第3話 死の刻
「僕の人生、いや魔生?これで終わりかよ。いやでも16年間で見たら結構楽しめたほうでしょ。父さんは優しかったし。母さんはいなかったけど、四天王のみんなはほとんど親みたいなものだったし。」
もう諦めよう。無駄だ。自分はこのまま凍死する運命なのだ。足掻いても仕方ない。だって壊死してるもん。生き残っても手がない状態で生きてけない。
ラインは自棄になっていた。今までの自分の不運を呪った。壊死していく指先を。未だ止まぬ雨を。冷気を運ぶ空気を。自分を追い込んだ追手を。運命を。
ーーそして、全ての行動が遅かった自分に。
「いっぱい楽しんだし。いっぱい遊んだし。いっぱい勉強した…勉強はもういいかな。いっぱい色んなもの食べたし。みんなが開いてくれた祭り、また行きたいな…また父さん特製のスープ、飲みたいなぁ
父さん……会いたいよ……四天王のみんなも……会いたいなあ………………キーラ………ゾルテウス………ゴレアス………ラウス…………、………、会いたいよ………みんな……みんなぁ………」
掠れ声と共に、冷え切ったハズの目から涙が溢れ出て来た。もう疲れた。休ませてほしい。
ーーーーーーーーーーーー死んだら、みんなに逢えるだろうか。楽になれるだろうか。
もういいや。終わりにしよう。この命をーーーーーーーーーーーー
*********************
ーーーお前は、何でアイツのように出来ないんだーーー
ーーー何であなたは毎回毎回言われなきゃ出来ないの?!あの子は出来るのに、何であなたはーーー
ーーー君には失望したよ。彼ならもっと上手くできただろうに。天才の家系だからと思ったが、残念だーーー
ーーーお前の家族すごいのに、何でお前はできないんだ?もしかして馬鹿だからか!やーいバーカ!!ーーー
ーーーあの子、また怒られてる。まあ仕方ないんじゃない?何をしても出来ないあの子が悪いものーーー
ーーー何でお前は、生まれてきたんだ?ーーー
ーーー何であなたは、生まれてきたの?ーーー
ーーー気にするな。アイツらの戯言なんて。お前は生きてるだけで偉い。世の中には些細なことで自殺する柔な連中だらけだ。そんなヤツらばかりの世界において、お前は明らかに偉いぞ。俺が保証してやるーーー
*********************
ーーーーラインーーーー
ーーお前は生きろ。私の敵討ちなどと馬鹿なことを考えるな。…………いや、お前を不幸にした私が言えたことじゃない。言い直そう。ライン、お前は自分の命を、生きたい方向に使え。
ーーライン、この世で一番お前を、愛してるーー
ーーーーライン様ーーーー
ーーあと1日で、人間軍が攻めて来ます。貴方だけは何としても逃げなければなりません
ーー早く行かねえとライン様!まあ俺らがいりゃあ、あんな奴ら一捻り……い"っ?!
ーー虚勢を張るなゴレアス。醜いぞ
ーーあ"あ?!もういっぺん言ってみろゴラァ
ーー何をしておる。ライン様の前で醜態を晒すんじゃない。ワシらしか主戦力がおらんのだぞ2人とも………ライン様。ワシらは確実に死ぬでしょう。しかし、貴方は逃げ延びられる。この<星詠み>のラウスの名に誓いましょう。
ーーんじゃあ俺は、<万力>のゴレアスの名に誓って、1分1秒でも多く稼いでやるよ!だから安心して逃げな!
ーー虚勢を張るなと言っただろうゴレアス。……ライン様、このバカの考えが同じなのは腹が立ちますが、私も<不壊>のゾルテウスの名に誓い、貴方様が逃げられる時間を稼ぎます。その間にお逃げを
ーーライン様、私も彼らと同じです。貴方は逃げ延びられる。この<慈愛>のキーラの名に誓いましょう。私達は死にますが、例えこの肉体が滅ぼうとも、貴方様への想いは消えません。例え魂が消えても
ーー「「「「ライン様!!!!」」」」ーーー
「ーーーーーー愛しています」
「ーーーーーー愛してるぜ」
「ーーーーーー愛しております」
「ーーーーーー愛していますじゃ」
「死にたくない」
《ーーーーーー極度の生存本能を確認ーーーー
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