第47話 君が一般人と殴り合ったら虐殺にしかならないでしょ……?
そんな訳で、放課後などの余暇には、皆で集まって練習をすることにした。
お前の音楽にはソウルが足りないぜ!と盛大にディスっておいて、我々のソウルが不足しているなんて許されんからな。
とりあえず、スキルポーションでスキル面では天下一品にしてやったんだから、あとはソウルの問題だろう。そのソウルも、巨人を狩るマラソンをしろ!とかではないんだから楽なもの。楽しんでやれば良い。
まあ、遊び半分だったとしても、友人同士で集まって何かをするってのは良いもんだ。学生なんだし、学生らしくしようじゃないか!酒は飲むし女は抱くが、それはそれとして。
特に、女達は純粋に楽しんでるみたいだしな。
千佳は研究の鬱憤ばらしにやってるらしいが、楽しんでいるし、なんだかんだで肝も太いからとりあえずあるがままの今を楽しんでいる。
栞は……、とにかく、死病から回復した今、世界の全てが楽しくてしょうがないらしい。誘った遊びには全部100%来る。エンジョイガチ勢だな。
瑠衣もまた、エンジョイガチ勢。動画投稿をしたいからと、練習動画を上げる音楽サブチャンネルを作り、更に稼いでいるらしい。あとは、本人が変態マゾホモ男の娘なので、他人に見られて承認欲求を満たすと同時に、男達に性欲を向けられて楽しんでるっぽい。
亜里沙が一番繊細な子かな?だが、亜里沙は俺が預かっていて、養っている訳だからな。俺に、経済的にも精神的にも依存しているから、俺のやりたいことには協力したがる。元々、あんな毒親の言うことをハイハイ聞いちゃう良い子ちゃんだしな、従順だ。
元凶(?)であるアンジェリカも、誘うと遊びにくる。純粋に、俺のことを友達と思っているらしい。なのでちょいちょい口説いているが……、満更でもないっぽい?そもそもが、国から逃げなきゃならないくらい追い詰められた人間な訳だし、ちょっと優しくするとコロリって感じでしたわ!
とにかく、パーティメンバーに隙はない。
魔王を倒せそうな完成度だ。やるとするなら、俺が前衛、後は全員背後で応援。うむ、完璧な布陣だな!
このままバンドをして、一夏の思い出を作っちゃおうぜ!
まあ、練習……、というか曲の作成と「合わせ」は、時間がかかる模様。
そんな昨日の今日ですぐできたりはしねえよ。
某有名RPGのゲーム音楽の作曲家先生みたいな、イカれたスピードでの作曲は不可能だ。こちとら素人、初物なんでな。
なので、こうやって部活代わりに音楽をやりながら、しばらく別のことをして楽しもうと思う。
曲の発表は……、夏休み明けの秋。文化祭の時にやることとする。
……文化祭でライブって、めっちゃ「青春」じゃねえか?
俺はラブコメ世界の住人だった……?
まあ実際、コメディではあるよな、多分。俺は一方的に楽しんでいるので問題はないっちゃあない。
……っと、それはいい。
とりあえず、横に置いておく。
今、俺は……。
「けっ……、KOだぁーーーっ!!!」
「「「「うおおおおっ!!!」」」」
「きゃーっ!凄いです、理玖君ーーーッ♡♡♡」
「ふーん?やるじゃん……♡」
「ふふふ、流石は僕の理解者だな♡」
「つ、強いのね、彼……♡」
「理玖君、カッコいい♡」
ボクシングの大会に出ていた。
何故こうなったのか?
前歯が全損した対戦相手を眺めながら、回想しよう。
時は六月。
アンジェリカが転校してきてしばらくが過ぎ、そのアンジェリカと千佳、栞、亜里沙、瑠衣の五人とよくつるむようになっていた頃。
昼食中に、栞が、こんなことを言い始めたのだ。
「私、部活のマネージャーとかやってみたいんですよね!小説とかでよくあるじゃないですか、ほら、マネージャーとキャプテンの恋物語……とか!」
栞は、死病で床に臥せっていることが多かったため、このように、学生生活に夢を見ているところがある。
可哀想に……。キャプテンと女子マネの恋愛なんて言うほど存在しないんだよ、キラキラした青春を過ごせなかった陰キャが妄想して創作した御伽話なんだよ、とか。そんなことは、気の毒でみんな中々言えなかった……。
が、ここは「聖人」として名高い俺が、慈悲を見せる。
「あー、じゃ、なんか適当な部活に俺が入って、そこで栞が女子マネやるか?」
「良いんですか?!やりたいですー!」
と、まあ、こんな感じで……、何か部活をやることにした。どうせしばらく暇だしな。
元から運動神経には自信があった方だが、ポーションで強化された今、バンカーバスターが直撃してもかすり傷ひとつつかないし、ジェット機より速く走り、チョップで装甲空母を叩き割れる訳で。
そんな、ワンパンヒーロー並みのスペックがあるのだから、スポーツなんてもんは全部お遊びだ。
え?最初にあらゆる部活への入部を断って、各部の部長をボコボコにして回った件?知らんなあ……?
こっちはライブ感で生きてるんでね。都合の悪いことは忘れよ!と、俺の尊敬する超人も言っていた。
「「「「ひっ」」」」
そんな訳で、向かった先はボクシング部。
色々考えたんだが、個人競技が一番楽かなーって。
野球とかだとチームでやるスポーツだから、俺一人が強くてもワンチャン負けるんだよね。
いや、勝てるか?でも、俺一人の実力で評価される個人競技の方が、勝った時に気持ち良さそう。
後は、ボクシングなら、ルール分からなくても勝てるだろ?という判断。
だって、相手をパンチで倒せば良いんでしょ?シンプルで良いな、その辺。
それに俺は、百巻超えの有名ボクシング漫画を全巻読んだし、デンプシーロールもできる。ほら、なにも問題はないだろ?
一説によるとテニスもそんな感じで、最近は巨大化したり空間を破壊したり五感を剥奪したりすると漫画で読んだので、テニスでも良かったかもしれんが。
しかし、大学でのテニスはペニスを使えそうな感じ(ヤリサー的な意味で)だが、中高生のテニスは何となく陰キャっぽいのでやめておいた。
そんな感じの冷静で的確な判断力により……、俺と栞は、ニコニコ顔でボクシング部に入部届を出すことになったのだ……。
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