


「あぁ。あれなら、反射炉の炭をならす棒に使ってるぞ」


「そうだったねぇ。あの棒がそうだねぇ」


「何だ杖が欲しいのか。今持って来る」


ガンツールは鍛冶場に戻り、杖を持って戻ってきた。


「これだこれ。ミスリルメッキがしてあったようだがほとんど剥がれて頭に付いてる魔石も抜け殻で使い道がなくて均し棒にして使ってた。これ欲しいのか?

こんなんよりこれを解析して作った杖あるぞ。ソッチは魔石も新品だし、それの方が良くねぇか?」


「あんた、私に黙ってそんなモン造ってたのかい。買い手の見付かりそうに無いもん造ってどうするつもりだったんだい」


「だって、面白そうじゃねぇか!知らねぇ技術調べるのは。ちょっとお金掛かっちゃたけど……。」


「で、素材いくらしたんだい」


「ゴニョ、4枚」


「聞こえないよ!はっきり言いな!」


「金貨4枚」


「バッカじゃないのかい。金貨で払わなきゃ出来ない杖造って、しかも職業限定の杖に金貨4枚も使ってたのかい、そんなお金何処にあったんだい」


「防具のジェイデンに頼まれて鎧の自動調整と硬化の魔法陣刻む内職して、貯めてたヘソクリで買った」


「何処にヘソクリを隠してたんだい」


「女将さん、あのぅ。家庭の内紛は後でお2人でゆっくりじっくりとして頂いて、その新品の杖を買わして下さい」


青白く縮こまっていたガンツールがダッシュして2階に上がって行った。


「全く。あれでも腕はピカ一なんだよねぇ。見境無しに造らなきゃ今頃、ここも新築に建て替えられるのにねぇ」


ガンツールが杖を持って駆け下りてきた。


「おう、これだ」


「ミスリルメッキまで……。頭の魔石はなんの魔石だい」


「そりゃ、おめぇ……。うっ、売っちまうんだからどうでも良いだろっ。サミュエル、本当は金貨10枚で売りたいが8枚に負けとく。支払いはカードにするか。」

『頼む。この金額で勘弁してくれ。本当は原価でも良いんだけど、カミさんにどやされるから、これで手を売ってくれ』


女将に聞こえないように耳元でお願いされたのでその金額で手を売った。


「いえ、現金で払います」


スクラップの素材代金とギルドでおろした分を取り出して、カウンターに置く。

ガンツールはそれを受け取り、杖を渡して来た。


「毎度あり、またなんか欲しい時は何時でも来いよ」


「うん、また来るよ。じゃあね。女将さんまた来ます」


「あいよ。あんた、ちょっと奥来な」


ガンツールのヒゲを掴んで奥に消えた。

俺はさっさと店を出た。











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