万博リング報道に思う
戦前と戦後の建築関係の物価を調べると面白い事に気づく。
戦前と比べると材木は数十倍の価額になっているが、大工の手間賃は数百倍になっている。
昔は(安い)手間を掛ける方がコストが安くついたのである。
コストダウンのために高価な材木を少なくするために安価な手間をかける。
決して昔の大工だけが良心的で真面目だった訳ではない。
私が子供の頃、現場に連れていかれると磁石を引っ張ってウロウロさせられて釘を拾わされた。
古材の釘は釘抜きで抜いて、材木も釘も再利用していた。
雨の日は女人夫が曲がった釘を叩いて伸ばしていた。
私の会社は当時からエコロジーやリサイクルの事を考えていたのだろうか。
それは違うと断言できる。
単にコスト的にそうする方が得だったからである。
テレビや新聞雑誌で昔の木組みがすべて良いような事を言うのを聞くと腹が立つ。
その殆どは今の職人の質が悪いような事を言う。
今も昔も良い大工悪い大工がいて、今も昔も大抵の大工はその当時にベストであろうと思われる方法で仕事をしたのだ。
昔が良かったのなら、新聞よ瓦版に戻るが良い。
自分だけは文明の利を得て、他人の利を責めるべきではない。
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